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私は結婚式の司会をよく頼まれますが、そのほかに、他府県ではあまり聞かない「生年祝(しょーにんゆーえー)」というお祝いの司会もやります。しかし、現在では、このお祝いのことを一般的には「年日(とぅしびー)」と言っています。しかし、本来「しょーにんゆーえー」と「とぅしびー」は違うものなのです。さて、その違いは?
今回はそれについて述べてみます。
まず最初に「年日(とぅしびー)」について説明しますが、これは「年日祝(とぅしびーゆーえー)」とも言えるようです。この「年日(とぅしびー)」は、年に一回だけ祝う誕生日みたいなものだと思っていただければ良いでしょう。これは、旧暦の一月一日はさけて、二日から十三日までの十二日間に自分の生まれた年と同じ干支の日にお祝いをします。しかし、盛大にはやらず、普通、家族、身内のものだけでします。ちなみに、戦前のうちなぁには誕生日を祝う習慣はありませんでした、ですからこれを誕生日と言えばそう呼べるかもしれませんが、普通は61歳の還暦を迎えた方のみがお祝いをすることがほとんどだったようです。つまり61歳を過ぎると何時、何が起こるか分からないから、せめて毎年でも祝ってあげようという気持ちで祝っていたと、私のうちなぁぐちの師匠である首里の大正6年生まれのおばあさんに教えてもらいました。
二つ目の「生年(しょーにん)」ですが、十二支上の十二年ごとに巡ってくる自分の生まれた干支の年のことをこう呼んでいます。すなわち、13、25、37、49、61、73、85、97歳。そして、この12年に一度巡ってくる「生年(しょーにん)」を、うちなぁでは昔からお祝いしています。そのことを「生年祝(しょーにんゆーえー)」と特別に言うようです。これも「年日(とぅしびー)」と同じく正月二日から十三日までの自分の干支の日にお祝いをします。けれども、これは本来の「年日(とぅしびー)」とは打って変わって、現在と同じく、親や親戚、近所や友人などを呼び盛大にやります。ちなみに、現在は73歳からで、本格的に大きなお祝いをするのは85歳からが一般的でしょう。
【まとめ】
「とぅしびー」とは、還暦以上の方が毎年祝う小さな祝宴を言い、「生年祝」とは、12年に1回ずつ祝う祝宴で、現在では、本格的なお祝いは85歳からだと言えるでしょう。
【補足】
1.「とぅしびー」と巷では良く聞きますが、本来の意味は分らなくなっているようで、上で述べたように、還暦以上の方の為に毎年祝う小宴のことを言い、12年に一度のお祝いは、本来「生年祝(しょーにんゆーえー)」と言うようです。
2.「生年祝」は「せいねんいわい」と、現在、良くテレビ、ラジオなどで使われていますが、これは日本語の発音で、うちなぁぐちでは「しょーにんゆーえー」、敬語は「ぐしょーにんうゆえー」と言います。
3.12年の一度のお祝いで73歳以前だと、生まれてから最初の生年祝「13祝い」をする家庭も多いようですが、25、37、49、61歳にお祝いをするというのは昔から現在まであまりないようです。
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※写真について
2008年の4月にドイツのデュースブルク・エッセン大学にて、ヨーロッパでも珍しい、うちなぁぐちの講義をして来ました。琉球新報の記事がhttp://ryukyushimpo.jp/news/storyid-31280-storytopic-1.htmlです。その時の生徒2人がうちなぁに遊びにきていて一緒に夕食会をしました。3人写っている写真の右がニーナで、真ん中がパトリック・フリードリッヒです。もう一枚4人で写っている写真の左にいるのが、私をドイツに招いてくれたパトリック・ハインリッヒ教授。彼は2009年現在、琉球大学の研究員としてうちなぁに住んでいるんです。ちなみにドイツはパトリックと言う名前が多いかも(笑)
text:比嘉光龍
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うちなぁにはこんな
祝い行事があるとわ!
全く知らなかったです(^^)
言葉だけでなく、あらゆ
る場面で独特の伝統があ
るんですね♪
先日は私の投稿に対して、ご丁寧なお返事をいただいて、ありがとうございました。私は江原さんのように何かが見えたり声が聞こえたりするということは全くないのですが、なんとなく感じるというか、そんな気がする…というだけのことなので、光龍さんのコメントを大変嬉しく思いつつもなんだか恐れ多い感じでした
ところで年日というのは、私たちのところでいう米寿(88歳の祝い)や白寿(確か99歳の祝いだったと思いますが)と似たようなものなのでしょうか。
それとは別に生年祝という習慣もあるそうで、本当にとても素敵なことだと思います。
ちなみに、その生年祝いはどのような場所で開かれるのですか? 司会の方を呼ぶほど盛大にされるなんて、いったいどんな場所でされるのだろうと興味がわきました。