今回は、この「沖縄の風」のホームページサイトのスタッフから「うちなぁ(沖縄)」のカレンダーについて書いてくれと頼まれましたので、それについて書いてみます。
うちなぁに住めば誰でも気がつくと思いますが、うちなぁでは現在でも旧暦が良く使われています。日本も昔は旧暦を使っていましたが、「1873年(明治6年)」以降、明治政府が新暦を用いることを定めました。
したがって、「うちなぁぐち(沖縄語)」で新暦のことは、普通「大和暦(やまとぅぐゆみ)」と言います。また、旧暦と強調したい時には「沖縄暦(うちなぁぐゆみ)」と言えば、うちなぁのお年寄り達はすぐ分ります。
旧暦と、うちなぁの行事は切っても切れない関係にあります。しかし、「1972年(昭和47年)」の日本復帰の年からは日本化が急速に進んでしまい、旧暦で年中行事を行うというのは年々弱まっていて、旧正月にいたっては、近年ほとんど祝われなくなってしまっています。ほかに、那覇大綱引きも本来は旧暦の6月だったものが、10月の体育の日という日本の休日にやるようになってしまいました。那覇ハーリーも旧暦5月4日のはずが、ちょうどゴールデンウィークに5月4日があたるということで新暦でやっています。
けれども、お盆は健在です。普通お盆というと日本では新暦7月か、ひと月遅れの8月ですが、うちなぁでは今でも旧暦7月で必ずやります。なぜ日本のお盆にいまだに合わせないのかお年寄りに聞くと、「祖先崇拝が強く残っているからだろう」と言われました。正月も、綱引きも、ハーリーも、ご先祖様の関わりは多少ありますが、これらは基本的に生きている人たちが中心の行事だといえるでしょう。しかし、お盆だけは100パーセント祖先が中心です。これはいくら日本になっても琉球王国時代から行ってきた旧暦は動かせないということなのでしょう。
写真は、旧暦三月三日に「平安座島(へんざじま)」で行われる行事の様子。訪れた日は翌日の三月四日で、村の無事息災を祈るため浜へ行く行事の前でした。左の魚のみこしを島の人が担ぎます。
text:比嘉光龍