ねがいのいえ理事長 藤本真二のブログ

障害を持つ方たちに寄り添い支援する日々の中で感じたこと、そのほか伝えたい話題などを、思いのまま日記風に綴ります。

項羽と劉邦

2009-01-10 22:19:01 | Weblog
 戦国時代の中国を統一しようと強豪が競い合っていたころ、やがてふたりの英雄が頭角をあらわした。世代も体格も似ていたふたりだが、その英雄ぶりは対照的だった。

 連戦連勝で名をとどろかせた項羽は、自ら軍の先頭に立ち戦場を駆け巡って敵を倒す戦いのカリスマ。部下が気軽に話しかけることもできない威圧的なオーラを放っていた。信頼する唯一の側近はたったひとりの参謀だけだった。

 一方の劉邦は、百戦全敗のだめ武将。だが底抜けに人がよく、劉邦のためなら命をかけて尽くしたいという優秀な部下が集まってきた。気弱な主人を後押ししながら、7人の参謀がそれぞれの得意な戦略をたてながら、組織力で戦う。「背水の陣」ということわざの語源にもなった、水辺に誘い込み水を利用した戦いを得意とする戦術家がいた。敵軍に嘘の情報を流し、項羽と唯一信頼する側近の仲たがいをさせた策謀家もいた。そうして徐々に敵を弱らせながら、最後は見事な戦略で勝利をおさめる。

 項羽と劉邦はおそらく、何度戦っても劉邦軍が勝つ。

 組織は劉邦軍でなければならないとずっと思ってきたはずなのに、福祉の世界に飛び込んで以来、何でも自分でやってみたくて、まるで項羽になろうとするかのようにあらゆる経験を積んできた。

 しかし。急速に発展をとげている障害福祉の流れの中で、優秀なスタッフに支えられて強力な組織力を育てていく団体が大きな夢を実現していけるのは明らかなこと。

 ねがいのいえが劉邦軍になれるかどうか、自分のあり方が問われているとずっと思っていました。劉邦のような底抜けにはなれないけれど、確実な成長を遂げているスタッフの最近の姿に感動する今日この頃。歩幅を大きくして進んでいける日が近いことを感じています。