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高齢者の「価値」とは? №227

2014-09-09 16:54:00 | 日記
 高齢者の社会的「価値」とは何でしょうか。仕事をしないのに年金を受給し、現役世代の収入を搾取している。生活保護を受給し、税金を無駄遣いしている。やたらと病院に通い税収のほとんどが高齢の医療費となってしまう等々、あまりよい評価は聞きません。だからといって退職もせずに職場で頑張っていると、老害だと陰口をたたかれたりします。
 OECDの統計によると日本の人口10万人当たりの自殺者数は21.7人で、加盟34ヶ国中第3位で、特に働き盛りの34歳~64歳に多いということです。一方で韓国の自殺率は29.1人で、10年連続で第1位ということです。65歳以上の高齢者の自殺率はこの2.5倍になり、日本と異なり高齢の自殺が増加しているのが特徴のようです。
 韓国江原大学医学部 朴鐘翼(パク・ジョンイク)教授は、このことについて、「高齢者の自殺は貧困だけの問題ではない。『もうすぐ死ぬから、病気治療などにこれ以上金をかけず、子どもに財産を残した方がいい』と自殺を図る人が意外に多い。格差が激しく、競争の敗者が復活しにくくなった韓国社会は高齢者の『価値』を見失いつつある。高齢者も、自分たちに役割がないと感じている。」(2014.9.2読売新聞)と語っています。
 高齢者の「価値」とは何でしょうか。韓国の統計によると、「子どもが親の老後をみるべきだ」とい考える人の割合がこの10年で90%から36%に激減したということです。超学歴社会の韓国では、すべてをなげうって子どもの教育費を捻出してしまうため、老後の資金を蓄える経済的に余裕を失っています。韓国の高齢者の約半数が相対的貧困率(国民の平均所得の半分以下)で、独居老人に限ると70%が貧困層だということです。年金受給者は35%にすぎず、その額も日本円にして月1万円~2万円にすぎず、生活保護受給者は6%(子どもがいれば仕送りがなくても適応除外のため)にとどまります。
 日本でも生活保護の受給者は年々増加しおよそ216万人の人が受給し、そのうち60歳以上の高齢者が5割をしめています。平均寿命は延び続けている一方、貧困率が増加しています。息子や娘たちには経済的に親の面倒をみる余裕がないことが多く、多少の余裕があってもその気がない場合もあります。高齢の父母の方が同居を拒むことが多いのも事実です。
 2400年前古代ギリシャのある劇作家は、「一番いいのは生まれなかったこと。次によいのは、早く死ぬこと」と語っています。人生いかに生きるべきかと悩んだ果てに、人生いかに死ぬべきかという問いに直面しているのが高齢者の現状です。

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