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高校での授業(3)-日本近現代史の立場から

2006-03-27 00:23:52 | 国際学入門の入門
 短時間で、国際関係論を高校生の皆さんの関心を引くようにお話しするのは、私の力に余ります。だから、最近では、私の専門(日本近現代史)の立場から、国際関係をどう見るかというお話をすることにしています。

 私の専攻は、歴史の一部門です。きわめて地味なもので、要するに古い文書や書物をあさって、それを読んで、考えてまとめるという学問です。全く先進的でない。むしろ、華やかな国際学部を落ち着かせていると言えるでしょう。
 
 しかし何か新しいことを期待して、国際学部に来た学生さんを失望させることがあります。昨年度にも、ゼミの学生さんに「フィールドワーク(実地調査)はやらないのですか」と尋ねられましたが、「やらない」と言ってひどく失望させたようです。
 
 ところで、日本近現代史を研究するのに、なぜ外国のことも一緒に勉強する必要があるのでしょうか?
 
 皆さんもご存じの通り、日本の近代は、黒船来航により、開かれました。その後の日本の繁栄も失敗も、国際的環境に左右された側面が強いのです。たとえば全世界が1930年代に同時不況に陥ったとき、新興の日本は、現状打破を求める余り、武力に頼りすぎて、侵略戦争を起こしてしまいました。また戦後の日本の繁栄も、パックスアメリカーナ(アメリカの平和)を無視する訳にいきません。
 
 さらに第二に、他者の視点から、自己の社会を眺めることが、私たちの知見を広げるかもしれないのです。私たちは、物事をありのままに客観的に見ているつもりです。しかしそう考えるのは正しくないでしょう。私たちは、何らかの色眼鏡をかけて、物事を見ていると考えた方が適切でしょう。別の視点(他国の視点、他文化の視点)から、同じことを見れば違った風に見えているということがあるのです。(もちろん別の視点も、色眼鏡付きであることには違いありません。しかし私たちのとは違う色眼鏡をかけているので、別のものが見える可能性があるのです。)

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