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読売新聞社説「「海の日」 外航海運の日本離れをどう防ぐ」

2007-07-16 17:40:37 | 時事問題
16日付読売新聞社説「「海の日」 外航海運の日本離れをどう防ぐ」は、大変勉強になった。

現在日本の海運業界は好況と聞いていた。実際のところ、日本の海運各社は「約2000隻の商船隊を動かし、世界の海で活躍している。新造船の計画も目白押しだ。」

だが深刻な日本離れが起きているという。「1972年に1580隻あった日本籍船が昨年は95隻に、74年に約5万7000人いた日本人船員は約2600人に激減している。」

なんと、日本船籍は100隻を切っているのである。これは「便宜置籍船」偏重の帰結である。船主の所在国とは異なる国に船の籍を置くことである。税金などを安くあげるためである。

安全保障の観点から「便宜置籍船」偏重は問題ありとして、交通政策審議会国際海上輸送部会が、次のような中間報告を行った。
「物資をすべて日本籍船で輸送しなければならない非常事態が1年間続いても、平時の3割強の国民生活と経済活動は維持できるようにすべきだとし、それには約450隻の日本籍船と約5500人の日本人船員が必要、と試算した。」

海運各社も、日本籍船を今後5年で2倍、日本人船員を10年で1・5倍にするとの目標を掲げているようだ。つまり190隻の日本籍船と3900人の日本人船員であるが、これでは中間報告を実現できないと、読売社説は批判している。

さらに日本籍船を増やす政策的措置として「与党は昨年末、トン数標準税制を日本籍船に限定して導入する意向を固め、政府に具体策の検討を指示した。今年末の税制改正で最終決定する。」という。

「トン数標準税制」とは分かりにくい。

日本船主協会によれば、従来の法人税課税方式は(収益-費用)×法人税率である。

これに対して「トン数標準税制」は、(運航船舶の純トン数×係数×運航日数)×法人税率となる。

後者の利点は、利益ではなく船舶のトン数に基づいて算出されるので、好不況にかかわらず税額は一定であることらしい。

社説では「法人税の原則に反するが、競争条件を外国に近づけるため、導入はやむを得ないのではないか。」と述べて、さらに「その場合、日本人船員の雇用拡大を義務化すべきである。」という釘を刺している。
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