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沖縄戦自決教科書検定に関するメモ

2007-06-23 15:01:31 | 時事問題
沖縄戦集団自決に関する高校教科書の記述をめぐって議論が絶えない。以下は備忘録にすぎず、結論はない。

問題の発端は、集団自決に関して、日本軍に強いられたという箇所を削除するようにという検定官の修正意見がついたことである。

22日、沖縄県議会では、この検定意見を撤回するようにとの意見書が全会一致で採択された。それを受けて23日付、産経社説「沖縄戦集団自決 文科省は検定方針を貫け」は、文科省の修正意見は、「日本軍の命令によって住民が集団自決を強いられたとする誤った記述に対して付けられたものだ。軍の関与や体験者の証言を否定しようとはしていない」と述べて、具体的に軍命令説の生成の課程を次のように書いている。
「 集団自決は昭和20年3月下旬、米軍の第1陣が沖縄本島西の渡嘉敷、座間味島などに上陸したときに起きた悲劇的な出来事である。軍命令説は、昭和25年に発刊された沖縄タイムス社の沖縄戦記『鉄の暴風』に書かれ、大江健三郎氏の『沖縄ノート』などの本に孫引きされた。多くの教科書もこの軍命令説に基づいて書かれていた。
 しかし、作家の曽野綾子さんが『鉄の暴風』の記述に疑問を提起したノンフィクション『ある神話の背景』を出したのをはじめ、学者らによる実証的な研究が進められた結果、軍命令説は信憑性を失った。また、集団自決当時の女子青年団員や沖縄の元援護担当者らから、軍命令はなかったという証言が相次いでいる。」

数日前のNHK「クローズアップ現代」もこの問題を取り上げていた。文科省の検定官が修正意見の根拠として掲げたのは、集団自決を命じたとされる将校が事実無根を訴えた裁判判決と林博史『沖縄戦と民衆』(岩波書店)という著書であるという。

文書による命令は確かになかった。しかし日本軍が米軍の残虐さを伝えて、米軍に捕虜にならないように述べ、手榴弾を渡すなど、状況から考えて、軍が集団自決を促す有無をいわせぬ誘導があったという反論が紹介されていた(林博史氏も自ら出演して、同じ趣旨のことを語り、自己の著作の記述がつまみ食いされたことを怒っていた)。今回の文科省の措置は、日本軍が集団自決を強制したということを薄める意味があるというニュアンスが番組を貫かれていたように見えた。
コメント (1)
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