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陳良宇上海市共産党委員会書記解任の意義を学ぶ

2006-10-05 01:54:31 | 時事問題
9月末に陳良宇上海市共産党委員会書記という大物が、汚職事件に関連して解任されたことは、様々な憶測を呼んでいる。

ニューヨークタイムズによれば、この一連の汚職事件の責任者は曾慶紅副主席であるという。曾慶紅は、かつては江沢民の右腕だったのであるが、2004年に胡錦濤主席と組んで、江沢民を完全引退に追い込んだ。それ以来二人はタッグを組んでいる。

今回の動きには、江沢民の影響力を排除するという目的がある。それゆえこれで終わらずに、共産党政治局常務委員の賈慶林(政協主席)、黄菊(副首相)の解任にまで及ぶ可能性も予見されている。二人とも江沢民に近い人物である。

胡錦濤と曾慶紅の目指すものは、政策的には、安定成長、社会的不公正や公害に対する関心、教育・医療・安全に対する国家の支援の重視とされる。江沢民が目指した経済成長一本槍に対するアンチである。

またこの二人がマスメディアやネットに対する規制に務め、平和的反対派に対して苛烈な取り扱いをしてきたために、両者の権力の増大に懸念も表明されているという。

もっとも両者の間に意見の食い違いもあるゆえ、この連合は一時的なものになるという見方も提示されている。

(In Graft Inquiry, Chinese See a Shake-Up Coming, http://www.nytimes.com/2006/10/04/world/asia/04corrupt.html)


中国共産党内の権力闘争は秘密に包まれているので、正確なことは窺い知れないということは承知している。しかし対日強硬派の江沢民VS対日実務路線の胡錦濤という視点ばかりでこの動き見ている私にとっては、大変勉強になった。また曾慶紅=江沢民の右腕とばかり思いこんでいた私には、刺激的な記事であった。
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