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安倍首相訪中訪韓の背景をめぐる毎日と産経の対立

2006-10-06 22:23:49 | 時事問題
10月4日に、安倍首相が7日・8日、訪中・訪韓をするということが公式に発表になった。この問題の報道については、大手新聞では毎日が先行し、産経が最後まで懐疑的であったことは、ここのエントリーで示した。

日本は、10月8日安倍訪中を、9月23日の日中総合政策対話で提案した。しかし中国側が安倍首相の靖国参拝しないという確約を求めていたので、話がまとまらなかった。安倍首相の靖国参拝に対する姿勢は、参拝するかどうかを明らかにしないということである。

ここまでは衆目の一致するところである。ここから先が毎日と産経では異なる。産経によれば次の通りである。

「その後、日本側は8日案を撤回し、10月下旬の訪中を打診した。これに対し、中国側は先月30日になって8日午後に胡錦濤国家主席との会談をセットし、夕食会では温家宝首相と会談する案を打診してきたという。

この中国側の態度急変について日中関係筋は「胡主席の強い指示によるもの」としている。…

また、安倍首相が先月28日に韓国の盧武鉉大統領と電話会談し、早期に首脳会談を行うことで合意したことも大きい。直後に日韓両政府は首相が盧武鉉大統領と9日にソウルで会談することで基本合意。中国側に圧力をかけた形となった。」
(安倍首相、訪中きょう決断 8日会談 胡主席の意向、http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/m20061003000.html)

産経は、日韓会談が中国に対する圧力として作用したと考えている。

毎日によれば、中国が非常に熱心で、中国との会談が先にきまり、後に日韓の会談がセットされたとなる。

「安倍晋三首相の8日訪中をめぐり、9月23~26日に東京で開かれた日中外務次官級の総合政策対話で日本側が首脳会談の開催日を8日に特定して打診していたことが分かった。日中外交筋が3日、明らかにした。中国側は首脳会談再開の条件として首相の靖国神社参拝自粛を求めつつ訪中案は持ち帰り、胡錦濤国家主席の判断として9月28日までに受け入れを回答。これを受け日本政府は韓国に「セット訪問」を打診し、取り残されることを嫌った韓国も受け入れるという経緯をたどった。」
(日中首脳会談:「8日」日本から提案 受諾受け、訪韓打診、http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/archive/news/2006/10/04/20061004ddm002010041000c.html)

気になるのは、安倍訪中を受け入れた中国の意図である。

毎日の「日中首脳会談:安倍首相訪中、「次官ライン」で実現 靖国問題「見切り発車」」(http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/archive/news/2006/10/05/20061005ddm002010078000c.html)によれば、

「参拝自粛の合意なしに中国が訪中を受け入れた理由は定かでない。胡主席が江沢民前国家主席の「上海閥」一掃に動くなど権力基盤を固めてきたことが背景にありそうだが、胡耀邦元総書記が中曽根康弘元首相の靖国参拝(85年)も絡み失脚した歴史から、中国側は会談再開後に「裏切られる」ことを警戒する。」

最後の文章は重い。中国の指導者にとって、日本の指導者を受け入れるのは、ある種の賭であるのだ。安倍首相の靖国参拝問題は、玉虫色状態である。しかし安倍首相が、ここ数日来「歴史問題」に関する国会答弁で見せている柔軟さを前提とすれば、靖国に行くか行かないかは明らかにしないということは、おそらく首相在任中は行かないということと同義なのではないだろうか。

もっとも北朝鮮の核実験問題が表面化してきているので、日中・日韓会談でもこの問題が大きく取り上げられ、靖国問題は後継に退くかもしれない。安倍首相には、強運があるのかもしれない。
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