クムカン山のトラたいじ/松谷 みよ子・文 梶山 俊夫・絵/ほるぷ出版/1991年
キルリヨンには、父さんがいません。クムカン山の大トラを退治にいって、それっきりかえってこなかったのです。
キルリヨンは、八つになったとき、父さんのかたきを討とうと、鉄砲の稽古を始めます。
三年たっても母さんはうんといいません。さらに三年、もう三年たって、母さんはおくりだしてくれます。
歩き続けてクムカン山のふもとにつくと、チャカルク チャカルクと機をおっているおばあさんがいて、「いつも、心の目をみひらいていくんだよ」と助言してくれます。
この助言のおかげで二頭のトラを退治することに成功しますが、やがてあらわれたのは大トラ。
いくら鉄砲をうっても跳ね返され、キルリヨンは、大トラに飲み込まれてしまいます。
大トラのはらのなかには、たくさんの骸骨。父さんの骨にも気がつきます。
さらに一人の娘も。キルリヨンは刀で大トラのはらをさして・・・。
楽しいのはキルリヨンが娘に「しりのあなから 外をみて、どこに いるかしらせてください」という場面。
尻の穴からは、山が見えます。
大トラのはらのなかには、水も果物もあります。三日三晩大トラのはらのなかで生き続けられたのは、このおかげです。