くらやみきんしの国/エミリーハワース=ブース・作 おおつか のりこ・訳/あかね書房/2020年
暗闇がこわい王子は、王さまになったら、暗闇をなんとかしようときめていました。やがて王さまになると、大臣たちに自分の考えを話しました。
禁止と言い渡しては、国民がすんなりと受け入れないと思った大臣たちは、自分でたちで決めたとおもわせるため、うわさを流しました。
くらやみは おそろしい
くらやみは つまらない! あそべない!
いまあかされる くらやみの すべて! くらやみは お金をぬすんでいく おもちゃも おかしも とっていく!
誰もが、暗闇を不安に感じたことはありませんでしたが、きゅうに 暗闇が とんでもない悪いものに 思えてきました。そこで みんなは お城まで行進し、暗闇を禁止すべきだと訴えました。
大臣たちは、自分たちの思い通りになったと思い込み、大喜びしました。
王さまは、巨大な人工太陽塔を作らせ、お城の前に据えました。
本物の太陽が沈んでも、人工太陽は照り続けます。どこの家のカーテンはとりはらわれ、窓にも、あかりがともり、だれもが 一晩中うかれて騒いでいました。
ところがしばらくすると、みんなは、眠れなくなり、暗闇をとりもどそうとします。
大臣たちは楽しい花火パーティーでごまかそうとしますが・・・。
どうなるかは想像できますが、えらい人たちが、自分たちできめさせたようにもっていくのは、今も同じかもしれません。情報操作には要注意です。
みんなが暗闇をとりもどすために、明かり警察に対抗して、家の明かりを順々に消す場面があります。二ページにわたって100以上の家が小さく描かれ、一軒一軒の明かりが消えていく様子は、動画にしたら楽しそうでした。