ラテンアメリカ民話集/三原幸久編訳/岩波文庫/2019年
最も弱いと思われる動物が、恐ろしい動物をやりこめる話。
あるおばあさんがもっている野菜畑に、子ヤギが一匹畑に入ってきて野菜を食べていました。おばあさんが子ヤギを引き出そうとすると、足蹴にすると脅したので、お婆さんは逃げ出し、誰かに助けを求めようとしました。
キツネに出会い、おばあさんが「子ヤギがわたしの畑に入ってきて野菜を食べているのを見ていても、自分の力で追っ払えないんだよ。これが泣かずにおかれましょうか」と答えると、キツネは、おばあさんと子ヤギのところへいきますが、「ぼくは子ヤギの中でもえり抜きの強い子ヤギだ。出て行ったらお前をけとばしてやる」と言われ、去っていきました。
おばあさんが雄牛に会い、おなじように子ヤギのところへでかけますが、キツネと同じように、子ヤギに驚かされ、子ヤギを追い出す力はないといって、去っていきました。
次に小アリと、野菜畑に。小アリは草むらに身を隠し、子ヤギの足によじ登り、ここぞと思うところにくると、思い切り刺しました。子ヤギはあまり痛いのでびっくりして立ちあがり、畑から飛び出して逃げて行ってしまいます。
おばあさんがお礼に小麦をやりましたが、小アリはその中から一粒だけ受け取って家にかえりました。
ここでは、強いと思われる動物が二匹だけですが、さらに追加することもできるし、アリでなくてもハチでもよさそう。動物の登場にも工夫ができるし、応用範囲が広そうです。