埼玉県の民話/日本児童文学者協会編/偕成社/1979年初版
比企丘陵のはずれにある松山城の伝説。
この地の人が、こうじを買わなくなった由来話。
松山城の城主、太田資正は武田信玄、北条氏康の大軍にせめこまれ、上杉謙信にすくいをもとめるが、上杉がくるまで、松山城に籠城します。
城は、高いところなので水に不自由。相手方も城を囲んで、水を絶つ作戦。
ところが、物見の兵が城の様子をうかがっていると、城の中では、水をかけて、馬を洗っています。
いったんしりぞこうとしますが、ほかにも水場があるのか調べることに。
ひとりのさむらいが、草むらを調べていると、ばあさまがしゃがんで、鍋をあらっています。
細い流れですが、この水を城でもつかうのかと、さむらいがたずねると、ばあさまは、いったんは「城のかくし水」とこたえるが、おどされて「城で馬をあらったのは水ではなく、お米ですだ」と答えてしまいます。
騙されそうになった連合軍が、いきりたって城をせめたので、松山城は落城してしまいます。
このおばあさん、こうじ屋であることがわかり、この地の人がこうじを買わなくなります。
この城は、1399年に築城され、2008年に「比企城館跡群」の一つとして国の史跡に指定されているようです。
白米城伝説は、これだけでなく二十五府県に七十九話も伝わっているといいいます。
香川版では、城からでてきた尼が、水がないことを白状し、罪を問われます。