観察 Observation

研究室メンバーによる自然についてのエッセー

身近な外来動物

2014-06-01 23:29:48 | 14
3年 上杉美由紀

 私の中で身近な野生動物に外来種であるクリハラリス(一般にはタイワンリスと呼ばれる)がいる。私は江ノ島近辺の住宅地にすんでいるが、そこには昔江ノ島植物園から逃げ出したクリハラリスが多く生息している。頻繁に見られるという訳ではないが、ふつうの住宅地に住んでいる人に比べれば、私がリスを見たことがある回数はとても多いだろう。私はクリハラリスを見かけるといつも立ち止まって観察する。電線を走っていたり、木の陰でじっとしていたり、木を登っていたり、毛繕いをしていたり様々である。毎回見失ってしまうまで観察して、行動を見ることを楽しんでいる。
 しかし、私がクリハラリスを見ることで癒されている一方で、クリハラリスが増えすぎたことで駆除が行われている。幼い頃からクリハラリスが周りに存在していることは当たり前のことであり、愛着もあったので、被害抑制のためにクリハラリスが駆除されていることを知った時、ともかくかわいそうだと思った。被害のことを知った今は、駆除しなければならないこと、そうしなければますます増えて、被害も増加することは頭では理解しているつもりだが、気持ちは複雑である。
 外来種の意味などについて知識が増えると、人間の生活に被害を与えるだけでなく、種によっては在来種と競合して在来種の個体数を減らしてしまうといったような悪影響を与えることもわかった。このような問題を踏まえると、外来種を駆除することも必要なのかもしれないと思うようになった。
 でも、主観的だということはわかっているが、アライグマは獰猛な感じがするし、こわいとも思うし、そのアライグマが果実に被害を与えるとか、水生動物群集に悪影響を与えるというような場合とクリハラリスの場合はなにか違うような気がする。クリハラリスは見た目もかわいいし、体が小さいから、被害といっても量的に少ないだろうし、それに人の心をなごませるというプラスの面もあると思う。そう考えれば、望んだわけでもないのに外国に連れてこられ、逃げたら少し被害があるといって、徹底的に駆除されているクリハラリスは、何か人間の勝手な都合にふり回されているようでかわいそうな気がしてくる。
 今の私でははっきりと答えを示すことはできないが、今後勉強を重ね、このような問題を深く考えていきたいと思っている。

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