入笠牧場その日その時

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      鹿への言い訳 その1

2013年08月07日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など
                                                捕獲された雄鹿
 天気:晴れ、気温:25度C(最高)                             

 たくさんの鹿を捕獲して、殺した。5年間で500頭を超す。鹿の国に行ったら、即絞首刑だろう。そういう夢を見ることも一再ではない。
 基本的には、魚釣りも昆虫採集もしない。10年前郷里の信州に帰り、犬を飼う以外、生き物とは関わりなく暮らすことを選んだ。
 ところが、牧場管理人になり、変わる。
 この仕事を始めた平成19年の冬、大型の囲い罠ができた。当初は、捕獲した場合、その連絡をすればよいという程度の話だった。それが翌年になると、下から鹿を捕獲するために、その誘引に使ういろいろな物が上がってくるようになった。リンゴ、ナシ、糠漬けの残りから、しまいには養命酒の搾りかすまで。
 
 当初は、鹿なぞいてもよいではないかと軽く考えていた。それが変わったのは、このたくさんの鹿が里へ下り、限界集落に暮らす年寄りの丹精こめた作物を、みな食べてしまうということを知ってからだ。牧場はこうした人から見たら、公害を垂れ流す悪徳企業と同じではないかと。

 しかし、捕獲は簡単ではなかった。最初の年はたった1頭、それも偶々迷い込んだあげくのことで、仕掛けは作動してなかった。ただし、だから手が掛からなかったわけではない。誘引に使うリンゴやナシ、その他の果物や野菜は、狐をはじめとして狸、穴熊などの大好物である。夜中に忍び込んでは食べ、罠を作動させてしまうのだ。重いゲートを上げ、煩瑣な仕掛けをリセットするという苦労が日常化するようになる。雨の日などは車が滑って急な坂を登ることができないのだが、そういうときにかぎってワイヤーがキンクして、300メートルばかりの距離を雨に濡れながら梯子を担ぎ往復することにもなるのだ。
 (この稿続く)

 
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