今年もまたイカリソウの花が咲いた。この花の寿命は短い。同じイカリソウでも白い花の方は咲き出すのが遅く、ようやく芽が出たばかりだ。近くにはヒトリシズカも咲き出したし、駄目だと諦めていたカタクリも、小さな芽がいつの間にか生えていた。しかしもう、これらの野草にはあまり目をかけてやれない。
出でて去なば主なき宿と成りぬとも軒端の梅よ春をわするな ー実朝ー
明日から生活の中心が上に移る。それに際し、すでに大方梅の花も終わってしまった今、それでもなぜかこの歌が頭に浮かんできた。荒れ放題の陋屋だが、そこに残す草花に対する今の心境に近い。
その梅の木、何人かに枝の剪定をやり過ぎだと言われ、枯れるぞとも脅された。ところが一昨日、北原のお師匠来宅の折に見て貰ったら、言下に大丈夫だと言われ安心した。それに加え、今年は梅の実は諦めてもらわねばとECG家には伝えておいたが、まだもう1本残ていたのに気が付いた。それを知ればきっと喜ぶだろう。
一昨夜、酔っぱらって街から歩いて帰ってきて、何人かに心配をかけた。あの夜は些か度が過ぎたが、酔えば酔うほどに故郷への思いや人への情愛が募り、あるいは過ぎた日々の諸々が甦り、それら混沌、妄想を噛みしめ味わうにはやはり、天竜川の川音を聞きながら歩くのが一番だという考えは変わらない。
昨日あたり、日中に行ってみれば、河原のヤナギやアカシアの芽吹きが始まり、土手草も春らしい色に変わりつつあった。川の音にも、水の色にも、そこはかとない安らぎ、親しみを感じた。
冬ごもりが終わる。明日からはまた、上から。
赤羽さん、活躍の春ですね。それにつけても、白岩から横岳、戸台となると、戻るのが大変ですが手立てはありますか。あの小黒川林道は新緑の中を歩いてもなかなかのものです。多少の案もあるし、もちろん協力はいたします。合掌
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