カッコーの声で目が覚めた。昨日も聞いた。もっと以前から聞こえていたような気がしていたが、もしかすれば昨日のあれが「初鳴」きだったかも知れない。今朝は随分と速いテンポで鳴き続け、その間に3回ほど短い休憩を入れたようだが、今はもうしない。
5時半、まだ太陽は山蔭にいて直接日は射し込まず、空には真綿のような薄い雲が放射状に見えている。きょうも、まずまずの天気になるようだ。
昨日は午前中に用事を済ませ、家の前を素通りしてここに帰ってきた。融通の効かぬ性格というのか、この上留守にしている家のことにまで気を煩わしたくなかった。
春先に植えたイチイのことが一瞬頭をよぎったが、前夜は里も雨が降ったはずだから枯れる心配はないとして、伸び放題の草や、郵便箱の中は無視した。呼び戻されるかと案じていた件は、電話で済んだ。入笠が紹介されている山岳雑誌は忘れずに購入し、手許にある。
3時過ぎ、牧場の仕事を一段落させ、テイ沢へ出掛けた。下から9番目、以前なら8番目、の少し下流になる場所に取り敢えず4本の丸太を仮架けしてきた。
この場所の方が、増水時に流失する可能性が低いと判断したからだが、実のところは起きて見なければ分からない。
3本の丸太は流失したのを引き上げ、あらかじめ一時置きしておいた物だがヒノキである。もう1本は先日ここから運んだ丸太だがヒノキではなく落葉松で、やはり何日か前に入手したバレーりーナ張りのヒノキは無理だった。きょう中には、人が渡れるようにする。
増水しなければ渡渉できるから、余計なことをするなと言う人がいることも考える。そういう迷いはこの沢の放置された橋に手を出してから以降、常にある。
また、手摺もない橋の場合は転落の危険もあるし、一度に複数の人が渡ろうとすれば丸太が折れてしまうことだって考えられる。あくまで素人が、仕事の合間にしたことだ。もちろん、事故が起きたら自己満足などでは済まされない。
確認してないが、最近の地図にはテイ沢が登山路として記されているという。そうなった以上は放ったらかしにはできないし、やはり終わらせなければならないと考えるしかなかった。
いずれは、今は知らぬ存ぜぬを決めているあの人たちに、ご登場願うしかないだろう。
本日はこの辺で。
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