能登でココロもどる旅

ぶなの森エコツアーのスタッフブログです。
能登の海・山・里で日本の原風景に帰る旅を楽しみましょう。

鉢伏山 今昔物語 2

2009年07月06日 | 鉢伏山
旧柳田村ではブナ林を保護するために昭和44年(1969年)、一体を村の天然記念物に指定しました。
昭和58年(1983年)1月には「21世紀に残したい日本の自然100選」(朝日新聞社・森林文化協会)に選出されました。



「村長、ブナ林が切られてしまう」

鉢伏山の自然と歴史をコツコツと研究している村の文化財保護審議委員・原田正彰さんが、
昭和57年(1982年)暮れに村役場へかけ込みました。
年明けて昭和58年(1983年)1月に「21世紀に残したい日本の自然100選」に選ばれたブナ林が残る山頂付近は
「白滝の自然林」の名で親しまれていますが、山の持ち主二人が立木をチップ会社に売る契約をしたのです。
「雑木を切ってスギを植える」というのが持ち主の計画。
農業と林業で生きてきた村の人にすればごく自然な考え方でした。
跡地については公団造林申請書が提出されており、ブナ林は消滅の危機に瀕していました。

竹内虎治村長の決断は素早かった。
「村が買いましょう。自然100選に選ばれるほどの価値ある林なのだから。
いま見過ごして村からブナ林が消えたら、子孫に申し訳ない」

村長は持ち主と何度も話し合い、議会とも相談し金を借りるために県庁へも足を運びました。
石川県知事 中西陽一氏の支持もあり、自治振興資金を利用することができました。

そして同年8月に1100万円で白滝自然林10ヘクタールを買い取り、村有林として登記を完了しました。
年間予算22億円、村税収入1億8千万円の村にとっては大金でしたが、
ブナ林を買い上げた目的は自然保護と同時に治水のためでもありました。
懸念された土砂の流入を防止する水害対策も講じられたのです。



こうした保全の取り組みは柳田村の英断として当時大きな反響を呼びました。
鉢伏山は昭和60年(1985年)に「朝日森林文化賞(自然保護部門奨励賞)」に、
昭和61年(1986年)には「森林浴の森100選」にも選ばれました。
時を下って平成7年(1995年)「いしかわの森林50選」に加えられました。

鉢伏山の最後のブナ林は伐採をまぬがれて、往時の面影を今日に伝えています。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿