能登でココロもどる旅

ぶなの森エコツアーのスタッフブログです。
能登の海・山・里で日本の原風景に帰る旅を楽しみましょう。

スタッフブログ

インタープリター山崎の日常、スタッフブログ「ゆらりぶらり」も日々更新中です!

鉢伏山 海と山のつながり

2010年07月09日 | 鉢伏山
梅雨の合間、水源の森自然ウォークにアウトドア・アクティビティの先生をお連れしました。

ダイビングの指導員として13年のキャリアをもつ彼女は海から山を注目しています。
豊かで多様性のある森の自然環境は海の豊かさの源として深くつながっていることに気がついたそうです。

好奇心が見つけだす小さき存在、その観察には繊細さを要します。
それは海も山も一緒、さっそくキノコを見つけました。

コケの上にキノコが生えます。この似て非なる組み合わせに4億年の秘密が隠されています。

ふつうでも湿気の多い水源の森はさらに梅雨の大気で湿度120%の様相です。
やがて真っ暗になって雷が鳴り、雨が降り出してしまいました。

ところが雷雨にも関わらず全然雨が落ちてきません。
森の中でじっとしてお弁当を食べ終わるまでの20分くらいはまるで「森の傘」です。
雨音が山に反響して白くけむって美しく変化する様を高みの見物。
しばらくすると大粒の雨水が葉っぱから落っこちてきましたが少しずつ濡れていく感じでした。

雨が降り始めてからあがるまで、森の傘の一部始終をすべてを体験したのは私も初めて。
災い転じて福、雨のブナ林もいいものです。

海で生まれた雲が山で雨となり、これが豊かな水源となってしずくが川を下り海に注ぐ。
水の旅をしっとりと実感したいいツアーになりました。

鉢伏山 幻の滝

2010年06月21日 | 鉢伏山
「鉢伏山には幻の滝がある。山の懐深くに抱かれているためその姿を目の当たりにした者は少ない。
 うわさだけで、幻の滝と呼ばれている」 と、山に詳しい方から聞いてはいた「白滝」の存在。

今日、いつも活動している上流から沢づたいに下りてその伝説を確かめてみることにしました。
とはいっても行程は困難を極め、もう弱気になってきた頃・・・
せせらぎとは違う太いしぶきの音が聞こえてきました。もしや?!

共に苦難を乗り越えてたどり着いた広報マンも男を見せる激写、興奮中です。


これが私たちの目の前に現れた鉢伏山の幻の滝「白滝」の全貌です。

高さ約10メートル、2段に分かれ上段の滝つぼは滝修行ができそうです。

垂直に落ちる滝らしい滝で記念写真(笑)。

私たちがエコツアーのフィールドと見定めた鉢伏山。
時間をかけて深く知れば知るほどいろいろなことが見えてきます。
山はそれを求めるものに少しずつその懐を開いてくれています。

鉢伏山 ムカシトンボ

2010年06月17日 | 鉢伏山
郷土の水生昆虫を長い間研究している谷口正成さんが能登の五山の山系を中心とした調査記録を
著書『この川にこんな「いのち」が』にまとめています。
それによると鉢伏山にはムカシトンボの生息が確認されています。


そこで鉢伏山山域の水系でムカシトンボを探しました。
谷口先生もお久しぶりのご様子です。まるで探検隊です。

以前にムカシトンボのヤゴを確認したとされる場所で底をすくい始めました。
小石を丁寧によけながら何度も繰り返し辛抱強く探し続けます。

でも簡単に見つかるものでもありません。そろそろ私たちもあきらめかけていたころ・・・

「ありましたっ!」と。

ホントにムカシトンボのヤゴを採取しました。お見事!

ムカシトンボは巨大恐竜がのし歩いていた中生代からそのままの姿の「生きている化石」です。
恐竜は絶滅しましたがムカシトンボは2億年も命をつないできたのです。
しかも世界中で日本とヒマラヤにしかいないそうです。
夏でも18℃までの低水温と陽の差さない森林が生息環境でムカシトンボの幼虫(ヤゴ)は8年かけて育ちます。
だからその地域が少なくとも10年は環境が変わっていないことを示す「指標生物」です。

ムカシトンボに魅せられて水生昆虫の研究をしてきた谷口先生でさえも
成虫のムカシトンボが飛んでいるのを見たことがないといいます。
希少種ではありませんが自然豊かな環境にひっそりと生息している虫なのです。

鉢伏山 ブナの誕生

2010年06月09日 | 鉢伏山
これはブナの芽です。種から生えた新芽です。よく見ると下が双葉になっています。

まだまだ小さいですが、こんな大きな木になるまで何年かかるのでしょうか。

そっと見守り観察しています。

はじめて気が付いたのは5月中旬ごろでした。なんだか小さな芽がよく見ると林床にいっぱいありました。

もしやと思いながらよく探したら、殻をつけたままの芽を発見し、ブナであることが決定的になりました。
実はこれ、今年ならではの光景なのです。

昨年はブナの実の豊作年でした。去年の春はそこらじゅうブナの花盛りでした。
といっても地味であまり目立ちません。これが雄花(雄花序)、

これが雌花、風媒介による受粉です。

秋になると成熟して中にふたつの種ができます。

これがポロッと落ちてひと冬越して芽を出しました。

ところが今年の春先には新芽と同時に咲くブナの花をほとんど見ることができませんでした。
だから今年は不作です。
ブナは5~6年に一度豊作になる他はずっと不作になり、それが広範囲で同様に起こるのです。
もちろん鉢伏山は狭い分布域ですからすべてのブナが同調しています。
個体だけみていても絶対に分からない、種族全体の意志のようなものがあるのでしょうか。
不思議です。

鉢伏山 道の整備

2010年05月25日 | 鉢伏山
今週は雨続きですが、合間をぬって山へ入っています。
桜の木が冬の雪で倒れて林道にはみ出していたのがずっと気になっていましたが

チェーンソーで細かくして道のわきに寄せておきました。

これで安心です。

それから鉢伏山山頂への登り道も歩きやすいように整備しました。

灌木を除け、コースを分かりやすくしました。佐野さんがチェーンソーで仕上げます。

歩いているとあちらこちらにネマガリタケの新芽が出ていました。

山菜になるということなのでゆでてみました。アク抜きは要りません。
食べてみるとアスパラのようなコーンのような味で、これはイケる!

鉢伏山 山に入ってこそ

2010年05月20日 | 鉢伏山
鉢伏山は奥能登の重要な水源地帯です。
もしこの山がなかったら奥能登は渇水に悩まされ、こんなに豊かな風土にはなっていなかったでしょう。

そんな水源の様子を訪れる方全てにお見せしたいのですが、谷底へ下るルートが少々きついのが難点です。
そこで現在、新ルートを探索しています。
「山のことは山に入ってこそ分かる」との言葉通り、過去に人の歩いた痕跡が確認されたり、
知らなかった生き物や興味深い対象など別の可能性が見つかるのです。

たとえばこんなふうに抱き合っているブナとミズナラの大木のように山や森が語ってくれます。


それから忘れものもみつかります(笑)。

学校に持って行ってあげなくちゃ。

鉢伏山 フィールド整備

2010年05月17日 | 鉢伏山
明日子どもたちを鉢伏山に迎えるのでフィールドの安全確認と整備を行いました。
まずはヤマウルシを切って回りました。この時期は赤茶の新芽が目立つので分かりやすいです。

子どもたちが木登りをするフィールドは下草を刈り、枯れた幹や枝を切ってスッキリさせました。

それにしても気持ちのいい森です。

このブナの根元が座り心地のよいイスになることを発見しました。ちょっと一息。

ついに「わたしの木」を見つけました(笑)。

新緑のベストシーズンに子どもたちを迎えることができ、楽しみです。

鉢伏山 新緑の森

2010年05月05日 | 鉢伏山
森で一番早い新緑のブナたち。

子どもの日なので子どもとブナ林に入りました。

娘はこのお気に入りの木で休むのが楽しみです。

ゴールデンウィークの期間中は素晴らしい天候で、これまでの冷涼な空気が一新しました。

ブナの若葉も光り輝いていました。

上を見上げて木の根元で横になっていると、まるで自分が森の一部になったようで・・・

すぐそばでコゲラ(小さいキツツキ)が幹を叩いて木屑を落としていました。感激!

異彩を放つハウチワカエデの芽吹きです。

下を見るとネマガリダケの芽が生えていたので折り取りました。

いつも刈り取って退治していますが、ベビータケノコとして楽しる山菜でもあります。
後でホイルで蒸して食べたらトウモロコシのような味わいでした。

鉢伏山へようこそ

2010年05月03日 | 鉢伏山
東京の友人が能登を訪ねてくれたので鉢伏山のブナ林もご案内しました。
彼曰く「ブログの内容が本物かどうか確かめたかった」

ブナのこと、山のこと、森のことをこれまで調べたことをご一緒に探りながら歩きました。
ブナ林の保水力や川のはじまりも実感して頂きました。
・・・さて、ブログの内容はホンモノだったでしょうか(笑)。

森でゆっくり寝転がってみました。ライトグリーンの木はすべてブナです。

その他の木とは芽吹きの違いで分かります。

新緑の森は爽快でした。
都会に住んでいても公園の森で過ごす時間を取り入れた暮らしは素敵ですね。

鉢伏山 ブナの芽吹き

2010年04月28日 | 鉢伏山
ついにブナが芽吹きました。
森にある他の木々よりも一足早く葉が開きます。
これはブナの優位性を示す戦略のひとつといえるでしょう。

ふさふさの産毛に包まれたような葉が開いていきます。
うまれたばかりのやわらかい葉です。

芽吹きのエネルギーはいったいどこから来るのか不思議に思いませんか?
長い冬を過ごした木のどこにそんな力が残っていたんでしょうか。

これは「マロングラッセの誘惑」

「森の燭台」

様々な芽吹きの姿です。

鉢伏山 新芽の仕組み

2010年04月20日 | 鉢伏山
これから新緑の爆発を始める前の嵐の前の静けさのブナ。

枝先の新芽が今まさに芽吹くところです。

待ちきれないのでブナの新芽の仕組みを探ってみることにしました。

この新芽の長さは2.5cmと伸びています。冬芽の時はもっと短かった。
茶色いのは芽鱗(がりん)で20枚以上も重なって外気から新芽を守っていました。

これから一枚一枚が鱗片となってはがれて落ち葉の上に降ります。
新芽はたくさんの絹毛に覆われています。寒さや凍結から防いでいました。

折りたたまれた緑を試しに広げてみると、まぎれもないブナの若葉が登場です。

葉や茎がコンパクトに収まっていましたが、養分や水分を吸って大きくなることでしょう。

樹木は春から初夏にかけて一斉に伸び、枝の先端や葉のわきに芽をつくってその年の伸長を終え、
また翌年同じことを繰り返します。それが春のエネルギーの秘密です。

鉢伏山 ブナ林にて

2010年04月18日 | 鉢伏山
車で行けるようになった鉢伏山のブナ林。久しぶりにゆっくり過ごしてみました。

森はまだ早春の装いです。ショウジョウバカマの花があちこちで咲いています。

水源地のせせらぎは雪解けの水も合わせて落ち葉の上にあふれるほど流れていました。

なんと川へ向かう狭いルートに雪。谷の雪が集まったなごりです。

近づいて覗いてみると中は空洞です。せせらぎの水が溶かしたのでしょう。
とけ残った雪は固く締っていて頑丈でした。端の上を歩いていけそうです。

今年は寒くて新緑の芽吹きももう少し先になりそうです。

それでも気候が緩む日は春の森らしいくつろいだ時間を楽しむことができます。

鉢伏山 除雪&林道開通

2010年04月17日 | 鉢伏山
鉢伏山林道が能登森林組合により除雪され開通しました。

途中から歩いて入るしかなかった山の稜線に再び車で入ることができます。

ブナ林は冬のままの装いですが、枝先には芽吹き直前のふくらみが出ています。

林道沿いのブナの女王・クイーンと久しぶりの対面です。
多雪でしたが枝折れもなく美しいままの姿でした。

大箱から入る鉢伏山林道は鉢伏山山頂入り口まで完全除雪されていました。

一方ここから分岐する北河内林道はそのままで依然通行できません。ご注意ください。

鉢伏山 YA!YA!YA!

2010年04月13日 | 鉢伏山
LONG TIME NO SEE! ブナ林に足を踏み入れました。
やあ、久しぶり。この冬は雪が多かったけど元気だったかい?

能登の屋根にもいよいよ春の気配です。

北斜面には最後の雪が残っています。

この下は夏でも枯れない水源地の谷があります。なっとく。

うすむらさき色のショウジョウバカマが咲き始めていました。

雪が融けたらすぐです。

ヤドリギの子どもも黄色い花を咲かせていました。

一年で一節ずつ伸びます。継続的に観察中です。

みんな元気そうでした。今年もよろしくね!

鉢伏山 眺望  

2010年04月12日 | 鉢伏山
4ヶ月振りに入った鉢伏山の山域です。
所々雪の残る林道をテクテク歩きながら眺望を楽しみました。

七尾湾をのぞむ。


北アルプスをのぞむ

うねうねと続く丘の彼方に海の一文字の青いライン、その上に雲のような白い峰。

これが鉢伏山。その名の通り、鉢を伏せたようなかたちの山。

あの杉がちょっと邪魔者です(笑)。

そして見えてきた道沿いの「一番ブナ」と

見慣れたブナ林のシルエット。なんだかホッとします。