ATSUー歴女(おばさん?)のひとりごとー

見たこと・聞いたこと・ちょっと調べたこと,気ままに「My 日記」として書いています。

熊野勧進十界曼荼羅には地獄はあっても極楽はありません。

2015-11-07 11:04:11 | 歴博
職員のMさん,
まだ,歴博に転職して1年たっていません。
覚えようと頑張っています。
解説は自分でノートに書きうつし,解説ボランティアさんの話を聞き,勉強熱心です。

私もまねをしようと,ノートに書き写し始めることにしました。
と,その時,先輩ボランティアのTさんが,
「あんた,この前,熊野勧進十界曼荼羅の解説聞きたいって言っていたなあ。
今,時間あるから解説してあげよう。」
と言ってくださいました。

(解説の細かいところは省略。実物見ないとわかりにくいし,長くなりますので)

その後,熊野十界曼荼羅の解説シートを写す。
解説を聞いてから写すので,とてもわかりやすい。
小栗栖先生の『地獄絵の世界』なども読んでいたしね。

が,次の疑問

「地獄」があるなら「極楽」は?
熊野勧進十界曼荼羅のどこに極楽はあるの?
人間は六道を輪廻転生するって言うけど,
閻魔さんに認めてもらって,天道に言っても寿命があるんでしょ。
仏の世界には行けないし,じゃあ,極楽って何?

先輩ボランティアTさんに質問すると,
「・・・あんたは,おもしろいことに気がつくなあ。そんな質問初めてや。」
とお褒め(?)の言葉をいただきました。
「調べてみ」

本を検索すると,ありました。
『みたい! しりたい! しらべたい!
 日本の地獄・極楽 なんでも図鑑
 3.極楽って どんなところ?』
(監修 松尾恒一 ミネルヴァ書房)

末法思想や,浄土教,宇治の平等院の話など,子ども向けの本なので,とてもわかりやすく書いています。

そして,

「生前によいおこないをして六道のうちの天道にうまれかわったとします。
天道は苦しみが少なく寿命の長い天人のすむ世界ですが,それでもいつかは死ななければなりません。
死んだらつぎは苦しい世界にうまれかわるかもしれません。
輪廻転生の輪のなかにいるかぎり,このなやみはなくならないのです。
しかし,功徳を積んで極楽にいくことができれば,死の苦しみやなやみから解放されます。」

と書いているではありませんか。

つまり,極楽は,熊野勧進十界曼荼羅の世界とは,全く別の世界なのです。あの,曼荼羅にはないのです。


え,ちょっと待って

高校の教科書的に言えば,
法然の浄土宗は,阿弥陀仏を信じ,念仏を唱えれば,死後は平等に極楽浄土に行けるんですよね。(専修念仏)
親鸞は,「善人なをもちて往生をとぐ,いはんや悪人をや。」ですよね。
じゃあ,そんなに頑張らなくても,みんな極楽浄土に行けるんじゃないですか?

そんなこと言っていたら,地獄絵の意味がなくなるって。

悪いことをしたら地獄に堕ちるよ,おりこうさんにしないと極楽に行けないよ。
って,私が子どもの時にもこんな話を聞いたような気がするし,
江戸時代の熊野勧進十界曼荼羅を持って勧進した熊野比丘にも言ってたんでしょ?
(熊野比丘の場合は,先祖を供養しなさい。
→仏を信じなさい。
→熊野に金を出してください。・・・かな?
神と仏については,神仏習合)

末法思想の平安末期・鎌倉時代と宗教ごった煮・寺請制度の江戸時代との違いかな?

ますます,おもしろい
コメント
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