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「中国には制裁という外交手段はありません」 第4回「中国を理解する」オンラインセミナー「習近平外交思想と中国特色ある大国外交」

「中国には制裁という外交手段はありません」
第4回「中国を理解する」オンラインセミナー「習近平外交思想と中国特色ある大国外交」


 10/22、中国駐大阪総領事館主催の第4回「中国を理解する」オンラインセミナーが開催されました。講師には栄鷹氏(中国国際問題研究院副院長、習近平外交思想研究センター特約専門家)をお迎えし「習近平外交思想と中国特色ある大国外交」について講演されました。

 詳しくは後日中国駐大阪総領事館のホームページに記事が載るかと思いますのでご覧ください。セミナーで私の心に残った言葉があります。「中国には制裁という外交手段はありません」という言葉です。Q&Aでの栄鷹氏の発言です。それでハタと気付いたのです。そういうと制裁が大好きな国があることに。それはアメリカです。中国企業ファウエイ(華為)に対して半導体の入手を阻む制裁措置に加え、国際市場における同社のシェア縮小を狙った政治キャンペーンが展開されています。日本に対しても80年代から90年ころでしたかニュースで日本車をハンマーでたたき壊すショッキングな映像が流れ、アメリカの法律スーパー301条の適用を受けトヨタ車が100%の関税を掛けられたりしました。

 中国の外交はアメリカ外交の真逆の発想と方法で行われているということが端的にわかる講演でした。制裁ではなく相互尊重と協力。ゼロサムではなくウィンウィン。冷戦思考ではなく平和発展。「相互尊重、協力、ウィンウィン、公正・正義、恒久平和、安全、共栄、開放的・包摂的美しい世界」を建設する中国外交の究極の目的が「人類運命共同体」の構築にあるということです。

 では何故日本で「中国は強権的、覇権主義だ」などの批判が出るのでしょう?それは中国をゼロサム思考、冷戦思考でしか見ることができないところに原因があると思います。明治維新以来、「脱亜入欧」の教育を受け「西欧文明至高」を信じて疑わない未だ多くの日本人がいるからだと思います。だからアメリカ発の情報を垂れ流す日本のメディアを軽信してしまうのだと思います。結局未だ多くの日本人がアメリカ西欧文明至高の考え方で冷戦思考、ゼロサム思考から解放されず、中国から起こる新たな文明とその人類運命共同体構築に向けた外交が見えていないのだと思います。

 人類運命共同体構築に向けた中国外交は冷静で合理的で実務的で自信を感じさせます。アメリカがゼロサム思考、冷戦思考で対中国外交を展開しても、米中新冷戦や米中戦争を起こすことは不可能だと思いました。日本も人類運命共同体構築という世紀の文明のパラダイムシフトに気付くべきです。日本はアメリカに言われるまま中国包囲政策や中国敵視をするのではなく、むしろアメリカを説得し共同発展の道にともに参画すべきだと思います。 (伊関)

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中国駐大阪総領事館「中国を理解する」オンラインセミナー 第3回「中国経済の長期趨勢と短期特徴」

中国駐大阪総領事館「中国を理解する」オンラインセミナー
第3回「中国経済の長期趨勢と短期特徴」


 10/12、中国駐大阪総領事館主催の「『中国を理解する』オンラインセミナー 第3回『中国経済の長期趨勢と短期特徴』」が開催されました。

 講師は北京大学国家発展研究院の 盧峰 教授 が務められました。詳しくは中国駐大阪総領事館のホームページに後日記事が掲載されると思います。ご参照ください。

 「中国を理解する」オンラインセミナーシリーズのご案内 (china-consulate.org) ☚クリックしてご覧ください。

 講演の内容を(オンライン画面の「総括」レジメにより)まとめると以下の通りです。
 
総括
■比較的早期に新型コロナウイルスを効果的に制御したことで、コロナ情勢下において中国経済は比較的早くて強い回復を遂げた。世界経済のコロナとの戦い及びその後の回復に対し、中国経済は特別な貢献を果たし、その強靭性と内的活力が今一度顕在化した。
■中国は今なお工業化と都市化の発展段階にあり、経済成長に向けた広大な空間と確かなポテンシャルを有する。改革の深化を堅持し、開放を拡大し、正しい方針でイノベーションを促進すれば、現実的な経済の矛盾と困難は必ず解消できる。そして経済の長期的なキャッチアップと持続的な推進を確保し、全人民の共同富裕レベルを徐々に引き上げる。

 講演後、質疑応答の時間がありました。私は思いきって次のように質問しました。
「恒大集団の破綻が世界恐慌の発端になるという悲観的な論調があります。これに対する盧峰先生のご見解をお聞かせください」と。
これに対して盧峰教授は次のようにお答えになりました。
「恒大は不動産会社ですが、金融面で余りにも多角的に事業を広げ過ぎました」「世界への影響は100億ドルくらいです」「米債券の一部でデフォルトがあるかもしれません」「(デフォルトがあっても)影響は限定的です」「中国にはアドバンテージがあります」「(中国の)銀行のバランスシートは良好です」
「(中国には)コントロール能力があり、恒大が破産してもコントロールできます」と。

 また、盧峰教授は他の方の質問に答えて仰いました。
「アメリカの経済制裁に対し、中国の指導者は理性的に対応しました」「改革開放を続行して対応できる」「中国民族復興を成し遂げます」「中国は金融危機リスクに際して不良債権切り離し策を実施し経済回復に成功した経験を持っています」「中国は先天的に危機対応免疫があったわけではありません」「経験し学び、マクロ調整を実務的、冷静に対応できるようになりました」「中国の対応がアメリカに理解してもらえず、(アメリカの)ゼロサム思考で誤解され、制裁を受けました」「中国の内部(国内)循環のイノベーションでグローバルガバナンスと調整します」「中国は冷静、理性的、実務的に対応し、中国はアメリカ・世界と前向きに解決を模索します」と。

 経済的な混乱(恒大の破産etc)が起こったとしても、 結局、世界的な経済危機を救えるのは経済成長に向けた広大な空間と確かなポテンシャルを有する中国になるとの思いを強く持ちました。中国の進める「一帯一路」「人類運命共同体」をいよいよ刮目すべきだと思います。

 因みに、次回のセミナーは10/22 15:00~ 「習近平外交思想と中国特色のある大国外交」のタイトルで、中国国際問題研究院 栄鷹 副院長が講演されます。 (報告:伊関)

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中国批判の的外れ 中国のコロナ感染者数が発表機関によって違うのは集計範囲が違うから 吉川さんから届いたコロナ感染者数に関する文書

中国批判の的外れ
中国のコロナ感染者数が発表機関によって違うのは集計範囲が違うから
吉川さんから届いたコロナ感染者数に関する文書


 WHOが発表している中国のコロナ感染者数は、「中国」を狭義の本土の中華人民共和国域内+香港+マカオ+台湾を含む範囲として一括集計し、香港、 マカオ、台湾については単独集計せず(一つの中国として)集計。

 ジョンズホプキンス大学が発表している中国のコロナ感染者数は、狭義の中華人民共和国域内+香港特別行政区+マカオ特別行政区を含むデータが 集計されています。

 吉川さんの作成した表『中国本土での COVID-19 の主な流行のまとめと試算』は、狭義の中国本土の状況にもとづくものであり、香港特別行政区、マカオ特別行政区、台湾での COVID-19 をめぐる状況は集計に入っていないとのことです。

 こうして見ると、WHOが「一つの中国の原則(台湾は中華人民共和国の領土の不可分の一部、香港はイギリス植民地から中国に返還された中国領土)」という国際法を最も忠実に守ってコロナ感染者数を集計していることが分かります。私は感心しました。

 ここで注意すべきは、こうした集計範囲の差異をもって中国のコロナ対策を否定する謬論を許してはならないということです。中国は大国でありながらいち早くコロナを克服し経済のV字回復に成功した唯一の国です。コロナ対策は、日本が中国に謙虚に学ばなくてはならないことに何ら変わりはないと思います。 (伊関)

以下、吉川さんから届いた文書(PDF)を掲載します。



COVID-19 患者数中国本⼟分の集計について
             吉川淳⼦(南京中医薬⼤学)

 先⽇『中国本⼟での COVID-19 の主な流⾏のまとめと試算』という私が作成した表を公開させていただきましたところ、たくさんの⽅にご覧いただき、誠にありがとうございます。ご質問をいただきましたのでお答えいたします。

1. 各機関が公開しているダッシュボードの数と吉川作成の表のデータの不⼀致について
「各機関が公開しているダッシュボードの数とデータが⼀致していないのではないか」というご指摘を頂戴しました。
じつは各ダッシュボードの「中国」の範囲の設定は⼀定していません。

①「中国」を狭義の本⼟の中華⼈⺠共和国域内(特別⾏政区含まず)として集計し、⾹港特別⾏政区、マカオ特別⾏政区、台湾はそれぞれ別の地域として集計。
②「中国」を狭義の本⼟の中華⼈⺠共和国域内+⾹港特別⾏政区+マカオ特別⾏政区を含む範囲として集計し、台湾は別の地域として集計。
③ 「中国」を狭義の本⼟の中華⼈⺠共和国域内+⾹港+マカオ+台湾を含む範囲として⼀括集計し、⾹港、マカオ、台湾については単独集計せず(⼀つの中国として集計)。
という 3 つの基準が混在しています。
例えば WHO のダッシュボードは「③⼀つの中国として集計」を採⽤していて、集計には狭義の中華⼈⺠共和国域内+⾹港+マカオ+台湾のデータを全部含んでいます。
https://covid19.who.int/table



⾹港、マカオ、台湾を単独で選ぼうとしても選択肢がなく選べません。



Johns Hopkins University のダッシュボードでは②を採⽤していて、台湾は別に集計されているのですが、「中国」を選ぶと、狭義の中華⼈⺠共和国域内+⾹港特別⾏政区+マカオ特別⾏政区を含むデータが集計されています。
https://coronavirus.jhu.edu/region/china




①(本⼟、⾹港、マカオ、台湾を別々に集計)を採⽤しているのは、Coronavirus (COVID-19) live map tracker from Microsoft Bing などです。
https://cn.bing.com/search?q=Coronavirus



 吉川の作成した表『中国本⼟での COVID-19 の主な流⾏のまとめと試算』は、①狭義の中国本⼟の状況にもとづくものであり、今回⼒量がなくて、⾹港特別⾏政区、マカオ特別⾏政区、台湾での COVID-19をめぐる状況は集計に⼊れていませんのでご了承ください。
 表の「うち武漢市」の⾏と、「2020.4.26 までの全国累計」、「2021.9.26 までの全国累計」の⾏の、確定症例、死亡者数は,中国国家衛⽣健康委員会発表の数値です。
http://www.nhc.gov.cn/xcs/yqtb/list_gzbd.shtml(中国国家衛⽣健康委員会)
 以上ご理解よろしくお願いいたします。

2.武漢以降の死亡例 3 例の詳細について
 また武漢以降の COVID-19 死亡例についておたずねがありました。
 武漢の流⾏以外で亡くなられた 3 例について発表されている内容は以下の通りです。
①2020 年 5 ⽉ 16 ⽇、吉林省で確定症例が 1 名認定されたが、⾼齢による⼼⾎管などの基礎疾患があり死亡された。(この⽅は死亡後感染が確認された可能性があるかもしれません)
②2021 年 1 ⽉ 13 ⽇、河北省⽯家庄藁城区の 60 代⼥性が死亡。1 ⽉ 9 ⽇に陽性がわかり、重度の⼼筋損傷から肝不全、腎不全をきたし、気管挿管、ECMO 治療を受けたが死亡。(短期間で重症化されました)
③2021 年 1 ⽉ 25 ⽇ 吉林省通化市の 87 歳の⼼臓病の基礎疾患のある患者さんが死亡。無症状感染者との接触で発症され、重篤型(⽇本の重症に相当)で⼀時は持ち直したものの死亡された。

 この③の患者さんが今現在で中国本⼟の COVID-19 の最後の死亡者となります。つまり中国本⼟(⾹港、マカオ、台湾を含まない)では、2021 年 1 ⽉ 26 ⽇から本⽇(2021 年 9 ⽉ 29 ⽇)まで、8 か⽉以上(247 ⽇)死亡ゼロが続いています。
 亡くなられた皆様のご冥福をお祈りします。

 以上です。今後も質問や詳しく知りたいことがあればお知らせください。

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