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日中外交文書の遵守、問題解決を要請する意見書採択運動を続ける泉川友樹さんに聞く

日中外交文書の遵守、問題解決を要請する意見書採択運動を続ける泉川友樹さんに聞く

泉川友樹さん(沖縄大学地域研究所特別研究員・43歳)が、注目のアクション開始です。

日中平和友好条約(1978年)や日中共同声明(1972年)、日中間の諸協定などの日中外交文書の、遵守・問題解決を要請する意見書採択を、地方議会に求める運動の呼びかけです。呼びかけに応えて、1/26に“ノーモア沖縄戦 ぬちどぅ宝の会”が沖縄県議会に陳情書を提出したとのことです。同様の陳情が、宮古、石垣、与那国でもなされつつあります。

日中国交正常化以来、日中友好のもと日中間に戦争が起こらなかったばかりか、中国は日本の最大の貿易相手国として日本に豊かさと発展をもたらした大切な隣邦であることを、今一度思い返す必要があると思います。アメリカに言われるまま「台湾有事」という対中国干渉戦争に、日本が加担することなど断じてあってはなりません。泉川友樹さんのインタビュー動画を是非ごらん下さい。(伊関)

下記URLをクリックしてご覧ください。

(11) 日中外交文書の遵守、問題解決を要請する意見書採択運動を続ける泉川友樹さんに聞く - YouTube ←クリックしてご覧ください。

日中外交文書の遵守、問題解決を要請する意見書採択運動を続ける泉川友樹さんのインタビュー動画から文字起こしをしました。以下掲載します。 

(2023/1/26 湯本雅典氏収録 YouTubeより文字起こし 伊関)

それ(日中国交正常化)が72年で、その後に日本と中国というのはすごく協定をいろいろ結んでいくんですね。日中貿易協定、海運協定、漁業協定なんかをどんどん結んでいくんです。そうやって一つ一つ懸案事項に向き合って協定を結んで信頼関係を築いていくんです。最終的に78年に友好条約を締結するっていうところまで持って行ったんです。それを国会に持って帰ってきて、国会で批准をして条約という形にして、戦後処理の本当に一つの区切りをつけたっていうのが、日本と中国の共同声明から友好条約までの流れなんですよね。

で、条約になると、もうご存じのとおり、憲法で日本国が締結した国際条約とか協定っていうのは守らないといけないことなので、これって一内閣じゃないんですよね。国会で批准すると国家全体を拘束する効力がある。それを守らないといけないって憲法で決まってるんです。そうすると、安倍さんがいくら総理を辞めたとはいえ、まだ衆議院議員でしたから、当時、現役の、その方が台湾有事は日本の有事ですよみたいな、日中共同声明とか平和友好条約の趣旨からすれば、抵触するような発言っていうのは、本来あってはいけないと言うか、ことのはずなんです。

なので、こういうことを言うのがおかしいというか、日中共同声明とかに抵触するよということを、ちゃんとわかってもらうためには、こういうものがあるよ、約束が。その約束を守った上で外交してくれということを、日本政府に言わないといけないでしょう。っていうところで、沖縄県議会からそういうメッセージを出してほしい、ということをやりました。可決されれば、もしそうだと思う他の自治体があれば他の自治体にも広げていけば、日中の関係の改善に大きく寄与できるのではないかなと、そんな考えもあってやりました。

日中の外交の話での意見書とかが可決されない大きな理由は、やはり不安を抱えている、とその安全保障政策の転換に関してとか自衛隊の配備について不安を抱えているけれども、じゃ中国は脅威ではないのかと言われたときに、脅威ではないとはっきり言えるような人っていうのはほとんどいない。やっぱりちょっと何かしら怖い、不安はあるっていうことだと思うんですよね。

やっぱり、中国のことをよく知らないとか、中国と50年国交正常化して歩んできて、すごい成果があったってところ、そして事実として国交正常化したあと戦争してないんですよね、日本と中国って。そいうところが強調されるよりも軍事力をつけてきている中国みたいなのがクローズアップされてしまって、そこが大きく見えてるっていうことなんだろうと思うんですね。なので、あまり中国と積極的に交流しようとか外交をしようみたいな機運が、なかなか生まれなかったというふうに思います。

ただ、最近はやはり沖縄でも基地の反対運動とかやってる方たちがやっぱり外交方針とするべきだとか、中国ともっと対話をすべきだという話が出てきているので、私はすごくそういう機運は少しずつ出てきているかなと感じます。一番この採択に至ってない一番大きな原因は県議会の慣例ですね。委員会で意見が一致しないものに関しては継続審議っていうことになっていて、全会一致にならないと採択されないっていう状況になっているんですね。全会一致の方が望ましいのではという意見があってなかなか前に進まなかったということですね。私自身はそういうことをやって頂いても全然全会一致にこだわっているわけではないです。沖縄県の方達でこういう意見書の可決を望んでいるっていう方は他にもいっぱいいるんではないかと、というのをちゃんと見えるようにしようという風に思ったんです。

なので、私が去年よくよんでいただいて講演した場所、那覇、宮古、石垣そして今年与那国島に行ったんですけども、そういう方達にも、もし私の言っていることに賛同していただけるのであれば、同趣旨でなおかつ自分たちが置かれている島の状況も入れ込んだ、同じような内容の陳情という紹介議員のいらない陳情というものを、議会に提出ししていただけませんかというふうに提案をしたんです。沖縄、宮古、石垣、与那国から各団体から陳情が出ればこれはさすがにそこに住んでいる地域の方たちも、こういうことを望んでいるということが目に見えますのでプラスになるんじゃないかなと思っていたところ、すべてご快諾をいただいていて。今日(1/26)沖縄島の団体“ノーモア沖縄戦 ぬちどぅ宝の会”の方が、今日陳情を県議会に提出してくださったという連絡をいただきました。宮古、石垣、与那国もこれから出すっていう方向でご連絡頂いてます。

この国をつくってるのは個人の集合体なのであって、個人の人達の権利とかが尊重されない世の中は、やっぱり異常な世の中なんだと私は思うのですよね。なので、私は主権者として、この自分の権利を主張していかないといけないし、それを自分の努力によって維持していかないと簡単に壊されるみたいな世の中になってきているので、日本国憲法があるから安心だみたいな話ではなくて、日本国憲法は、あなた自分たちに与えられている主権・国民の権利というのは、努力しないと、奪われ、失われる可能性があるんですよということを警告しているので、やっぱりそこは、国がおかしな方向に行ってるんじゃないかと思うときには、個人としてちゃんとものを言わないといけないだろうというふうに思っています。

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もし中国と戦争になったら~アメリカの軍事問題研究所が図上演習

もし中国と戦争になったら~アメリカの軍事問題研究所が図上演習
      釜ヶ崎の壁新聞「働き人のいいぶん」より
 「アメリカ戦略国際問題研究所」が中国が台湾に「侵攻」した場合、そしてそれに台湾、日本、アメリカが反撃した場合を想定して図上演習を行った。戦争が始まって最初の3週間の戦闘結果である。(それ以上の長期戦は予想していない)その結果レポートを軍事評論家の田岡俊次氏がネット番組「デモクラシータイムス」で解説している。その要約を転載します。

 まず田岡氏が強調するのは、「中国が台湾に侵攻」と言うけれども日本は日中共同声明と日中平和友好条約で「台湾は中国の不可分の一部」であることを確認しているし、アメリカも米中国交回復の時に認めている。だからこの言い方自体が間違いだし、もし日本が「台湾有事」だと言って中国を攻撃するなら、これは日本国憲法98条2項に違反する。条文には「日本が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必須とする。」とある。

 だからもし台湾が独立を宣言し中国がこれを阻止しようとして軍事衝突が起きたとして、日本が台湾を支援しようとするなら、その前に日中平和友好条約を終了させなければならない。そのためには1年前に文書で予告することが必要である。

 また田岡氏は、この演習は軍事衝突が起きることを前提にしているが、私はむしろ兵糧(ひょうろう)攻めにすると思っている。台湾は周囲が岸壁だから上陸するのは難しい。港をミサイル攻撃すれば、外国の商船は入ってこれなくなる。台湾は食糧もエネルギーも日本以上に自給できない。経済封鎖の方が犠牲も少なく効果的だろう。このアメリカのレポートでも、戦争を始める前に、必要な物はすべて台湾に運び込んでおかなければならないと書いている。(しかし長期戦になればそれは不可能)

 さて、図上演習というのは、中国チーム、台湾チーム、アメリカチームに分かれて図上で戦争ゲームを行う。24回やって20回は中国の海と陸からの攻撃を打ち負かし、台湾の自治を維持したという。しかしそのためには多大な被害があった。米軍の出撃拠点は在日米軍基地だ。沖縄だけではなく、三沢基地、横田基地、横須賀基地、岩国基地など全国の米軍基地だ。当然、そこには敵からのミサイル攻撃がある。
 
 戦闘機の損失は米軍が270機、米軍と自衛隊トータルで449機。

 艦船の損失は自衛隊が26隻(戦力の約半分)を失う。米軍と自衛隊トータルでは43隻失う。中国は戦闘機155機、艦船138隻を失う。

 台湾については、電気などのインフラは壊滅し、経済は壊滅し、島は荒廃する。としている。台湾の経済は壊滅するが「自治は維持される」というのがこの「図上演習」の結論だ。

 この演習では「アメリカは中国本土を攻撃しない」というのを大前提にしている。中国本土を攻撃すればアメリカ本土も攻撃されるからだ。中国本土の攻撃は自衛隊にやらせる。そうすれば、中国が攻撃するのは日本ということになる。アメリカは無傷でアメリカ軍事産業だけが儲けることができるというシナリオだ。

 この戦争に関して他の国はどういう態度をとるかも予想している。まず韓国は、戦争に参加するとその間に「北朝鮮」が攻撃してくるかもしれないから、この戦争には参加しない。(あるいはさせない。)フイリピンは中立的な立場を取るだろう。ヨーロッパはほとんどが傍観的立場、後になってお付き合いで艦船を一隻くらい派遣するかもしれない。オーストラリアは参加できるような軍事力を持っていない。つまり、米軍と自衛隊が主力で、出撃基地は日本だから、日本と台湾が主戦場になるということだ。つまり、アメリカと中国は軍人の被害はもちろんあるが一般人の被害はあまりない。台湾と日本は一般人の被害も相当にある。日本の米軍基地は住民の居住区と隣接しており、多くの住民が犠牲になる。

 このシュミレーションでは24回中20回が、アメリカの陣営の勝利を予測しているがその中身を見ると、勝利するのはアメリカのみで、台湾と日本の住民の多大な犠牲が前提になっている。この勝利の必須な条件として次の項目を上げている。
1、台湾人の不屈の意思
2、在日米軍基地の使用
3、空中発射の長距離対艦ミサイルの十分な保有(中国艦隊を迅速かつ大規模に攻撃できる能力)
1と2は台湾と日本の住民の犠牲が必要だという意味に解釈できる。また、基地にはシエルターが必要だと言っているが、日本の自衛隊はすでに基地の地下化の工事を進めている。3は、自衛隊はアメリカから大量のミサイルを買う予定だ。「しんぶん赤旗日曜版2023年1月22日号」によれば、基地を地下化する予定の自衛隊基地は、石垣駐屯地、那覇基地、那覇駐屯地、那覇病院、舞鶴地方総監部、和歌山県の串本分屯基地、福岡県の築城基地、春日基地、宮崎県の新田原基地、熊本の健軍駐屯地、北海道の稚内分屯基地だ。健軍駐屯地、那覇基地、那覇駐屯地、那覇病院、は23年度の予算案に計上されており、石垣駐屯地は22年度完成、新田原基地は24年度完成予定。

 日本全土が戦場になることを想定している。

 岸田政権はじめ与野党を問わずアメリカの奴隷どもから政権を奪還する以外に、日本とアジアの平和はない。(ヤマハシ)

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2022 年 12 月~2023 年 1 月 中国の COVID-19 感染状況についての公式発表

吉川さんから、中国のコロナ感染状況や医療体制の最新情報が届きました。
以下掲載します。伊関

 さて、昨日1月14日日本時間の18時からの国務院共同予防抑制機構の記者会見で、「動態ゼロ化」戦略転換後のCOVID-19感染状況データがはじめて公式発表されました。日本のマスコミでも入院患者死亡者数などは大きく報道されていますが、その他にもいろいろな内容が発表されましたので、主なものを添付のようにまとめました。

 なお、中国CDCのHPでは、1月9日分からの感染状況の掲載がストップされていたのですが、本日15日付で「1月12日の状況」として、14日発表されたのと同じ入院患者数、重症者数、2022.12.8~12.29の医療機関累計入院死亡者数が掲載されています。

 「台風一過」のように春節を楽しむ人が多い中国ですが、医療従事者は重過ぎる任務の中で踏みこたえてがんばっています。帰省をしない農民工への奨励金や福利厚生は、コロナ禍開始以来毎年恒例になっています。

 1月13日に報道された北京大学国家発展研究院のシミュレーションによれば、中国全土の感染は12月20日がピーク、1月11日までの感染者は累計9億人で、地方でも感染が拡大しているとのことなので、春節(広義には2月5日の元宵節まで)での感染拡大が今以上にならないことを祈ります。


2022 年 12 月~2023 年 1 月 中国の
COVID-19 感染状況についての公式発表


 2022 年 12 月 8 日から「動態ゼロ化」戦略を転換し、「防感染」から「保健康、防重症」に軸足を移した中国だが、公式発表の数値が感染者や死亡者の増加に見合っていない状況が続いていた。1 月 14 日の国務院共同予防抑制機構記者会見『重点対象者の健康保障の紹介』の中で、政策転換後はじめて公式データが公表されたので、速報としてまとめた。
   2023 年 1 月 15 日 吉川淳⼦(中国執業医師 南京市)


対COVID-19政策転換後の医療の状況
    (2023年1月14日国務院共同予防抑制機構記者会見*1)

   *1 国务院联防联控机制新闻发布会 2023.1.14 中国人民政府
      http://www.gov.cn/xinwen/gwylflkjz231/wzsl.htm


国家衛生健康委員会医政司 焦雅輝司長:

発熱外来の状況

・全国の発熱外来の数
    2級以上医療機関*2 (大規模病院) 1.64万か所
    基層医療衛生機関(小規模医療機関) 4.31万か所
・全国の発熱外来受診者数
    2022.12.23 がピーク、286.7万人/日
     2023.1.12 47.7万人/日(ピーク時から83.3%減少)
・全国、農村、都市部ともに減少傾向である。
・発熱外来受診者COVID-19陽性検出率
    2022.12.20がピーク、33.9%
    2023.1.12 10.8%

  *2 医療機関のレベルは 1~3 級に分けられ、3 級が最も高い

救急外来の状況

・全国の救急外来受診者数
   2023.1.2 がピーク、152.6万人/日
   2023.1.12 109.2万人/日(ピーク時から28.4%減少)
・救急外来受診者COVID-19陽性検出率
   2022.12.22 がピーク、8.8%
   2023.1.12 2.9%

一般外来の状況

・2023.1.12の全国の一般外来受診者数は913.5万人/日で、ほぼ流行前の水準。
・一般外来受診者COVID-19陽性検出率
    2022.12.19 がピーク、5.7%
    2023.1.12 0.9%

入院患者の状況

・入院患者数
    2023.1.5 がピーク 162.5万人 その後連続して下降
    2023.1.12 127万人
     うち2級以上の医療機関 117万人
     指定病院、準指定病院 10万人
・入院患者COVID-19陽性検出率
    2023.1.3 がピーク、27.5%
    2023.1.12 21.7%(ピーク時から5.8%減少)

重症(重篤を含む)患者の状況

・国家レベル、省レベルの専門家による対診、回診制度を確立。
・重症患者の治療は、事前に予測して前もって対応することが大切である(関口前移)。
・COVID-19による重症肺炎の治療とともに、COVID-19感染と基礎疾患両方の治療を多診療科連携で進める。
・発熱外来のピークの2週間後、入院COVID-19重症者数もピークとなり、その後ゆっくりと下降傾向。現在入院中の重症患者は依然として多い。
・COVID-19陽性重症患者数
     2023.1.5 がピーク 12.8万人 その後連続して下降、
     2023.1.12 10.5万人
・重症病床使用率 75.3%
・2023.1.12現在入院中のCOVID-19陽性重症患者
  基礎疾患、COVID-19感染の両方がある重症者 9.7万人
                      (92.8%)
   COVID-19感染のみによる重症者 7,357人( 7%)
・重症 COVID-19 患者の特徴
①高齢者が中心 最高年齢 105 歳、平均年齢 75.5 歳、60 歳以上が 89.6%。
②基礎疾患のある者が多い
1 種類の基礎疾患のある者 40.7%
2 種類の基礎疾患のある者 24.6%
3 種類以上の基礎疾患のある者 34.8%
多くみられる基礎疾患の種類:心血管疾患、脳血管疾患、内分泌疾患、呼吸器疾患

死亡者の状況

・2022.12.31 より『医療機関死亡症例情報報告プラットフォーム』を導入、各医療機関は毎日前日の死亡症例の状況を報告し、死亡症例がない場合はゼロと報告する。
・2022.12.8~12.29 の期間の COVID-19 関連死亡症例を各医療機関に統一集計、報告させた。
・情報量が多く、わが国の COVID-19 による死亡状況を科学的、客観的に事実に即して真実を求める態度を反映させ、人民に責任を持つために、死亡症例について専門家による系統的な分析を実施したことから、時間がかかった。
・2022.12.8~2023.1.12、全国の医療機関の入院中の COVID-19 関連死亡症例は 59,938 例      
うち COVID-19 感染による呼吸不全による死亡が 5,503 例
基礎疾患の上に COVID-19 感染したことによる死亡が 54,435 例
・死亡者の平均年齢 80.3 歳、65 歳以上が 90.1%、うち 80 歳以上が 56.5%
・死亡者の 90%以上に基礎疾患があった。
・主な基礎疾患は、心血管疾患、末期がん、脳血管疾患、呼吸器疾患、代謝性疾患、腎不全。
・冬は高齢者の呼吸器疾患が多く、心血管疾患、脳血管疾患が悪化する季節であるが、COVID-19 感染が重なり、高齢者の死亡が比較的多くなった。
・この結果は、われわれが高齢者にさらに注意を傾け、患者の生命をできうる限りの努力で救わなければならないことを示している。
・今後は『乙類乙管理』感染症の規定に従い、関係データを適時に更新し、社会に発表していく。

農村の医療を支える全国県レベル医療機関* 3の状況

・2023.1.12 現在、県レベルには 5,000 か所あまりの 2 級医療機関があり、指定病院、準指定病院とあわせ 30.1 万人の COVID-19 患者を治療し、全 COVID-19 患者の 23.7%を占めた。7 日連続で下傾向である。
・県レベルの COVID-19 上重症患者は 1.58 万人
            (全国総数の 15.1%)
・うち COVID-19 感染による重症患者は 518 人
            (全国総数の 6.7%)

*3中国の行政区画は省>市>県>郷鎮、都市部は市>区>街道>社区

農村の COVID-19 治療能力向上のための措置

①県の病院が主導的に病床数、設備、人員を準備し、重症者治療能力を向上させる。
②都市部の病院とペア支援態勢を作る。すべての都市の 3 級病院は分担して県の病院と一対一の支援関係を作り、24 時間のリモート診療を保障する。春節期間など特別な時期には、3 級病院は県の病院に医療スタッフを派遣する。
③農村地区の巡回と巡回診療を強化し、重点対象者、特に基礎疾患のある高齢者の健康状態の変化を早期に発見し、迅速な受診を保障する。
④都市と農村の支援と転院のシステム及び優先ルートを作り、農村の重症患者が迅速に転院、治療を受けられるようにする。


上海市のCOVID-19診療状況

上海市衛生健康委員会 聞大翔主任:

上海市(人口2,490万人)の医療体制

①発熱外来の拡充 社区衛生サービスセンターに2,881か所の発熱診察室
②重症患者対応医療体制の拡充
・重症患者用病床7,518床、重症患者専門医療スタッフ9,502人
・ECMO、侵襲的人工呼吸器、持続緩徐式血液濾過器(CRRT)等の重症治療装置42,000余台
③研修の強化
・重症患者対応医療研修(内科、小児科、救急医療科など)1.8万名近くが受講

医療体制の強化

①病床の拡充
・2、3級病院に95%以上の病床使用率を求める。
・総合病院と単科病院の医療資源を統一的に管理し、COVID-19治療と日常診療を最大限保障
②相互転院、医療資源の使用効率の向上
・249か所の社区衛生サービスセンター、53か所の区レベル総合病院、17か所の市レベル総合病院が、医連体*4支援態勢を取っている。4つの中医医連体、5つの小児科医連体もCOVID-19診療で力を発揮。
・社区衛生サービスセンターを増床し、地域の軽症患者を受け入れるとともに、上級病院で治療を受けた病状が安定し、リハビリ治療が必要な患者を受け入れる。
・上級病院は、社区衛生サービスセンター、老人ホーム、ナーシングホームなどから送られた患者を迅速に治療。
③受診前搬送能力の向上
・120番(日本の119番)の充実 搬送能力80%向上、コールセンター80%増員
・緊急以外の搬送体制の拡充 車両515両配備
④インターネットを利用したリモート診療、薬品の配送、問い合わせの推進
・1月上旬のリモート診療利用者は、1日あたり4万人を超え、医療機関の逼迫緩和に寄与した。

*4 地域の 2、3 級病院と社区や村の病院が連合体を作り、医療資源などを共有する制度。

社区での四つの「早」(早期発見、早期識別、早期介入、早期転院)への取り組み

①上海の全社区衛生サービスセンターに2,881か所の発熱診察室を設置、全市発熱外来の50%を担う。
・設備:酸素投与設備6,300床、輸液設備11,292床、吸入設備903基、生体情報モニタ1,200余台、パルスオキシメーター4.9万個、デジタルX線撮影装置、CT検査装置(現在40余台、50台に増やす予定)
②重症者の早期発見、治療、優先受診
・早期発見:パルスオキシメーターを含めたモニタ実施 44.5万人
・早期治療:社区実施の酸素療法6.5万人、吸入2,400人、輸液と注射18万人余
社区の抗ウイルス薬6万箱(Paxlovid、アズブジン*5)
―重症化リスクの高い患者、重症化傾向のある患者4万人近くに投与済
・優先受診:症状が悪化した感染者を上級病院で治療
・病床 社区衛生サービスセンター1.5万床、
この1か月で訪問診療対象の家庭病床を2.6万床増やし、2、3級病院の逼迫を緩和
③資源共有による社区の COVID-19 治療能力向上
・医連体管理としてペア支援の 2、3 級病院の回診、専門家派遣、リモート対療などで重点対象者の識別、診断、処置能力を高める。
・基層医療従事者 1.6 万人に専門技術と知識の研修を実施。

*5 阿兹夫定(Azvudine)中国国産の逆転写酵素阻害剤で、2021 年抗 HIV 薬として上市、2022 年 7 月 COVID-19 治療薬として緊急承認、2022 年 1 月 8 日中国の医療保険適用(1 mg 35 錠入り 1 瓶 270 元=5,150 日本円)。COVID-19成年患者では 1 日 1 回空腹時に 5mg を服用、14 日を超えて投与しない。

重点対象者*6の発見と健康サービス

・上海では65歳以上の高齢者の94%がホームドクターと契約しており、契約サービスの電子健康情報をもとに、健康調査を行なって分類チェックを実施。
・高齢者の基本情報、ワクチン接種状況、身体や精神の障害の程度、疾病などのビッグデータと照合。
・居民委員会などによる電話調査、個別訪問。老人ホーム、ナーシングホーム等の調査。
・上海市全体で 65 歳以上の高齢者は 399 万人、そのうち 102 万人が重点対象者(高リスク群)、93 万人が準重点対象者、一般人が 204 万人。
・妊産婦 8.6 万人、新生児 1.3 万人、放射線治療・化学療法実施中のがん患者 10.7 万人、透析患者 1.1 万人、老人ホーム・ナーシングホーム入居者 10 万人
・これらの人の台帳を作り、健康モニタリングを強化し、社区居民委員会、ホームドクター、警察の 3人チームのグリッド管理に入れ、社区衛生サービスセンターの 24 時間ホットラインや定期的連絡により健康状態を把握し、在宅治療や健康指導を強化、入院治療が必要になれば迅速にサポートする。

*6 重症化リスクのある、高齢者、小児、妊産婦、慢性基礎疾患患者。

専門家の指導

・132 名の市レベルの専門家、579 名の区レベルの専門家がリモート診察、転院の相互引き受けや指導にあたっている。
市レベル専門家による研修 43 回、巡回診察 216 回、対診 333 回、全市大対診 126 回。
区レベル専門家による研修 133 回、現場巡回診察 137 回、リモート対診 698 回、社区の医師の指導を兼ねた現場の患者の治療 3,283 回。


『乙類乙管理』実施後の COVID-19 感染情報の発表について

国家CDCモニタリング警告司 楊峰司長:

 感染症防止法の規定により『乙類甲管理』期間は感染情報を毎日発表していたが、『乙類乙管理』実施後は、他の乙類感染症同様に調整した。国家CDCが授権した中国CDCがHPで公表している。内容は、現在入院者数、現在重症者(重篤を含む)数、死亡者数、COVID-19ワクチン接種状況である。


国内の変異ウイルスについて(2023年1月13日国務院共同予防抑制機構記者会見*7)

中国CDCウイルス疾患研究所 陳操研究員:

 2022.12.1~2023.1.10、わが国(本土)では19種のオミクロン型の亜系統がモニタリングで発見された。うちBA.5.2とBF.7が絶対的に優勢で、この2つで19種の亜系統の97%を占める。2022年10月から今年までの間で、XBBの本土症例は累計で16例、そのすべてがXBB.1系統であり、これまでのところXBB.1.5の本土症例は見つかっていない。この時期発見されたBQ.1本土症例は56例で、BQ.1、BQ.1.1、BQ.1.2などの6つの亜系統があった。このほか、全国輸入症例モニタリングデータによると、2022.12.1以来、79種のオミクロン型の亜系統がわが国に入ってきたが、そのうち比率が高い3つはBA.5.2、BF.7、BQ.1.1である。

*7 国务院联防联控机制新闻发布会 2023.1.13 中国人民政府
http://www.gov.cn/xinwen/gwylflkjz230/wzsl.htm
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