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孔 鉉佑 中華人民共和国駐日本国大使 大阪講演 講演録(録音文字起こし版)

孔 鉉佑 中華人民共和国駐日本国大使 
大阪講演 講演録(録音文字起こし版)


 2022年11月24日(木)、中国駐大阪総領事館主催による、孔 鉉佑 中華人民共和国駐日本国大使の大阪講演が開催されました。私が所属する大阪府日中友好協会が、協力団体についたおかげで、聴講のチャンスを得ました。日中関係や中国情勢、世界情勢について直に中国の立場や考えを聴くことができました。メディアからは知ることのできないプレミアム情報満載です。私が聴講録音したものを文字起こししてみました。 (伊関要)

※原始的でアナログな録音です。文字起こしに際し、聞き取り難い箇所は「〇〇」表記とし、文字化に自信が持てない文字には(?)を付記しました。私の責任範囲の文字起こしです。大意はお伝えできていると思いますが、誤字脱字等の誤りは全て私の責任です。孔 鉉佑大使の本来のご講演に何ら影響するものではありません。


≪孔鉉佑大使 大阪講演 講演録≫

皆さん こんばんは。

伊藤好生会長(日中経済貿易センター)、梶本徳彦会長(大阪府日中友好協会)。今回は、3年ぶりの大阪・関西訪問です。日本に居ながら、あまりこっちへ来なかったような感じがいたします。このような形で、友人の皆さんと交流する機会に恵まれ大変うれしく思います。ここで中日両国の協力と交流の促進、中日関係の改善と発展に積極的に取り組まれてきました関西の各界の皆様に敬意と感謝を申し上げ、本日この場をおかりしまして、中日関係の最新動向を中心に、両国の関係の発展や、経済貿易協力など、様々なことを交流を通じて皆様の貴重なご意見を伺うことができればと思います。

先般、皆さんご存知のように、中国共産党第20回全国代表大会が成功裏に開催されました。今回の大会は中国が新しい時代、新しい道のりという重要な節目に開かれた極めて重要な大会であり、過去10年間の中国の大きな成果を全面的に総括したのみならず、将来5年ひいてはより長い時期における中国発展の未来図を描いております。

私は、外部駐在の使節団の代表とし帰国し、大会に列席する機会を得ました。日本に戻った直後、日本の各界の友人からもよく訊かれますのは、今回の大会はこれから中国でどんな変化をもたらすのか、日本を含む世界にとってどんな影響を与えるのか。そして、中日関係にどんな新しいチャンスをもたらすのか、ということであります。

集約すれば以下3点をめぐり、私たちの解読を限られた時間でしていきたいと思います。

第一に、世界は高い安定性を保つ中国とこれから出会えます。今大会の最も重要な成果は、習近平総書記を核心とする新しい中央指導部の選出であり、これは党全体、国民全体の共通の願いを十分に反映した結果であります。習近平総書記が舵を取り、党と国家の事業を順調に推進することとわれわれは確信いたします。最高レベルの政治的な完璧通性(?)は、中国政策の連続性と安定性を根本的に保障します。

今大会では、将来中国の発展に関して戦略的手配と、全体的計画を査定し、明確なロードマップとタイムテーブルを提示しました。中国の内外政策は、開放的で透明性があり、その戦略的意図は正々堂々としたものであります。着実な発展と安定した投資を保つ中国は、目下の不安定な世界に強い確実性とプラスのエネルギーを注ぐものであり、中国、日本、地域、そして世界にとっての重要性はここに言うまでもありません。

第二に、世界は近代化に向けて前進し続ける中国とこれから出会います。近代化は全ての国にとって共通の願いであり、近代以降中国国民が長期にわたり求めてきたものであります。第20回党大会で、新しい時代と新しい道のりにおける中国共産党の中心任務は、すべての民族と国民を団結させて導き、社会主義近代化強国の全面建設すなわち第2の100年の奮闘目標の達成、中国式近代化を通じて民族の復興を全面的に推進することだと、明言しております。

中国式近代化は他国の近代化と共通点を有し、日本を含む他国の経験を参考にしながら、中国の国情に基いた、中国の国情を保ち、新しい近代化のモデルや知識を開拓して行くものであります。中国式近代化は、巨大な人口規模を持つ近代化であります。現在世界の人口は、つい最近80億を突破しました。その中で近代化を成し遂げた国は、僅か30ヶ国足らずで、人口規模は10億人を下回ります。言い換えれば、14億人を抱える中国が、近代化に邁進する難しさと複雑さは、この世界に前例がないものであり、そのままコピーできる既存のモデルもありません。我々は世界で最も人口の多い国、最大の発展途上国という基本的な特徴を踏まえ、安定を確保しつつ、前進を図り、順を追って徐々に推し進め、持続的に近代化を推進することを堅持しなければなりません。

中国式近代化は国民全体が共同富裕を実現する近代化であります。長期にわたる努力によって、1億人近い農村の貧困層が貧困脱却を実現し、絶対的貧困の問題は中国国土に於いて歴史的に解決され、4億人を超える世界最大の中間所得者層が育成され、一人当たりのGDPも去年は1万1千㌦を超えました。小康社会の全面的完成を我々は宣言しています。と同時に共同富裕実現に向ける道のりは、これからもまだまだ長いです。私達は地域間、都市部と農村部の格差、人々の所得の格差に、より自覚的かつ積極的に取り組み、2極化を防ぎ、発展の過程において社会整備を推進し、全ての人々が発展の成果を共有できるようにしていかなければなりません。

中国式近代化は、物質文明と精神文明を調和させた近代化であります。すなわち、物心両面の近代化を図っていくことであります。習近平国家主席が何度も述べていますように、中国全土に高層ビルが建てられると同時に、中華民族の精神面における高層ビルも聳え立たせなければなりません。我々は既に、著しい経済発展を成し遂げ、人々の生活水準が大幅に向上しました。しかし、物質主義の膨張(?)と快楽主義の流行という罠に陥ることを断固防ぎ、精神的豊かさと心の充実を追求し、人の全面的発展を促進し、中国式近代化実現に強力な精神的基盤を提供して行かなければなりません。

もうひとつ、中国式近代化は、人と自然の調和的共生を目指す近代化であります。これは、我々自分自身への責任、そして世界への責任でもあります。我々は緑水青山は金山銀山という理念を実践し、発展パターンのグリーン化を加速させ、環境汚染の防止とセイブ、生態系の保護と回復を踏み込んで推進し、青い空、緑の大地、澄んだ水のある美しい中国を建設して行きます。日本のご友人の皆さん方はまだ覚えてるかと思いますが、数年前まで、中国を困らせた空気汚染問題、今や、しっかりと解消され、澄んだ青空と白い雲は日常になっております。これはまさに、グリーン発展の道を歩むという中国の確たる決意そのものをもっとも直接的に表してるのではないでしょうか。中国は国際社会に対する約束を果たし、炭素排泄のピークアウト、カーボンニュートラルの目標達成を、積極的かつ着実に推し進め、新しいレベルにシステムの構築を加速し、グローバルな機構拡大(?)に積極的に貢献し続けたいと考えます。

で、もう一つは、中国式近代化は平和的発展の道を歩む近代化であります。先日、バンコクで開催されましたAPEC首脳会議で、習近平国家主席は「平和は中国の最も原則的な追及であり、覇権を求めるようなことを中国は歴史上したことがなく、現在も今後もしません。」と厳かに宣言しました。我々は戦争や植民地支配、略奪によって近代化する一部の国の古い道を歩まず、常に平和、発展、協力、ウィンウィンの旗印を高く掲げ、世界の平和と発展をしっかりと守る中で、自らの発展を目指し、自らの発展により世界の平和と発展をよりよく保って行きたいと考えます。

我が党の中心的な任務について、第20回党大会は、質の高い発展が社会主義近代国家の全面的建設の最重要任務であることを明確にしました。ハイレベルな市場経済体制の構築を加速し、近代的な産業システムを構築、経済発展の焦点を実体経済の〇〇〇〇し、製造業のハイテク化、スマート化、グリーン化を促進し、次世代情報技術、人工知能、バイオテクノロジー、新エネルギー、新〇〇、排煙の設備、環境保護など多くの新しい成長のエンジンをこれから作り出して行きます。高品質で効率の良いサービス産業の新しい体系を構築し、デジタル経済の発展を加速させていきます。

我々は農村振興を全面的に推進し、地域間の調和発展戦略を実施することで、中国国土全体の発展のバランスを改善し、発展の空間利用を細分化し、大きな市場の潜在力解放に繋げています。巨大市場の強みを生かし、国内外循環でもって世界から資源要素を誘致し、国内と国際の二つの市場と資源の相乗効果を高め、規則、規制、管理、基準、公有面での制度的開放を着実に拡大し、外資産業のネガティブリスクを合理的に削減し、法に従って外資の権利と利益を守り、市場化、法治化、国際化の〇〇ビジネス環境の構築にこれからも努めてまいります。

これらの分野における中日協力には、堅実な基礎と大きな潜在力を有しております。日本側におかれましては、第20回党大会が発した明確な政策シグナルを、敏感に把握され、中国の質の高い発展、ハイレベルの開放の拡大、新しい発展パターンの構築がもたらす新しいチャンスを果敢にとらえ、中国と互恵、ウィンウィンの良きパートナーであり続けていくことを強く希望するところであります。

第三に、世界がこれから平和と発展の擁護により責任ある中国と出会うことになるでしょう。100年に一度の大変化が加速し、コロナ感染拡大がぶり返され、地政学的情勢が激動し、世界の金融、食料、エネルギーなどいくつもの危機が今顕在化し、世界経済の回復が難航しています。我々の世界は再び歴史の岐路に立たされ、これから何処へ向かうかは、人々の選択にかかっております。世界の問い、時代の問い、歴史の問いを前にして、第20回党大会は明確な中国なりの答えを出しております。

我々は、歴史の正しい側と人類文明の進歩を目指す側にしっかりと立ち、独立自主の平和外交をゆるぎなく実行し、世界の平和を擁護し、共同発展を促進するという外交政策の趣旨を堅持し、あらゆる形式の覇権主義、強権政治や冷戦思考、他国への内政干渉、ダブルスタンダードなどにこれからも断固反対して行きます。

我々は対外開放という基本国策を堅持し、協力、互恵、ウィンウィンの開放戦略を実行し、開放型世界経済の構築を推し進め、一帯一路の質の高い発展を促進し、中国の新たな発展で、世界に新たなチャンスを提供し続けて行きます。我々はグローバルガバナンス体系の改革と建設に積極的に参加し、真の多国間主義を堅持し、グローバルガバナンスをより公正で、合理的な方向に発展させて行きたいと思います。

我々は日本を含む世界各国と共に、平和、発展、公平、正義、民主、自由という全人類共通の価値を発揚し、人類の運命共同体を構築し、人類の一層明るい未来を共に切り開いて行きたいと考えます。

皆さん、今年は中日関係にとっても記念すべき年であります。国交正常50周年という歴史的節目を迎えることを契機に、双方は積極的に対話と意思疎通を行い、中日関係の全体的安定と改善を推進してきました。先般、習近平国家主席と岸田首相の初めての対面、3年ぶりの中日指導者会談を行いました。双方は、中日関係の重要問題を戦略的観点から突っ込んだ意思疎通を行い、両国関係の安定と改善について一連の合意に達し、両国関係の針路をさらに明らかにし、強いモメンタムを与えました。

現在、中日関係は改善発展する重要なチャンスに直面すると同時に、複雑な課題にも直面しています。双方は中日4つの政治文書の諸原則を堅持し、両国指導者の重要な合意を指針とし、引き続きプラス要因を拡大し、マイナス要因を抑え込み、中日関係の一層の安定と前向きな発展を促進して行かなければなりません。

そのためには、以下のいくつかのポイントを共に真剣に考える必要があるのではないかと思います。

先ずは、戦略的相互信頼を積み重ねること、習近平国家主席は会談で「中日関係の重要性は変わっておらず、今後も変わりません。中国側は日本側と共に新しい時代の要請にふさわしい中日関係を構築したい」ことを改めて強調しました。これは、中日関係の改善と発展に対する中国側の最大の善意と誠意を十分に反映したものであると考えます。日本側がこれに積極的に呼応し、客観的かつ理性的な対中認識を確立し、中日が互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならないという重要な政治的コンセンサスを遵守し、建設的安定した対中関係を構築するという意思表明を、具体的な政策と実際の行動に移すことを期待するところであります。我々は日本側とハイレベルの交流を含むあらゆるレベルでの対話と意思疎通を維持し、両国の政府、政党、議会、地方などの様々なチャンネルでの交流を行い、絶えずお互いの信頼を高め、疑念を払拭し、相互信頼の基礎を強固にし、両国関係の正しい方向を共に把握することを望んでいるところであります。

第2に、来年という好機を十分に生かすということであります。明年は中日平和友好条約締結45周年であり、これは中日関係の政治的指針と法的ルールを確立した両国関係史における重要な一里塚であります。そして、来年は中国の改革開放45周年でもあり、中国の改革開放と近代化に日本側の参加ご支援を頂き、双方が協力ウィンウィンの模範を示してきました。双方は、今年の50周年の積極的効果を継続拡大するうえで、来年の45周年記念の活動をできるだけ早く企画し、今年と来年を円滑につなぎ合わせ、両国民が平和と友情の初心を再確認し合い、互恵協力への信念を深めて行き、両国関係の安定と向上のため、より良い雰囲気を引き続き作り出すようにして行かなければなりません。

第3は、中日協力の基盤を強固にすることであります。経済貿易協力は既に中日関係のバラストであり、推進機でもあります。昨年、両国の貿易は、過去最高の3740億米ドルに達しました。これが過去最高を記録しております。今年の第一四半期から第三四半期まで、2700億米ドルを超えております。ほぼ前年同期と同じ規模であります。中日経済貿易協力の基盤が依然として不動たるもので、強靭性と潜在力に満ちてることを、こういうデータからも十分に示されてると思います。先日開催されました第5回中国輸入博覧会では、日本側の企業の出展が約400社。各国の中でも最多となり、日本の経済界は中国市場の成長を依然として楽観視していることが示されました。一方、中日間の経済貿易協力は、グローバル経済環境の影響を受けていると共に、外的要因や政治的圧力による負の干渉を受けているのも事実であります。こんな中、両国の経済界はぶれなく初心を保ち、協力ウィンウィンの旗印を高く掲げ、人為的に協力を抑制制限する、あるいはデカップリングやサプライチェーンの攪乱や、攪乱をそそのかす後ろ向きの動きにお互いに断固反対し、良好な貿易投資環境の安定かつ円滑なサプライチェーンの維持に向けて、協力を深化拡大して行く必要が十分にあると考えます。更に重要なことは、双方がより積極的かつオープンな姿勢で、経済貿易協力の高度化を推進し、共通の利益の絆を一層緊密にすることであります。我々は日本の経済界が対中協力を拡大することを歓迎し、日本側の合理的な要求の解決に積極的に努めて行く用意があり、日本企業が中国市場でより大きな成功を収めることをサポートして行きたいと考えます。

第4は、民間友好のエネルギーを活性化させることです。民間友好は、失われてはならない中日関係の良き伝統であります。日本社会各界の幅広い接触や、国交正常化50周年記念行事を通じて、日本の民間、地方には中国と交流する熱意は依然高く、中日関係の改善発展に期待し、支持するサイレントマジョリティーが広く存在してることを深く感じております。冷たい世論調査の数字に目を奪われ、いわゆるノーリティ(?)マイノリティーにリードされ、中日友好の将来に自信を失くしてはいけません。双方は民間友好の伝統を発揚し、友好都市のネットワークを十分に活用し、歴史的、文化的つながりを探求し、人的文化交流と民間地方交流を踏み込んで行い、交流の活発化や頻度を維持し、人々の心のふれあいを継続的に強化して行く必要があると考えます。コロナ感染症収束の進展に応じて、両国間の人的往来の再開に向けた準備を早期に行い、新たな民間交流のブームを引き起こすように、努力していかなければならないと思います。また、長期的観点から両国の若い世代の交流を強化し、中日友好事業のために新しい力を見つける(?)のが今この時求められてるのではないでしょうか。

第5は、矛盾やリスクを効果的にマネージすることであります。中日関係の複雑で敏感な側面は今も昔も変わりません。今後、改善と発展の勢いを維持できるか否かは、双方が新旧の問題を上手くマネージできるか否かに大きくかかっております。お互いにリスク意識を高め、しっかりと中日4つの政治文書の原則と、これまでの合意の精神に従い、矛盾や相違を適切に管理し、両国関係の大局に影響を与えないようにして行かなくてはなりません。ここで改めて強調したいのは、台湾問題は、中国の核心的利益と中日関係の政治的基盤に係る、重大な原則問題であります。日本側は、「一つの中国」原則とこれまでの約束に手抜きなく遵守し、台湾問題では言動を慎重にして行くべきだと考えます。また、双方は魚釣島、海洋、安全保障分野における戦略的意思疎通を強化し、リスク管理をしっかりさせ、緊張のエスカレーションを回避しなければなりません。日本側が安保戦略の調整に当たって慎重に動くように我々としては希望いたしており、中国脅威論を喧伝したり、あるいは中国を安全保障上の脅威と位置付けることをすべきではありません。さらに日本側に対し、戦略的バランスと自主性をもって、米国要因を中日関係の正常な発展の妨害とならないよう、対中、対米関係を適切に処理するよう希望するところであります。

関西地域は中国と長い長い付き合いがあります。お互い人的文化交流の歴史が長く、経済貿易協力も長きにわたり日本全国の最前列を走り、民間友好、地方友好の熱い基盤が構築され、中日関係において極めて重要な役割を担って来られました。関西各界は国交正常以前から、中国との友好交流、民間交流、経済貿易協力の封鎖を打ち破り、中国の改革開放、近代化建設に、いち早く参加され、常に重要なリーダーシップを発揮された方々で構成されております。皆さん方におかれましては、ぜひその素晴らしい伝統を継承発揚し、今後とも絶えず中日協力ウィンウィンの新たな1ページを開き、新しい時代の中日関係の発展に一層大きなご貢献を賜りますよう強く期待申し上げ、以上をもちまして、私の話とさせて頂きます。ご清聴どうもありがとうございました。

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