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「ウクライナは戦争に負けた!」

「ウクライナは戦争に負けた!」
    (働き人のいいぶん6月28日号より抜粋)

〈最近ネットで広がっているリチャード・H・ブラック氏の動画を紹介します。〉


(リチャード・H・ブラック氏
元バージニア州上院議員)


 まず初めに、私はウクライナは戦争に負けたと思っています。もちろんまだ戦争が終わったわけではありませんが、みなさんはこれが砲撃戦になるのをご覧になったことでしょう。ロシアは1日に5万発、ウクライナの10倍もの砲弾を撃っています。ワシントンポスト紙によるとウクライナは弾薬が尽き、ソ連時代の兵器の代替品もないそうです。6月10日付の記事によると、ウクライナは1日に1000人の死傷者を出しており、そのうち200人が死亡している。わずか3週間で死傷者の割合が2倍になったのです。ウクライナは毎月6000人の死者を出しているのだろうか?我々がベトナムで被った犠牲者の12倍です。これは一人当たりの話です。つまり彼らの死傷率は、アメリカが血なまぐさいベトナム戦争で被った犠牲者のおよそ60倍にもなるのです。

 ウクライナ人は勇敢に戦ったが、どんな国でもこのような犠牲率を長く維持することはできない。ウクライナは負けた。

 6月12日、昨日です。NATO のジェンス・ストルテンベルグ事務総長は、ウクライナがやがて和平交渉をせざるを得なくなることを全面的に認めました。彼はこう言った。「唯一の問題は、平和のためにどれだけの代償を払うかだ。どれだけの領土、どれだけの独立性があるのか。」と。「平和のためにどれだけ主権を犠牲にすることができるのか?」ストルテンベルグ氏のこの発言は、NATOが認めたこの負け戦が、もはや単に終わらせなければならない不快な気晴らしになっていることを示唆している。NATO が懸念する通り、制裁戦争は失敗した。西側世界は金融総力をロシアに対してくりだした。今、ルーブル(ロシアの通貨)は戦争前よりも強くなっている。今年に入ってからはすべての通貨の中でも最も強くなっている。ロシアのインフレ率は15%程度がピークで、今後は沈静化すると予想されている。しかし、彼らのインフレが頂点に達したころ、ヨーロッパとアメリカのインフレは危険なほど急上昇し始めた。バイデンによるロシアと貿易の締め付けは制裁にもかかわらず失敗した。中国、インド、南アフリカ、イラン、ブラジル、サウジアラビアはロシアと強い絆を築いている。グローバルサウスの重要な国々は、制裁を課すというワシントンの命令に従おうとはしていない。独立国は米国を恐れているが、誰と貿易をしてよいか、してはいけないかを言われることに腹を立てている。主権国家に制裁政策を指示することは、世界の米国に対する尊敬の念を失わせることになる。

 戦争が始まって以来、ロシア人は食糧、住居、暖房、燃料、ガソリンなどの不足を経験したことがない。グッチを買い損ねることやビッグマックが買えないことで、ロシア人が分裂することに期待する人は、ロシア人の心理を理解していない。プーチン大統領の支持率は83%に上昇し、これは西側諸国のどの大統領よりも高いものであった。

 一方、プロパガンダ戦争は解き明かされつつある。開戦当初、米国は周到に仕組まれた反ロシア・プロパガンダの弾幕を放った。異論を唱える声はすべてメディアから遮断された。しかし、最近になってウクライナが敗北する可能性を認める報道が出始めた。6月10日の「ニューズウィーク」は、ウクライナ軍情報部の副部長までもが、ウクライナがロシアに敗戦する危険性があることを認めたと報じている。最初の亀裂が生じつつあり、間もなく世界は現実を直視しなければならなくなる。戦争は負けたのだ。

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プロパガンダ?

プロパガンダ?

 「中国が」「ロシアが」「朝鮮が」プロパガンダをしている、これは従来、欧米日の帝国主義者が流布するプロパガンダであった。ところが今や日本の新旧左翼・リベラル勢力や人道人権・正しい歴史認識を標榜して立派な活動をしている人達からも聞かれるようになった。

 プロパガンダについて考えよう。まず、帝国主義のほうはその成立以来、プロパガンダを常に行ってきている。中国・朝鮮を侵略し植民地支配と暴虐の限りを尽くしていた日本は何を言っていただろう。「暴支膺懲」が一番有名な言葉である。暴れる中国に懲らしめをほどこす、と言う意味である。しかし軍隊の力で朝鮮・中国はもとより、アジア中を支配しようとして暴れ、数千万人の犠牲を強いたのは日本である。それへの正当な抵抗を踏みつぶすために「暴支膺懲」の言葉が使われた事に誰も疑いを挟むことはできない。

 いやそれは過去の事で、と言うのはまやかしだ。「暴支膺懲」を唱えた勢力は今の日本で消えただろうか? いや、首相の座を牛耳り、継承し続けている。自衛隊幹部にもあの田母神をはじめ、同類がたくさんいるし、そういう風説に巨額の資金を出すホテルチェーンや美容クリニック院長やサプリメント業、住宅会社の類は例を挙げるのに事欠かない。

 欧米も同じである。ソ連をプロパガンダ国と決めつけた欧米は古今東西、出たらめなプロパガンダを乱発して戦争を起こし、全世界を支配し、ぼう大な人々を殺戮し続けた。これまた一々例を挙げるまでもなく、明らかな事実である。その暴虐はベトナムでは今も枯葉爆弾の成分が子どもたちの遺伝子を傷つけ殺し続けている。「ベトちゃんドクちゃん」は過去の事ではない。経済制裁と言う名の戦争的虐殺行為は朝鮮・キューバ・ベネズエラ等の人々を生命の危機で苦しめ続けている。

 中国に「暴支膺懲」勢力が残して行った毒ガス爆弾は今も突然漏れ出して人民の身体と健康と生命を傷付け続けている。こんな事実に目をつぶる連中が「何となく中国怖いね」のキャンペーンをするのにコロナ禍まで動員している。人口14億の中国は医師も看護師も政府も命がけで感染防止のための徹底抑え込みをしているが、日本のマスコミで流される映像は「中国怖いね」であり、進歩的な日本人のかなりの部分もそれに影響されてしまっている。市民運動の指導的な人が「中国政府のプロパガンダ」と言い切る姿は嘆かわしいとしかいいようがない。

 もちろん中国にもかつてのソ連にも、ロシアにもプロパガンダはあるだろう。しかし、プロパガンダのない国など皆無と断言して良い。世界一の経済・軍事大国を自慢するアメリカは、貧者がなすすべなくハリケーンに流され皆の目の前で溺れ死に、コロナで莫大な死者を出した。巨額の掛け金がいる健康保険すら無い人が多数だから当然だろう。
 
日本はどうか。国も自治体もコロナ無策で過ごし、医療崩壊で入院すらできず、とっくに開発され流布されて当然の治療薬が全然用意できず、効くか効かないか効果不明のワクチンを利権のために接種するだけであり、感染の増減が運しだいでしかない。中国の徹底した感染防止に学ぶ姿勢のかけらもなく、中国の施策を馬鹿にするだけ・・・

 これらを総合すれば、プロパガンダとは欧米日の帝国主義者の事であるのは明らかだ。社会主義国はそういう帝国主義による転覆策動とたたかいつつ、社会主義建設を進めて行かなくてはならないので、当然プロパガンダは行う。ソ連(現ロシア)・中国・朝鮮の妄信をせよと言っているのではない。事実を虚心坦懐に見つめよう。帝国主義者のフィルターで曇ったサングラスでいくら見ても真実にはたどり着けない。せめて両論を併記する精神こそ必要と考える。        
 2022年6月3日 アジア新時代研究会 古賀滋

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日中国交正常50周年特別記念 盆栽ふれ合いDAY

日中国交正常50周年特別記念
盆栽ふれ合いDAY


 6/10、万博記念公園EXPO’70パビリオンにて、「日中国交正常50周年特別記念 盆栽ふれ合いDAY」が開催されました。主催は、中国駐大阪総領事館と春華園BONSAI美術館によるもので、同美術館の創設者で盆栽界のレジェンドと言われる、小林國男氏が特別講師を務められました。


春華園所蔵の1億円の盆栽

 小林國男氏の講演では、日本の盆栽は中国の盆景がルーツであり、古くは800年前(鎌倉時代)の日本の文献にその書画が登場し、室町時代から日本で盆栽として広まったという盆栽の歴史から、その芸術性や魅力、価値、生育法や盆栽に対する想いなどが、熱く語られました。そして、今、盆栽を一番よく買ってくれるのが中国のお客さんとのことです。中国から伝わった日本の盆栽が、中国から伝わった鉢などの銘器とともに、中国に里帰りをしているとの説明に、日中共通の盆栽文化を通した日中の友好往来の悠久なることにおもいを巡らせました。

 舞台では、講師直伝の指導のもと、盆栽剪定のパフォーマンスが行われました。薛剣総領事も登壇し剪定に挑戦されました。そして、「盆栽を育てるのに最も大切なものは何ですか?」の講師からの質問に会場のご婦人から「愛」の答え。「その通り。愛が最も大切です。」と講師が称賛の言葉を発するや否や、薛剣総領事が「外交官の仕事も同じです」と応じ、会場からは笑が溢れました。最近、私は「台湾有事云々」等のニュースに神経をピリピリ、イライラさせておりました。然し、盆栽ふれ合いDAYのおかげで実に心休まる穏やかな気分になりました。悠久の日中友好往来は、一時的な政治的風雨によって、決して途切れるものではないと確信した次第です。 (伊関)


薛剣総領事が剪定に挑戦した盆栽


岡本太郎氏作「太陽の塔」のモチーフとなった水石(天然石)(盆栽ふれ合いDAY出展)


盆栽ふれ合いDAY当日の太陽の塔

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ウクライナの次に「餌食」になるのは台湾と日本か?―米政府HPから「台湾独立を支持しない」が消えた! ~遠藤誉博士が警鐘!~

ウクライナの次に「餌食」になるのは台湾と日本か?
―米政府HPから「台湾独立を支持しない」が消えた! ~遠藤誉博士が警鐘!~


 中国に批判的な論客として知られる遠藤誉博士が、「日本を第二のウクライナにしてはならない」「バイデン大統領の戦争ビジネスの餌食になるな」と警鐘を鳴らす論述。5/12のヤフーニュースから見つけました。日中友好の原点「日中不再戦」の立場から、「日本を戦場にしてはならない」という危機感から、遠藤誉博士の論述を紹介します。アメリカから求められるままに、中国との戦争を準備する自衛隊南西諸島要塞化。アメリカにはっきりと「NO」を突き付けるべきです。日中友好こそ日本にとって最高の安全保障だという事です。 伊関要

(遠藤誉:中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士)

 プーチンを怒らせるには「ウクライナのNATO加盟」を煽ることだったが、北京を怒らせるには「台湾独立」を煽ることだ。台湾が政府として独立を叫べば北京は必ず武力攻撃をしてくる。独立を叫んでくれないと中国が武力攻撃してこない。戦争が永久に地球上で起きていないとアメリカの戦争ビジネスは儲からない。
バイデンはウクライナと同じ構図を、今度は台湾と日本で築こうとしている。
 次にバイデンの餌食になるのは台湾と日本だ!

◆これまでの台湾関係の米政府文書
 2022年5月3日付のアメリカ政府のウェブサイトには、台湾との関係のページで、以下の文言があった。( )内の日本語は筆者。
  Government of the People’s Republic of China as the sole legal government of China, acknowledging the Chinese position that there is but one China(一つの中国) and Taiwan is part of China(台湾は中国の一部). The Joint Communique also stated that the people of the United States will maintain cultural, commercial, and other unofficial relations with the people of Taiwan. The American Institute in Taiwan (AIT) is responsible for implementing U.S. policy toward Taiwan.
The United States does not support Taiwan independence(アメリカは台湾の独立を支持しない). Maintaining strong, unofficial relations with Taiwan is a major U.S. goal, in line with the U.S. desire to further peace and stability in Asia.(引用ここまで)
 バイデン大統領が習近平国家主席と電話会談するときも、ブリンケン国務長官が楊潔篪・中央外事工作委员会弁公室主任や王毅外相と会談するときも、必ずと言っていいほど「アメリカは台湾の独立を支持しない」という言葉を、決まり文句のように言っていた。だから、対中包囲網とかいろいろな連盟を結成しても、中国は決して本気で怒ることはなかった。
 台湾政府もまた、政府として「独立」を宣言すると、必ず中国の全人代で2005年に制定された「反国家分裂法」が火を噴くのを知っているので、民進党の蔡英文総統といえども、やはり「独立」を宣言することだけは避けている。
 だというのに、バイデンは今般、ウクライナでプーチンを軍事侵攻に持っていくことに成功したため、同じ手法を用いて、遂にその刃を台湾に、そして結局は日本に向け始めたのである。

◆5月5日の更新で消えた「台湾は中国の一部分」と「アメリカは台湾独立を支持しない」
 今年5月5日に更新されたアメリカ政府のウェブサイトにおける台湾関係のページをご覧いただきたい。このページには、以下の二つの文言がない。
     ●Taiwan is part of China
     ●The United States does not support Taiwan independence
 すなわち「台湾は中国の一部」という言葉と「アメリカは台湾の独立を支持しない」という言葉が削除されてしまっているのだ。それでいて
     ●one China
という言葉だけは残っている。これは何を意味しているかといえば、中国は「中華人民共和国」なのか、それとも「中華民国」なのかという違いはあるが、少なくとも「一つの中国」で、アメリカは場合によっては「中国=中華民国」として、「一つの中国」を認める可能性があることを示唆している。
 これが実際行動として起きたら、中国は必ず台湾を武力攻撃するだろう。
 それは「ウクライナはNATOに加盟すべき」と言ってプーチンを激怒させたのと同じことを、習近平に対しても仕向ける可能性を秘めている。
 習近平は本来、台湾を武力攻撃するつもりはない。なぜなら、ウクライナと違い、統一した後に統治しなければならないので、武力攻撃を受けて反中感情が高まっているような台湾国民を抱え込んだら、一党支配体制が崩壊するからだ。したがって経済でがんじがらめにして、搦(から)め取っていこうというのが、習近平の基本戦略だ。
 しかし、バイデンは、それでは困る。
 戦争をしてくれないと、アメリカの戦争ビジネスが儲からない。
 戦争ビジネスで儲けていかないと、やがて中国の経済規模がアメリカを抜くことになるので、それを阻止するためにもバイデンには「戦争」が必要なのである。

◆中国は激しく反応
 5月10日の18:24に公開された中国外交部のウェブサイトによれば、定例記者会見で、ロイター社の記者が趙立堅報道官に以下のように聞いている。
 ――アメリカ国務省のウェブサイトが最近「米台関係に関する事実のリスト」を更新し、「台湾は中国の一部である」や「米国は「台湾の独立」を支持していない」などの表現を削除したと、多くの報道が注目している。これに関して外交部はどのように考えているか?
 すると、趙立堅が眉間にしわを寄せて、概ね以下のように回答した(概略)。
――世界に中国は1つしかなく、台湾は中国の領土の不可分の一部であり、中華人民共和国政府は全中国を代表する唯一の合法的な政府だ。 これは国際社会が普遍的に認める共通認識で、国際関係の原則だ。歴史を改ざんすることは許されない。アメリカは、3つの米中共同コミュニケにおいて、台湾問題と「一つの中国」原則について、厳粛な約束をした。今になってアメリカが米台関係を改定することは、危険な火遊びをするようなもので、必ず大やけどをすることになる。
 バイデン大統領は何度も「アメリカは台湾の独立を支持しない」と誓ったではないか。それを言葉通りに実行せよ。台湾問題を口実に政治的小細工を弄して、「台湾を以て中国をコントロールする」ような愚かな行為はやめることだ。(引用ここまで)
 5月11日06:47には、中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹版「環球時報」が外交部のコメントを引用して激しい批判を展開している。そこでは
 ●2018年8月31日にアメリカ国務省の東アジア局が更新したウェブサイトには、「米国は、中華人民共和国政府が中国唯一の合法的な政府であることを認め台湾は中国の一部であり、米国は台湾の独立を支持しておらず、台湾との強い非公式な関係を維持することは米国の主要な目標であり、アジアにおける平和と安定の追求に対する米国の期待に合致している」と書いてあるが、それは今アーカイブ入りしてしまった。
 ●5月5日に更新されたヴァージョンでは、厳粛な中台間の約束事が削除され、「台湾は民主主義のリーダーであり、科学技術の要人であり、インド・太平洋地域における米国の重要なパートナーである」と書いてある。
 ●「台湾カード」を用いて、卑劣な小細工を弄することは絶対に許されない。
という趣旨のことが書いてある。
 さらに5月11日15:41、中共中央台湾工作弁公室と国務院台湾工作弁公室は同時に記者会見を開いて以下のようにアメリカを批判した。
 ――「台湾が中国の一部である」という事実を変えることはできない。 米政府に対し、「一つの中国」原則を空洞化させることをやめ、「一つの中国」原則と三つの米中コミュニケを遵守するよう要求する。

◆台湾のネット番組は
 台湾のネット番組【頭條開講】が【台湾海峡は煉獄になったのか? ホワイトハウスはどうしても北京を怒らせたい(北京を怒らせるためには手段を択ばない)! 文字によるゲームは中国のレッドラインに挑戦しようとしている! 「台湾の独立を支持するか否か」がカードになってしまった! アメリカはかつての承諾を覆そうとしている!】といった、やたら長いタイトルの番組を報道した。
 コメントしているのは、元ニュージーランドの「中華民国」代表(大使級)の介文汲氏で、彼はアメリカの今般の台湾に関する変化を「戦争に誘うため」と解釈している。
 【頭條開講】は台湾の「中天新聞」傘下のニュースチャンネルで、国民党側のメディアだ。そのため中天新聞は民進党の蔡英文政権からテレビ局としての運営許可を2020年11月に取り上げられ、今のところはYouTubeチャンネルを運営している。その上でご紹介すると、介氏は概ね以下のように言っている
 ●これはほんの始まりに過ぎない。フルコースの料理で言うなら、前菜が出たといったところか。
 ●今は当該文章を削除しただけだが、そのうち明確に「台湾は中国の一部ではない」と書いてくるかもしれないし、「アメリカは台湾の独立を支持する」と明言するようになるかもしれない。
 ●そこまで行ったら、当然、戦争が始まる。
 ●そもそも、考えてみるといい。アメリカがちょっとした策を講じただけで、ロシアは見事に引っ掛かって手を出してしまったじゃないか。今度は似たような手で「台湾」を道具に使って中国に戦争を誘発させようとしている。GDP1.7兆ドルのロシアと比べたら、何と言っても中国はGDP17兆ドル!アメリカにしてみれば、この中国こそが本当の敵なんだ。
 ●アメリカにとっては、台湾海峡での緊張が高まれば高まるほど有利で、その分だけアメリカの懐にお金が転がりこむという寸法だ。
 ●アメリカは大臣クラスの人が台湾を訪問したり台湾に武器を売りつけたりして、できるだけ北京を怒らせ、台湾海峡の緊張を高めて、戦争に持っていこうと準備している。
 ●だから、台湾人自身が、自分たちの未来を、どのようにして決定し、どういう道を選ぶのかを考えなければならない。

◆ウクライナの次に「バイデンの餌食」になるのは日本か
 ウクライナ戦争をきっかけに、日本は軍備増強への意向が強くなっている。その方向に日本人の意識を醸成した上で、アメリカは「日本をNATOに加盟させる」雰囲気をちらつかせて、「餌」にしている。
 こうしておいて「台湾独立」という北京が激怒する「台湾カード」を用いて、武力を使って台湾統一をすることを避けようとしてきた北京を何とか怒らせ、武力を使わざるを得ない方向に持っていこうとしているのだ。
 これはミアシャイマーが「棒で熊(プーチン)の目を突いた」ことに相当する。   
 ウクライナの場合は「NATO加盟」を煽ればプーチンは動くと、バイデンは2009年から周到に計画して行動してきたことは、これまで何度も書いてきた通りだ(拙著『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』だけでなく、たとえば5月1日のコラム<2014年、ウクライナにアメリカの傀儡政権を樹立させたバイデンと「クッキーを配るヌーランド」>や5月6日のコラム<遂につかんだ「バイデンの動かぬ証拠」――2014年ウクライナ親露政権打倒の首謀者>など)。
 結果、獰猛なプーチンは愚かにもその手に乗って軍事行動に出てしまった。
 北京の場合は「台湾独立」が中華人民共和国誕生以来の「最大の怒り」となることをバイデンは知っている。習近平が「反国家分裂法」を発動して台湾を武力攻撃するしかないところに追い込まれるかもしれない。
 その場合、アメリカ人は戦わないで、「台湾有事は日本有事」という概念を日本人に刷り込み、「アメリカは遥か離れた所にあるが、日本は台湾のすぐ隣なのだから、さらに尖閣問題だってあるから、これは日本の問題だ」として、「戦うべきは日本人」と主張し、日本国民を戦場に駆り立てる可能性がある。尖閣に関しては日米同盟が対象としていると言っているが、中国は尖閣を狙って武力攻撃をするわけではないのでアメリカは回避する理由を見つけられるし、また日米安保条約も、米議会の承諾がなければ米軍を動かせないので、そこで否決すれば済むことだ。
 戦費も日本が出しなさいと、金を日本からむしり取ることもするだろう。
 アメリカにとって、日本人の命が犠牲になることは「痛くない」のだ。アメリカの言う通りに動くことに、日本は慣らされてきたので文句は言うまいと高を括っているだろう。1945年8月15日以来、その方向に日本を手なづけてきたのだから。
 筆者がなぜ執拗にバイデンの動きを追いかけてきたかというと、実はこれがバイデンの行きつくところであろうことを最初から予感していたからだ。
 従って、「遂に来たか」という思いしかない。
 1945年からアメリカに飼いならされてきた(少なからぬ)日本人には到底信じられない「妄想」のように見えるかもしれないが、これが現実だ。嘘と思うならアメリカ政府のウェブサイトをしっかりご覧になるといい。
 ウクライナで起きたことは。必ず日本でも起きる。
 それをどのようにすれば防ぐことができるのかを考えることこそ、日本人の責務なのではないだろうか。
 追記:台湾関係の文言削除は、ただ単に対中包囲網を強化しているだけではないのかという疑問が湧くかもしれないが、もしそうなら、米通商代表部(USTR)が対中制裁を一部解除し始めたことと矛盾する。対中包囲網の強化だけが目的なら、何も最も戦争を誘発する手段を使う必要はなく、他にいくらでも方法があるはずだ。

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