トライアングルの部屋

シニア街道をゆっくり散歩中
本読んで
映画観て
時々おでかけの記録も
仙台在住で大の阪神ファン

起終点駅 ターミナル

2013-01-22 08:28:00 | 本 2013年
北海道が主な舞台の人生の物語が六話

全体的に暗い
乙川優三郎の小説の暗さをふと思い出す

一時は勝ち組だった者が
(この表現は本当は嫌いなのだが…)
落ちていく様や
転機
終末など

かたちのないもの

国内最大手の化粧品会社で
ある程度の成績を残していた40代の独身男性が
父親の死を機に
二年をかけて残務整理をし
函館に一人残った母親のために故郷へ帰る
母を看取った後は
自分も病に倒れ
相続等の手続きを生前きちんと処理して
亡くなっていく

海鳥の行方

札幌に本社を置く道報新聞に勤務する山岸里和
釧路支社に配属

取材先の近くの防波堤で釣りをしていた男と親しくなる
が、まもなくその男が釣りの最中に転落死
身寄りがないので
たまたま渡した名刺から
里和に連絡が来る
その男は前科があり
家族とは別れていた

一方函館の裁判所勤務で
里和と遠距離恋愛中の圭吾
最近は少し冷めた関係
女性上司からのいびりで
うつ病になり
母親から見舞ってくれと頼まれた
しかし週末
里和は圭吾の所へは行かず
男の妻を訪ねる

起終点駅

元裁判官だった鷲田完治
今は国選弁護しか引き受けない貧乏弁護士
妻とは離婚したが
息子のために充分な養育費をきちんと払い続けた
その息子から届いた結婚式の招待状
離婚の理由は自分の浮気
そして相手女性の自殺・・・

スクラップロード

久彦は中学の時
父親が事業に失敗して失踪してから
一生懸命勉強し
北海道大学に合格
大手地銀に就職した
会社でも異例の出世
しかしある時から歯車が狂いだす
体調を壊し退職することに・・・
婚約者も去っていった
ごみを出しに行ったある日
偶然会ったのは失踪した父親
廃品をあさって生活していた
その父親の最後・・・

たたかいにやぶれて咲けよ

海鳥の行方に登場した新聞記者の里和が再登場
道東の短歌会を牽引してきた
中田ミツという老女の人生と彼女の最期
彼女と同居していた男性近藤悟の人生
近藤悟 成功してくれ!!

潮風の家

久保田千鶴子
両親を早くに亡くし
弟と二人天塩町で暮らしていた
その弟が強盗殺人事件を起こし
勾留先で自殺した

世間の目を逃れ札幌に移った千鶴子
今回30年ぶりに
両親と弟の永代供養のため
故郷へ戻る
そこには母と親しくしていて
今も年賀状のやり取りをしているたみ子がいた

吉原で働きその金で実家の家を建てたたみ子の余生
宅配弁当屋で働く千鶴子の人生
弁当を届ける先の人々も含めて
一人で生きる人間の孤独
でもたみ子に孤独なイメージはない

勉強できて
いいところへ就職しても
すべてうまくいく訳ではない
つらいことがあっても
いいことがなくても
細々生きても不幸ではないということか?




コメント
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