「白洲正子文学逍遥記」
& 能面・仏像・日本人形・・etc
臨時公開
以前別のブログで掲載しておりました「能面と能楽」を8/20迄、数回程、再公開します。ご覧になっていない方はどうぞ参考にしてください。
「能面と能楽」
能楽の歴史と能面-004
暫くの間、貝の整理に没頭しておりましたので、お休みしておりました。本日より隔週公開させていただきます。お休み期間中多事多難で、なかなか貝の方ばかりに時間を裂けなかったのです。
筆者の自宅の2箇所の畑への<琉球イノシシ>の突然の侵入で、防護策が破壊され作物にも少なからず損害が出ました。その復旧に思いの他時間が掛かることになりました。まだ完全ではないのですが、応急修理を施し、イノシシの捕獲を依頼するなど(その後2頭捕獲)で、完全に予定が狂いました。
相変わらず尖閣諸島の周辺は物騒な限りで、中国の上海から真っ直ぐ来れるような場所でもありますから、いつも戦々恐々の毎日です。北朝鮮の核実験・・・これもまた悩みの種。いやな世の中になってきました。
<能楽の歴史と能面>と題しながら、前口上ばかり続いてしまいましたが、意外とこのような内容のような文章は、巷にある能楽関係の書籍には少ないのです。能楽の歴史も学問的で、だいたい同じようなものばかりです。そのような訳で奇を衒うわけではありませんが、一風変わった能面学も良いのではないかと考え、書き続けております。今少しお付き合いください。
時間と足を掛けて長年、能面の追いかけをしておりましたので、少しは役に立つかもと・・・
本物の能面を目にしたり、あるいは手に取る方法はいろいろ有るでしょうが、時間と手間と金銭を掛けねば簡単にはいきません。一番手っ取り早い方法は、能楽資料館・博物館に行くことです。能面、能衣装、その他能楽に関係したものなら館内いっぱいに揃えられてあります。
能面展示風景(篠山能楽資料館から)
では、全国どこでもそのような便利な物が設置されているかといえば・・・さにあらず。
丹波篠山(兵庫県・篠山)、近江(滋賀県北部・彦根の2箇所)、延岡(九州延岡市)位が能面の数も多く、内容も確りとした常設展示館でしょう。 その他にもあることはあるのですが、展示数が少ないので、勉強になりませんし効率が悪いですね。折角行っても能面2~3、能装束1~2では、困ってしまいます。
能舞台は全国の名所・名蹟に行けば結構あるのですが、ただそれだけです。 演能の際は京都や大阪から関係者が集まるというだけのこと。東京周辺、京都、大阪、滋賀にはそれなりの数の能舞台は有ります。という訳でそれらから遠方の方々は、時間と高い旅費と宿泊代を掛けねばなりますまい。
それでも良いという方々の為に、常設館のご案内を。
本日はその中の一つ、姉妹ブログで一昨年ご紹介した内容と一部重複しますが・・・ご勘弁を!
篠山能楽資料館
兵庫県篠山市河原町175 (TEL 079-552-3513 FAX 079-552-5718 )
篠山能楽資料館
近畿地方の方でも余り訪れたことは多くないかもしれません。大阪の梅田から電車に乗って、尼崎を通過してから長閑な山中を延々と分け行って、いい加減飽きた頃・福知山線の「篠山口」に到着。静かな田園地帯。 駅の傍にでも資料館は有るのかと、通りがかりの人に聞くと<能楽資料館??>という、誠につれない返事。<聞いたことは有るけれど・・知ら~ん!>・・・・・こちらは内心<ギク~ッ!>
それではと、タクシーのオッチャンに<篠山能楽資料館へやって>というと<能楽資料館??>と言われる。<大津からえらい時間掛けて来て、何という事 (^~:)>
オッチャンが事務所に電話を掛けて、やっと場所を確認。 いざ行かん!。 それから延々と走る。メーターはどんどん上がる。ハラハラ・・・・2.000円も超えてきた頃、とある集落の前に到着する。 <石畳を歩いていけばそこで~す>と言われ、タクシーから降ろされる。
そこから近くの人に訪ね歩いて、やっと上記の写真のお家の前に到着したのでありました。
まるで、騙されたような変梃りんな感じ。
「能楽資料館」と書いてある看板が、ぶら下がっているから間違いはない。辺りは旧篠山城の城下町で、静かな街並みが続いています。そのような訳で次回に訪れた時は、「JR篠山口」からバスで向かいました。時間は掛かるが¥350内外の料金。(心臓に悪くはないので・・・)
丹波古陶館
「能楽資料館」の裏には「丹波古陶館」も常設されておりますので、古陶に興味のある方は併せて見学されることをお勧めします。展示物の内容は一見に値します。
さて、能楽資料館に入りましても、季節はずれの時期らしく、人影もなく係りの方も居りません。
ガラ~ンとした感じ。ややあって女性の方が登場。入館券を買って一人気ままに、館内をブラつく。
館内
ご覧のような感じ。 博物館、美術館を見慣れている筆者にとっては、さしてどうという事もなし。お目当ての「赤鶴作の小面」も展示されておらず。拍子抜けという感じ。館内の女性に聞いてみたらば、特別な場合の他は観覧できず、何時になるかも分からないというツレない返事。
概して地方の資料館はこのようなもので、都会の近代的な建造物の中に収まっているそれとは違うのです。では何でその様な所へ行くのと言うならば、それだけの価値のある「能面」が所蔵されているからと言うしかない。
赤鶴・小面
能面の世界で<赤鶴>と言えば、鬼畜の面しか打たなかった能面師と思われるでしょうが、
ご覧ください。上記の写真が赤鶴の小面。 如何でしょうか。名人というものは不得手なんてないんですね。 神々しい迄の感じを受ける名作です。女の面ではなく、女神の面でしょうね。
安土・桃山から江戸期にかけて、素晴らしい女面の名作が名人によって、幾面か打たれてきましたが、それらに全く引けを取らない名作です。
篠山能楽資料館の資料
この面がこの能楽資料館に所蔵されております。この面以外にも名作は何面かありますが。
能面の名作をご覧になるためには、骨身を惜しんではいけません。時間と執念を掛けることですね。館蔵の「能楽美術コレクション」は創立者中西通(丹波古陶館二代目館長)が、昭和30年代後半より40年間に亘り蒐集したものだそうで、中西 通館長は能面の世界ではつとに有名な方。
玉川大学出版部刊『能のおもて』 | 7875円 |
一般的に購入しやすい「能面集」の一例です。館内でも販売しております。通販、古書店でもない場合は最悪ここには有るはずですが?・・・・内容的にはオススメです。
「能面」・中西 通
上記の能面集は中西 通氏の著作「能面」・大型本ですが、現在は絶版。筆者が散々探した挙句、九州の本屋さんが探してくれた一品。先ずは手に入らないと思いますが・・・
という訳で、京都の奥座敷、福知山からもさらに山の中、意を決して行かなければと言うと大袈裟ですが、簡単には行けないところ。先にも申したとおり、能面に会うのは簡単ではありません。でも、資料館に勝手に本の中身を、さらさらと見せられないのが苦しいところ。本日はこれくらいでご勘弁を。
木地
丹波篠山への道すがら、近くの三田市の「故・白洲正子氏」の墓所のある心月院を訪れるのも宜しいですね。禅宗寺院の背後の裏山全体が墓地となっている、巨大な墓域の一番奥にそれはあります。広い白洲家の大きな墓地(家が一軒立てることが可能なくらい の広さ)の入口に、旦那さんの「白洲 次郎氏」の墓石の隣に、独立して建てられて居ります。墓石には十一面観音のイニシャルが彫られております。
実はこの一体は観世流の流れを汲む、梅若流の発祥の地だそうで、因縁浅からぬ場所だということが分かります。 中西 通館長も遠い昔、面を打たれていたか能楽関係者だったかもしれませんね。蒐集された作品は本当に素晴らしいものが多いです。
次回は近江、彦根の彦根博物館をご紹介しましょう。
姉妹ブログ
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