・・してあげるから忍んで来て
重たい、誰かが上にいる。見知らぬ男が仰向けの僕の上で
同じように、仰向けに寝ている。その足下で何かが蠢いていた
誰が何をしているのか朦朧とした頭では考えが及ばない
やがて僕の上の男が「アッ」と叫びともつかない、妙にくぐもった
声を上げた。足下に蠢くモノが顔を上げた。右手で口元を拭っている
アッ・・と今度は僕が叫びそうになって、慌てて息をのんだ。
・・だ、じゃ僕の上の男は誰なんだろう、向きが同じで短い頭髪だけ
しか見えない。やがて二人は立ち上がり、・・が「もう寝るから帰って」
・・と、僕に言った。「してくれる・・」そう言ったのに・・・
そう言ったつもりだったが声にならなかった。ぼくはすごすごと身支度
をして「お休み」そう言って部屋を出た。男は振り向きもしない。
身支度をしたつもりの僕の・・が歩く度に揺れていた。僕は泣きながら
何処とも知れない方へ歩いて帰った。鍵を開け部屋に入ると「ご飯よ」
の、声がする。・・・誰が家に居るのだろう、僕は一人暮らしなのに・・
またしても「ご飯よ」の声で目が覚めた。
二度寝していた僕をカミサンが起こしていたのだった。
僕は慌てて自分の・・に手を伸ばした。履いていた・・・
安心・・・したが、変な夢を・・見た。
多情な僕は前にもそういう経験をした。
二人の・・の事なども聞かされるが、焼き餅を焼くことは無い
仕方が無いことだと思っているからだ。それにその時の人は僕と
知り合う前に既に結婚していたのだから。
今回は逆になるが、・・が幸せになるのだから、矢張り焼き餅は
焼かない。なのに変な夢を見た。借りてきたDVDを見たせいか、来福
が近いせいか、理由は分からない。夢を見た日は一日中気が重かった
しかし「夢」で良かった。コレが現実に、勿論おきることは無いが、
起きたら、僕は悶死してしまうかも知れない・・そう思った。
そう思った・・・という事は、矢張り心の何処かでジェラシーを感じ
ているのかもしれない。どうにもならない事なのに・・・。