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2015年4月29日

2015-05-06 00:38:22 | 

癌の増殖に関係する遺伝子の新たな機能の発見は、新しい治療の可能性を開く
Uncovering new functions of a gene implicated in cancer growth opens new therapeutic possibilities



胚の発生と腫瘍が増殖する間の血管形成(blood vessel formation)と関連付けられていた遺伝子は、腫瘍が進行する間の免疫も抑制することが明らかにされた。4月29日にNature Communicationsで発表されたワイルコーネル医科大学の研究者らによる今回の発見は、メラノーマや他の後期ステージ癌の新しい治療へのアプローチとワクチン開発への道を開く。

研究者たちは20年前、通常は胚でのみ発現するInhibitor of Differentiation 1(Id1)という遺伝子は癌患者にも存在し、腫瘍の進行に寄与することを発見した。今回の研究はId1の別の作用を明らかにする。Id1は免疫細胞の発生中の通常の経路を乗っ取り、骨髄から始まる免疫システム全体に干渉する。免疫細胞による免疫応答がなければ人体は腫瘍を撃退することができず、代わりに癌は増殖して転移することができるようになる。

「Id1を標的にすることで全体的な免疫機能を回復できる可能性がある」、首席著者のDavid Lyden博士は言う。彼はワイルコーネル医科大学の小児心臓病学のStavros S. Niarchos教授であり、小児学部の教授である。

「免疫システムが作用していれば、治療の選択肢は広がる。進行転移癌の罹患率とそれによる死亡率の増加を考慮すると、免疫を抑制して転移を促進するメカニズムがどのように働くのかについての理解は急務である。」



今回、研究者たちは腫瘍が分泌するトランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)がId1の活性化を促進することを発見した。活性化したId1は連鎖反応を開始し、免疫細胞を新しい経路へと方向転換させて、成熟した抗原提示細胞ではなく未成熟な免疫抑制細胞を大量生産する。免疫システムが効果的な防御を開始するための能力は無効化され、癌細胞は免疫に邪魔されることなく増殖して転移できるようになる。

「骨髄は通常、腫瘍の浸潤と増殖を止めることができる樹状細胞という免疫細胞を生じる」、筆頭著者のMarianna Papaspyridonos博士は言う。

「しかし、腫瘍によってTGF-βが分泌されてId1が上方調節されると樹状細胞の正常な発生は妨げられ、代わりに免疫システムを抑制する免疫細胞が生まれる。」

その免疫細胞は骨髄由来免疫抑制細胞(myeloid-derived suppressor cell)と呼ばれ、癌をたやすく増殖して転移できるようにする。研究者は進行メラノーマ患者でこの発見を実証した。患者の血漿ではTGF-βレベルが増加し、骨髄由来の末梢血球ではId1のレベルが高かった。



Id1を標的にすることで、3方向からの(three-pronged)治療アプローチが提供される。
まず最初に、腫瘍それ自体の転移する可能性を低下させる。次に、腫瘍が新しい血管を形成する能力(血管形成)を低下させる。最後に、患者の全身の免疫機能を回復する。

「このアプローチにより、免疫細胞は腫瘍を異物であると認識して攻撃する」、Lyden博士は言う。彼はワイルコーネル医科大学でSandra and Edward MeyerがんセンターとGale and Ira Drukier児童健康研究所にも任命されている。

「ワクチン開発は改善され、より良い治療の転帰と、そして最終的には癌患者への利益につながるだろう。」

学術誌参照:
1.Id1は、骨髄性細胞成熟を損なうことにより、抗腫瘍免疫応答を抑制し、腫瘍進行を促進する。

Nature Communications、2015;

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/04/150429145458.htm

<コメント>
腫瘍はTGF-βを分泌して免疫を抑制し、増殖と転移を促進するという記事です。

Abstractを見ると、TGF-β/Id1の過剰発現により生じる骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)により、脾臓での制御性T細胞(Treg)は増加していました。Id1を誘導するのはTGF-βだけでなく、IL-6とBMP-7もでした。