機械翻訳2

興味のある科学/医学ニュースを適当に翻訳していきます。

2015年4月20日

2015-04-27 18:19:18 | 

癌遺伝子は生命維持遺伝子のスイッチを切って、意図せず癌細胞の生命を終わらせる
Cancer gene unintentionally ends the life of cancer cells, turns off life supporting genes



新しい研究によると、Mycという癌遺伝子は生命を支えるための健康遺伝子(well-being genes)を抑制することによって細胞を自殺させる。今回の発見は、Mycという癌のドライバ遺伝子を癌の暗殺者へと切り替える新薬の開発につながる可能性がある。そして同時に、どのようにして癌の脆弱性の正体を暴くのかについて再考を促すものだと科学者は言う。

Myc癌遺伝子は容赦なく分裂する能力を腫瘍細胞に与えるが、同時にアポトーシスという細胞自殺プロセスを誘発する。Mycは、細胞の核にある1割もの遺伝子に発現を命令することによって細胞を制御する。しかしながら、20年以上の熱心な研究にもかかわらず、Mycによって発現を刺激される自殺遺伝子は発見されなかった。

ドイツのヴュルツブルク大学とフィンランドのヘルシンキ大学の研究者チームは、そのような自殺遺伝子を探すことは見当違いであることを発見した。新しい発見によれば、Mycは細胞の生命維持に必要な健康遺伝子を抑制することによって、癌細胞を脆弱にして死にやすくするのだという。



Mycは転写を指揮する地位の高い司令官であり、ゲノムで数千箇所の遺伝子制御部位を占有する。Mycは最も親しいパートナーであるMaxとMiz-1と協力し、遺伝子のスイッチを入れたり切ったりする。スイッチが入ることにより生じたmRNAと新しいタンパク質は細胞のエネルギー代謝と細胞分裂プログラムを管理し、必要ならば細胞に死ぬよう命令することさえある。癌の場合、Mycの量とその力は圧倒的になり、細胞は激しく分裂し始めて死ぬことを拒否し、腫瘍の塊は急成長する。

ヴュルツブルク大学の教授Martin Eilersと彼のPh.D学生Katrin Wieseは、Maxとは協力するがMiz-1は拒否するという突然変異を起こしたMycを研究していた。Katrin Wieseは次のように説明する。

「この突然変異Mycは遺伝子のスイッチを入れることに支障はなかったが、遺伝子をオフにすることは難しかった。このような障害があっても、変異Mycは細胞に分裂するよう命令することはできたが、細胞に死ぬように命じることはできなかった。」

この実験のすぐ後、研究者は長い間培われてきた考え、つまりMycがいくつかの自殺遺伝子のスイッチを入れることによって細胞が死ぬという考えは正しくないことに気付いた。代わりに、Mycは生命を維持するために必要な遺伝子をオフにすることによって細胞を殺す可能性がある。

それを確かめるため、WieseとEilersはフィンランドのヘルシンキ大学のJuha Klefstrom博士とPh.D学生Heidi Haikalaと協力を求めた。フィンランドの研究者たちはレンチのような形をしたRNAi分子を使って遺伝子をオフにする実験で、SRF(serum‐response factor)という核内の遺伝子を制御するタンパク質へとつながる道筋を特定した。

「癌細胞のMycとそのパートナーのMiz-1は、本来なら行ってはいけない遺伝子制御装置の領域に侵入する。そこでMycとMiz-1は、生命を健康に維持するために必要な遺伝子を妨害する」、Heidi Haikalaは語る。

「この健康遺伝子は、妨害されなければ細胞に生物エネルギーを供給し、他の細胞との関係を安定化する。MycとMiz-1タンパク質はSRFという遺伝子発現制御タンパク質と特に衝突し、この核での衝突は健康遺伝子を打ち倒して癌細胞を自殺させると我々は考えている。」

これらの細胞死の経路と反応は癌の治療法に利用することができるのだろうか?

首席研究者のMartin EilersとJuha Klefstromは、遺伝子のスイッチを切るMycの能力が細胞死の鍵であるというコンセプトに興奮している。

「細胞の活性を下げることは、上げるよりも既存の薬で簡単にできる。これらの新しい発見は、健康遺伝子の活性を低下させる薬が腫瘍細胞のMycの自殺活性を促進しうることを示唆する。」

この研究は4月20日にEMBO学術誌で発表される予定である。

学術誌参照:
1.SRF標的遺伝子の抑制は、Mycに依存的な上皮細胞アポトーシスにとって重要である。

EMBO、2015年4月

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/04/150420084739.htm

<コメント>
癌遺伝子のMycが、どのように細胞の成長と細胞死を促進するのかについての記事です。

MycはMax(Myc associated factor X)がパートナーの時は遺伝子をオンにして細胞分裂を促進し、Miz1(Myc interacting zinc finger protein 1)がパートナーの時はSRF(serum‐response factor; 血清応答因子)を妨害して細胞を自殺しやすくするとのことです。

Abstractを見ると、MycとMiz1が抑制するのは細胞の接着と移動に関与する遺伝子で、インテグリンも含まれています。本来なら細胞同士の接着がAktのリン酸化による活性化を促進するところを、その接着分子が抑制されるので死にやすくなります。