ねこのおなかの日記帳

日々の記録です。

「神無き月十番目の夜」

2006-11-25 | 読書
「神無き月十番目の夜」 (飯嶋和一/著)

オケのお友だちに、ながーい間お借りしている本です。
とっても読み応えがあり、でもテーマが私には重くて、
ちょっと読み進めては他の本を読み…
と、いつも傍らに置きながらなかなか最後まで読み通せずにいました。

熱が下がったけど腰痛で動けなかったとき、
とうとう最後まで読みました。
江戸時代初期の百姓一揆の話です。

登場人物が生き生きしていて魅力的でした。
主人公の石橋籐九郎が、かっこいいです。
ふつうのヒーローじゃなくて地に足が着いていて
現実を正しく認識し、先を正確に見通す力があり、
戦を知っているだけに戦う道を選ばない、
苦悩する賢人です。若いのに。
でもこの小説の主人公は、もしかしたら籐九郎じゃなくて、
戦国から江戸へと移り変わる時期にあった「小生瀬」という村なのかもしれません。
時代が変わったことを示す、新しい「検地」を受け入れることができなかった、
誇り高き自治の村がたどった恐ろしい運命のお話でした。

籐九郎にも泣けたけど、
最後のほうに出てきたもう一人のヒーロー「直次郎」にも泣けました。
映画化したときは直次郎=玉木宏さんでお願いします(笑)

すごく引き込まれるんだけど、
最初にもう物語の結論が示されていたから、
怖くて気持ちが重くてなかなか読み進めなかったのですが、
最後まで読んでからまた最初の章を読むと、
「村」に一筋の希望が残されていたことがわかってほっとしました。
小生瀬村は、地獄のような亡所で終わったわけではないと。
「かのはた」や「さんりん」と呼ばれる土地の持つ意味もはじめて知りました。
こわい~~~
柳田国男の世界だ~~~
コメント (4)
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