native dimensions blog

新潟市の住宅設計事務所ネイティブディメンションズ=狭小住宅や小さい家、構造計算、高気密高断熱が好きな建築士のブログ

このスタートは一体

2024-01-03 17:07:42 | 建築構造
まずはこの度の地震で被害を受けた方々にお見舞い申し上げます。

中越地震の時はJリーグ見終わったら突然揺れました。
今回も代表戦を見終わったタイミングでグラっと来ましたよね。
なんかあるんでしょうか。
(中越沖地震は温泉に行ってて風呂上りに揺れました)

揺れた直後から次の日にかけてOBさんとSNS上で安否連絡をして無事を確認。

我が家も揺れた瞬間は何か落ちても仕方ない覚悟でしたが、
(↓絶対何か落ちる予感しかないキッチン)
何も落ちることなく無事でした。

自分で設計したからなのか、安心感さえあったくらい(けど過信はよくない)
加えて構造が丸見えの我が家。(基礎も仕上げていないので丸見え)
仕口(接合部)の損傷もなく、壁や天井の塗装のひび割れもなく改めて耐震設計の大切さを感じました。

その中で、この度新潟市内で多くの液状化被害が報告されています。
実はOBさんの中にも液状化被害に遭った建物がありまして、今日確認に行ってきました。
一番最初の画像は、確認に行って家に帰ってきたときのもの。(それ以外の画像は公開しません)
液状化した地盤の上を歩いてきたので靴が泥だらけになりました。

まずは伺ったときに「鈴木さんの顔が見れて安心した」と言っていただいたこと。
これが一番大事ですね。
ご家族だけじゃ不安なことが沢山。
詳細な調査はできないけど、現況やロケーションの確認で判断できることもあります。
修復も大事ですが、まずは気持ちの面での支えが設計者にできることかなと思いました。

今後、施工会社と協力して調査と沈下修正を進めていきたいと思います。

そして、この2日間で気になったのが、耐震設計もそうだけど、地盤がもっと大切というSNS上での発信がとても目につきました。

最初から言ってるけど、と思いましたし、
その発信もしているので、
地盤がとても重要なのは違わないんですが、

発信が極端に振れ過ぎること。(白黒つけたがる日本人の特徴だと思っています)

確かに地盤がいいに越したことはないですが、土地選びはそれ以外の要素も沢山あります。
また、地盤改良についても水平力を受けられる杭にしないとダメなんじゃないかという意見。
それも正解ですが、まともに施工すると建築予算の2-3割を占めることになり、負担が大きすぎます。

私が気になったのは新築時点で完璧にしなきゃいけないという考えがとても目についたこと。

予算に限りのある住宅の耐震設計、地盤沈下設計は少し違う物差しも必要です。

結論から言うと、予算が厳しかったり、地盤があまり良くない土地を選んでしまった場合、無被害の建物を目指すんじゃなくて

直しやすい設計をする

ことが一番現実的だと思います。

まずはそもそもの設計のスタートとして
耐震設計をしない
がけ地
など、一発で命の危険に迫る設計はしません。

土地探しからの相談が多いネイティブディメンションズですが、極端に隣地との高低差がある場合は、真っ先に候補から削除します。
(OBさんで鈴木にそんなこと言われたなって思い当たる節のある方いると思います)
人間が地球に敵うわけないと思っているので、
どんなに頑丈な土留めがしてあっても、そもそも
どんな地震が来るかなんて分からないので、地形に逆らっていない場所に建てるのをお勧めしています。

その条件があって、直しやすい設計とは、

複雑な間取りにしない。(きちんと構造区画を取る)
これは建物の挙動が耐震設計の範囲を超えて損傷が予想を超えることが考えられます。
また、液状化などで沈下した場合、建物形状が複雑だと修正に手間がかかります。

次にベタ基礎の採用
布基礎の場合、沈下修正が難しい(またはできない)と思ってください。
単純な話で面で支えているベタ基礎であれば建物を持ち上げられますが、線で支えている布基礎の場合は持ち上げると基礎が折れる可能性があります。
シロアリ対策でベタ基礎を採用していますが、直しやすいという意味でもベタ基礎は有効です。

そして、耐震等級を取得して、地震保険に入る。
何かあった時に一番大事なのはお金。
直せる直せないと同じくらいに直す費用がある、ないも大切です。
つまり、地盤も大事だけど保険に加入できる耐震設計はやっぱり大事ということ。

今回の建物は沈下したにも関わらず、室内のドア・引き戸が一切狂っていませんでした。(全13か所)
傾いたことが起因する不具合を出さない。

極端な構造設計論ではなく、全体のバランスを見た構造設計が大切です。
省エネ設計も同様に考えています。こちらもいつもの発信通り。

じゃぁ、なぜ極端に小さい家を設計しているんだと聞かれれば、じつはそれも一番バランスがいいと思っているという発信をしています。

今年もいつも通りの発信をしていこうと思います。


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