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新潟市の住宅設計事務所ネイティブディメンションズ=狭小住宅や小さい家、構造計算、高気密高断熱が好きな建築士のブログ

脇役

2024-01-08 18:12:44 | 住宅設備
今回の地震で改めて耐震性の重要性を感じましたし、今朝雪が積もる景色を見ながら暖かい室内で過ごせる断熱性にとても感謝しました。

それ以外にネイティブディメンションズでは耐久性耐用性についてもこだわっていて、ちょいちょい記事にしています。

ちなみに耐久性とは、それそのものが長持ちすること
耐用性については私の方で勝手に広義にとらえていて、飽きない事、同じ材料で入れ替えられる事、維持しやすい事、メンテナンスしやすい事を言う場合に使っています。

今日は耐用性の中から排水ヘッダーについて紹介します。
多分初めて触れる内容かもしれませんが、実は事務所立ち上げ以来っていうか、前職時代を含めて20年以上排水ヘッダーを採用しています。

引用画像(積水化学より)のように、
従来(左図)は排水を個別に最短距離で建物外部に配管するのに対して、
排水ヘッダー(右図)は床下で排水を1か所にまとめてから外部に配管する方法です。

私が採用している理由は主に2つあって、
基礎の貫通部が減らせるので、
①シロアリの侵入口が減らせます
②構造的な弱点を減らせます

その他のメリットとして、排水ヘッダー先端に逆止弁が付いているので、洪水等で下水道本管に水が逆流した場合でも、その水を止めることができます。(軽減できます)
それと排水ヘッダーそのものが半透明なので、汚れ具合や詰まり物などを目視できることも特徴です。(あまり見たくないけど)

そして、この度の地震で思ったのが、建物または地盤が大きく揺さぶられることで外部の配管が壊れてしまって排水できなくなる不具合が発生していることに対して、

不具合発生個所を探るにも、外部の排水箇所が少なければ時間短縮になります。
加えて、ネイティブディメンションズでは通常、基礎の配管貫通部を地面に隠すところ屋外に露出させています。
ずばり確認が簡単でした。
配管場所もすぐに特定できるし、確認する数も少ないし。

また、勝手な想像ですが壊れやすいのは継ぎ手部分=コーナー部分だと思います。
露出配管の場合、継ぎ手部分が露出しているので揺れに対して抵抗が少ない事と、その直下にある地中の継ぎ手に対しても約70-80cmある立上りの管が揺れをある程度吸収してくれるから壊れにくいのかなと思いました。(あくまでも先日試掘してきたことに対する想像です)

排水ヘッダー+露出配管ってもしかしたら災害時に有効なのかなと思ったわけです。

デメリットも考えてみました。
排水が1か所に集中しているので、もしその1か所が壊れたら家中の排水ができなくなります。
すぐに直せるのがメリットなので表裏一体って感じでしょうか。

私にとってのデメリットはその位ですが、実はこの排水ヘッダー方式全然普及していません。

理由は、上の引用イラストを見ると一目瞭然で、
家中の排水管を床下に配管しています。
一般的に屋外配管よりも屋内配管の方が割高です。
加えて完成後、蜘蛛の巣のように張り巡らされた配管のせいで床下に入れなくなっちゃうんです。

致命的な欠陥商品とも言えます。

なわけない。
排水ヘッダーが欠陥じゃなくて、床下空間との相性があるだけの話。

基礎高が1mあれば排水ヘッダーの相性は抜群にいいです。

ちなみにネイティブディメンションズでは給水・給湯にもヘッダー方式を採用しています。

こちらも20年以上採用していますが、給水・給湯をヘッダー式にするメリットはどの場所でも水圧が均等に保ちやすい事。(正確に言うと水圧の変化が少ない事)
デメリットとしては配管長が増えてしまうため死に水(お湯が出るまでの時間)が多いと言われていますが、そこは小さい家ですから、まぁ。

どちらも一般的な工事よりも割高ですが、メリットを考えれば割安かなと思います。

小さな脇役たちに支えられているネイティブディメンションズの住まいです。



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