七曜工房みかん島

18年間の大三島暮らしに区切りをつけ、
滋賀大津湖西で、新たに木のクラフトと笛の工房
七曜工房を楽しみます

『一人で建てる木組みの家』~27 風呂場

2009年01月19日 | 『一人で建てる木組みの家』
1 一番難しかった風呂場

昔から、風呂に入ってくつろぐという習慣はない。
体を洗って、湯舟にさっと入ればそれで良い。
冬なら少しは暖まることもするが、夏ならシャワーだけで良い。
カラスの行水というものだ。入ったあとのサッパリ感は好きだが、
ぬるい湯に長くつかっているというのが苦手だ。

なので、温泉地へ旅行に行って、
ゆっくり温泉につかるというのは好きではない。

だから、風呂場は、機能一辺倒の狭い空間にした。


 そしたら、当然のごとく、妻から、クレームがついた。

 妻は温泉大好きの長湯タイプ人間なのだ。
   大きな風呂場で、大きな浴槽にゆったりと海を眺めながら 
   入りたいと。出来れば、泡風呂が良いと。

 しかし、風呂場の位置はすでに決まっており、
   海は反対側である。
   大きな風呂場は、冬は寒い。
   大きな浴槽は、湯が沢山必要だ。
   と説得に努めるが、OKは出ない。


そこで、せめて、ユニットバスにして、少しは豪華感を出すことにした。
しかし、専門業者の人に来てもらって、寸法を測ったら、
狭いので、ユニットバスは入らないとのこと。


 結局、昔ながらのタイル張りの風呂場になった。

木の好きな人は、コウヤマキやヒノキの風呂桶や板壁にするが、
キレイなのは最初だけで、長期のメンテナンスを考えれば、
やはり、木は湿気に弱いので、ステンレスの浴槽やタイルの壁にした。
また、窓や入口の建具もアルミサッシを用いることにした。

風呂場は小部屋ながらも、色々な工程が詰まり、作業順序も複雑で
家作りの中では、最も難しい箇所だった。

詳細設計や施工図も描き直すことが多かった。
というのは、購入材料の種類が多く、施工も初めてというのがいくつかあって、
その取り合いなどは、頭の中や図面の上では、なかなか考えられなかった。

腰壁のブロック積みと柱、梁、天井にあたる2階床が完了し、
その後の工程は、墨出し~土盛り~配管~ブロック積み~床コンクリート打ち
~壁下地~壁モルタル~浴槽設置~窓・入口サッシ取り付け~タイル張り
~天井取り付けとなる。


2 基礎部分

基礎作業の土盛り、配水管設置、内壁ブロック積み、
基礎床コンクリート打ちについては、下水管埋設時に同時に済ませておいた。
洗い場の仕上り高さが、1階の床高より100mm下がりとなるように、
それぞれの高さ取りを慎重に行った。
浴槽からの排水を受ける配水管は、基礎床に溜った水を排水できるように
基礎床面と同レベルで切り取った。
また、浴槽の脚が載る部分は、注意深くレベリングを行った。

腰壁と基礎

上から見た 腰壁と基礎

浴槽の取付け位置

浴槽のレベリングと排水管



3 下地モルタルが最も難しい

壁はタイルをボンド貼りにするので、
下地はラス下地とブロック下地へセメントモルタルを塗る。
厚みは当初は、25mm程を考えていたが、
サッシ枠に合わせることにして30mmとした。これが厚い。
2度塗りでは、しんどいだろうから3度塗りとした。
モルタル配合は、
セメント:砂=2.5:1では、コテが重いので、2:1とした。
モルタルをラスに塗るには、結構強い力でコテを押さえつける必要がある。
こすりつけるようにする。ラスこすりという言葉の意味が良くわかった。

腰壁の建築ブロックへののりが悪い。
ラスへの塗り厚と同じでは厚すぎるのだろう。
セメントを少し多めにして、なんとか塗り上げる。
2回目塗りの付着性を良くするために、釘で表面をひっかいておく。
このひっかき傷の溝にモルタルが入り込んで、
滑りを止めるのかと思っていたが、
それよりも、溝の横に盛り上がる砂のささくれ粒が有効に働くようだ。

モルタルが仕上げ面なら、それ程気にすることもないが、
仕上がりの壁面が垂直でなければ、タイルがうまく収まらない。
そのために、定規となる棒をとりつける必要がある。
この取り付け方を調べたがわからないので、自己流でやった。
天井から水糸を垂らして、それに合わせて細長い棒をスペーサーの薄板をあてて、
コンクリート釘で留めた。
これを各壁面の4辺に施し、2回目と3回目のモルタルを塗り上げていった。
定規棒はうまく取り付いたと思うのだが、
3回目のモルタル塗りがまずかったのか、仕上げ面が波打ってしまった。

これが、その後のタイル貼りに大きく影響して、
タイルも凸凹が目立ってしまった。

窓まぐさの裏面を塗るのも、大変難しかった。
天井に塗るのと同じで、塗ってもすぐ剥がれ落ちてくるのだ。
5mm以下の厚さで間をおいて、塗り重ねることで、何とかクリアーできた。


防水紙とリブラス

窓まぐさの定規棒

入隅部の定規棒

入口サッシ廻り

モルタル塗り作業


4 壁タイル貼り

下地モルタルの仕上がりが悪いので、とても貼りづらい。

接着剤の厚みの範囲でうまく貼れる箇所もあるが、
そうでないところは、モルタルをタガネで削ったり、
接着剤に砂を混ぜて肉盛りしたりして貼っていく。
入隅部が最も難しく、直線目地が通らない。

接着剤は、アクリル系なので、水で洗えば落ちると思い、
素手で作業をしていたら、
手についた接着剤が、こびりついてとれないので、困った。

二平面だけの台所の壁とは違って、
風呂場の壁は、四面で開口部があったりして、
カットするタイルがとても多い。
タイル割り付けがうまくいかなくて、
小さく切ったタイルを貼るところは、不細工さが目立ってしまう。

とても注意深く貼っていったつもりだが、
仕上がりを見ると、やはりタイルが凸凹している。

目地を入れれば、いくらかましになるだろうと思っていたら
それ程変わりばえしなかったのは、残念だった。


タイルと接着剤を購入

壁タイル塗り

壁タイル目地詰め

浴槽取付け前

壁タイル完了



5 浴槽の取り付け

浴槽はステンレスに塗装したものを選んだ。
ホーローがいいかなと思ったが、重量が100kgもあると知ってやめた。
とても一人では設置できない。

このステンレスの浴槽でも、取り付けるのに大変な苦労がいった。
浴槽は、タイルを張り終える少し前に取り付けることにした。
そうでないと、浴槽が汚れてしまうから。

ただ、本当に最終段階でうまく収まるかどうか不安だったので、
下地モルタル段階までで、3度程試し収めをして様子をみた。
この浴槽を風呂場の定位置へ収めるのが大変。
狭い入口を通って、狭い風呂場で、
大きな浴槽をどこにもぶつけないように、そっと置く。
チェックが済めば、逆に今度は、外へ運び出す。注意と力がいる作業だ。

浴槽と壁との隙間は、タイルでふさぐことになり、
目地だけでふさがっていることになる。
以前、浴槽のまわりはすき間だらけだから、
浴槽を伝わって基礎床へ流れ落ちた水は、
排水口へ流れるようにしておくべきだと、
教えてもらったが、どうもこのことらしい。
はなはだ心もとないが、こういうものなのだろう。

ステンレス浴槽

浴槽の運搬

浴槽の取付け作業



6 床タイル張り

床タイルは、磁器質で固く小さいので、カットがめんどうだ。
ガラス切りで線を入れてから喰い切りで切る。少しずつ喰っていく。
かなり力がいる。少しずつ喰い切らないと、線からずれてしまう。
そのあと、ギザギザをグライダーで整え、砥石で擦って面取りする。

接着はセメントを水で溶いたノロとした。
ノロの固さ加減がわからず、初めは固すぎて粘着力がなく、
次は、軟らかすぎて安定しない。
うまくいったと思ったら最終。
軟らかすぎたところは、ノロが盛り上がってきてタイルの紙が濡れてきた。
目地が入らないので、削りとってスポンジでふきとる。

乾いてから、目地入れをしたが目地が深かった。
滑らないように少し落し目地にしたが、そうする必要はなかったようだ。
タイルの角が足裏に触って気になるし、
泥土の汚れが溜りやすいから、平目地にすべきだった。


床タイル目地詰め

床タイル完了


7 天井張り

天井は既製品を張ることにした。塩ビ製。
できる限り、石油化学製品を使わないようにしてきたが、
湿気に弱い木に替わるものは、今のところ、この塩ビ製になってしまう。
天井下地の桟木へ廻り縁を止めつけてから、天井板をはめ込めば、出来上がり。
とても、簡単に取り付けられる。
良く考えられているものだ。
天井裏へ入り込んだ湿気は、通風金網から外へ逃げるようにしてある。

天井下地

天井材

天井張り

天井張り最後の1枚

風呂場のサッシドアの取付け完了



作業期間  2006年10月下旬  2007年7月下旬~9月上旬
作業日数  19日
 

付記:妻・ひろ

「海を見ながら、ゆったりと身体を伸ばして、お風呂にはいりたい。」
 ”家で毎日温泉気分”という 妻の夢は、

「台所や居間から海がみたいんやろ?それなら、風呂場からは、間取り的に無理。」
「海を見ながらって、夜の海は真っ暗やで。それに、外から人に見られるで」
「大きな湯船は、お湯が沢山いるで。身体を縮めて入る位がよう暖まる」
「広い風呂場は、冬寒いで」

ケチな夫の合理的な意見に、あえなく負けてしまった。

それなら、機能的にも優れていて、
きっと、夫が施工するより綺麗にスッキリ仕上がり、
もしかしたら、夫が施工するより安くつくかもしれない、
ユニットバス案には、夫も賛成してくれたけれど、
これも、サイズ的に、不可能となった。

夫は、自分で張ってみたかった、
湿式タイル張りの風呂場を作ることができて、
嬉しいらしい。。。

夫がへたくそに張ったタイル張りのお風呂で、
ゆっくり、気持ちよく、くつろげるやろか。
タイルが剥げたり、欠けたりしたら、
掃除も大変やし、怪我までしそう。

お風呂から、水が廻って、家、腐らへん




『一人で建てる木組みの家』の家作りのこれまでは、
 こちらをごらんください。

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