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七曜工房みかん島

18年間の大三島暮らしに区切りをつけ、
滋賀大津湖西で、新たに木のクラフトと笛の工房
七曜工房を楽しみます

一人で建てる木組みの家 ~⑱床板張り

2008年05月15日 | 『一人で建てる木組みの家』
1 厚板を張る

床板は厚い材を張ることにしていた。
断熱性、木の触感、施工性等から優れていると思う。
1階はヒノキ1等の厚さ38㎜ 
2階はスギ1等の厚さ38㎜ 
板が厚いと単価も高くなるのだろうと見積りをとって、
他の床材と比較してみたら、15㎜厚の合板の床材と比べて、
ヒノキの厚板が少し高く、スギの厚板なら少し安いぐらいだった。
また、ムク材や集成材の特選物、無節物なら、
ヒノキの厚板の2~3倍もするのには驚いた。
厚板は経済性にも優れていると言える。

施工性に優れているというのは、
板が厚いため根太を省略して大引に直接張れるからだ。
2階に張った床板は、1階から見ると
天井材にもなる。
板材は、本実加工をして、四面ともモルダーがけしてあるので、
ツルツルでとてもきれいだ。

ただ、スギの方は柔らかいため、材を動かしていると、
注意していてもどうしてもキズがつき易い。
幅は165㎜、長さは4m。
見た目のきれいな方を表面にした。
だいたいが、木表の方がキレイなので、表面とするが、
中には木裏の方が、キレイなので、表面としたものもある。
木裏は心材側なので、材が丈夫だが、ササクレ立ち易く、
肌が触れるところへは、使わない方が良いようだが、
原木が大きければ、ササクレもそれ程心配はいらないと思う。

1等材なので、
節がたくさんあるのは仕方ないとして、死節があると困る。
床下から風が抜けてしまう。
死節のある材は切って、他の場所に使ったり、
目だたないところでは、穴埋めをして使った。

床板として、製材所でほぼ加工が済んだ材なので、
あとは所定の長さに切って、張るだけだ。
が、もうひとつ忘れてはならない最後の加工がある。
それは、糸面取りだ。
張った当初は、板と板がピッタリすき間なく並んでいるので、
面取りの必要性はわからない。
しかし、材が乾燥して収縮し、すき間があいた時に、
この糸面取りが、足裏にとても優しいのだ。
ホンの少し仕上げカンナでなでる程度で良い。

釘は、65N を使い、
ドリルで予備穴をあけてから、釘絞めで打ち込む。



3回目の材木購入 2007年10月


床板とその他の板材の前で


2 最初の失敗

板の本実加工というのは、
木端面を凹と凸の形に成形することで、
この凹と凸の大きさの加減で、
収めた時にキツかったり、ユルかったりする。

4mの長尺では、ユルめじゃないと入らないと言われたので、
そうしてもらった。
だが、ユルめであっても、当て木をして、ゲンノウで叩くぐらいでは、
簡単には入らない。

そこで、本で見た床板寄せの治具を作ることにした。
釘で固定した板と床板の間に2本のクサビを打ち込むだけの簡単なものだが、
これが相当なスグレ者だ。
気持ち良く板が入って、全くスキ間がなくなる程寄ってくれる。

これでようやく2枚目が張れたと思った時、失敗に気付いた。
凹に凸を入れ込んで、凹の方に釘を打っていた。
これは、逆だった。
1枚目は面倒な加工をして収めたのに、また一からやり直し。
手戻りほど、気が抜けることはない。



最初の失敗 この板は使えません。



床板を寄せるスグレ者のクサビの治具



3 半端の収め方

各部屋ごとに張っていくと、その部屋の一番最後には必ず半端が出る。
板幅の全幅165㎜に近い半端なら気にすることはない。
しかし、20㎜や30㎜の狭い幅の半端なら、見た目がよくないので、
この半端になる方は部屋の目立たない側にくるようにするのが良い。

洗面所の床板を張り終えようとした時、なんと最後の半端が3㎜だった。
板を3㎜幅に切って、床板に接着することで、3㎜のすき間を埋めることができたが、
この半端部分が洗面所の入口側なのだ。
奥の洗面台の下なら全く見えなかったのに。
入口にあるものだから、洗面所に行こうとする度に目につく。

床板を張る前には、必ず部屋のどちら側から張った方が良いのか、
考えてみること。

一番最後の板を収めるには、寸法を測って加工した最後の板と
一つ手前の板を同時に上から押し込めば、キレイに収まる
と本に書いてあったので、
その通りにしたが、押し込めなかった。
この方法は、板厚が15㎜程度の薄いものなら可能だが、
今回のような厚板では不可能だ。
最後の板は、凹の部分の下側の出っぱりを切り取って、
上から落し込み釘止めするしかないようだ。



リビングの床張りは、ヒノキ材



床下点検口の調整をする

4 ロフトの床板張り

2階のロフトの床板は、利用頻度が少なく目立たない場所だということと、
コストダウンのためにスギ板にした。
最近では、柔らかいスギ板の床材が足ざわりがソフトで暖かいと、
大変人気があるそうだ。

床材は耐久性の上から、ヒノキよりもマツ、
マツよりもナラというように、より硬い材が使われてきたが、
ヒノキより柔らかいスギで、
どの程度耐久性があるのか経過をみようと思う。

2階は1階よりも柱間隔(小屋束間隔)が狭いので、
4mの材を持ち上げて張ることができないかもしれぬと思っていたが
事前に試してみるとなんとかうまくできたので、長尺で張ることにする。
2階の床板は1階の天井板でもあるので、
板の上面と下面の両面がキレイでなければならない。
1階のヒノキ材では結構死節のものがあったが、
スギ材ではほとんど死節のものはなく、また両面ともキレイな出来だった。
木表側を2階の床面とした。

床材の収め方で、2階と1階とでちがうところは、柱まわりだ。
1階では柱にあたる部分は、
床板を柱の寸法に合わせて切るだけで良かったが、
2階では小屋束の方も欠き込んで床板が入り込むようにしないと、
天井を見上げた時に小屋束廻りにすき間がみえてしまうのだ。
この小屋束の欠き込み加工(首切りと呼んでいた)が
めんどうでキレイに収めるのも難しかった。
このころは、1月初めの寒い時だったが、
2階はポカポカ陽気で気持ち良く作業が進んだ。



ロフトの小屋束の首切り加工



ロフトの床材はスギ板


 2006年11月、2007年1月 延べ18日間



付記;:妻・ひろより

 みかん農家である我家の最も忙しい頃、
 夫は、みかん収穫・発送の合間合間に、
 さらに夜にも、電気スタンドを点けて
 床張りをしていた。
 
 最も奮発した、ヒノキの床材が、
 長く外に置いておくと、 雨に打たれて、
 柱や梁材のように、濡れて汚れてしまうからである。


 夫が夜遅くまでかかって張った床を
 朝、「さて、どれだけ進んだかな」と楽しみに見に行く。
 
  お日様でほんのり暖まった、ヒノキの床材の上に寝転ぶと、
 ツルツルで、ぽかぽかで、ヒノキのいい香りがして
 ホントに気持ち良かった。

  「もう、ここで住もうか」
 
  あっ~  
 でも 
 壁もできてないし、
 窓もできてないし、
 まだまだでした。
 



「一人で建てる木組みの家」のこれまでは、
      こちらをごらんください。