6月20日信濃毎日新聞
3年ほど前、12.8松本地区不戦のつどいで下嶋さんに講演をいただいた。沖縄選出の照屋寛徳衆議院議員のご紹介でした。お願いをしたときに下嶋さんから「信州の人たちにどうやったら沖縄の苦しみを伝えられるか」と相談を持ちかけられ、嘉手納爆音訴訟を闘っている方から爆撃機の発着陸のDVDを譲り受け、音源で124デシベル、聞く側で90ホーンの爆音を再現しました。この音は耳をふさいでいても内臓がゆれるもので、あらがいたくても、あらがいようのない音でした。
その下嶋哲朗さんが雑誌「世界」に1年間にわたって連載した「非業の生者たち」がこのほど岩波書店から出版されました。この「非業の生者たち」は、サイパン・沖縄・満州まで続く集団自決を生き残った人たちの証言から問い直すものです。「なぜ、集団自決が行われたのか?」、あらためて戦前の日本の歴史を見つめ、もしかしたら再び起こるかもしれない日本人の精神構造に迫るものです。ぜひご一読を。