こんにちは「中川ひろじ」です。

みんなのお困りごとが私のしごと

宮田村学校給食を育てる会のお話

2010-03-10 13:30:19 | 食・農業

お話をしてくれた、宮田村地産地消コーディネータの吉沢小百合さんと保育園調理師の石川康恵さん

■3月9日県労農会議の総会で、長野県宮田村の「学校給食を育てる会」のお話を聞きました。宮田村では保育園・小学校・中学校へ地元産の野菜などの給食用食材を積極的に取り入れてきた。今年小学校では64品目、51%まで地元の野菜で賄われました。こうした地元の農家と学校を結び付けているのが「学校給食を育てる会」です。
■今から8年前の平成14年に「地元食材を少しでも学校給食に取り入れようと活動をはじめ、初年度は上伊那産のコメと味噌を使う程度でした。平成16年度に村や農家の協力で「宮田村学校給食を育てる会」を立ち上げ本格的な取り組みが始まりました。生産者の予定数量を把握し、学校からの注文を個々の農家に振り分け納入をしてもらう、月末までにその月の清算を行っています。
■小・中・保育園の子ども数は1380人です。100%地元産の野菜を納入することができるのは、「しめじ」「アスパラ」「りんご」くらいです。取り組みを進める中で、農家の方が空いている土地に学校給食用の野菜をつくりはじめる、JA直売所も一役かんでもらうなど地域での協力体制も段々に進んできた。最初は、ジャガイモ一つでも小さいものは調理がしにくいという声もあったが、調理師と農家が話し合っていく中で「いいよ、いいよ」とお互いが少しでもやりやすい方向に変わっていった。ウド・サンショウ・たけのこ・スイカ・ゴーやなど年に1回しかつかわない旬のものもつくるようになった。
■こんな話もある。いもがら(サトイモやサツマイモのの茎)を使いたいと相談したら、大勢の農家が協力してくれたが、なかにはイガイガが強いものもあって、困っていたら「うちのは大丈夫と」、おじいちゃんとおばあちゃんが何日もかけて皮をむいて納入をしてくれた。またスイカ農家で、もう高齢で「これでやめるから、最後に子どもたちに食べてもらいたい」と言ってきたが、調理師が皮の処理に困ると言ったら、「皮もこっちで処理をする」となり、皮をとりにいくと赤いところが何もないほどに子どもたちが食べてくれて、嬉しくなって再びスイカを作り始めた話。

■農業体験学習も盛んになってきた。1年生は落花生、2年生は大根・ニンジン、3年生はアスパラガス・さつまいも・かぼちゃ・ブルーベリーやりんごの収穫、5年生は大豆から味噌までつくっている。給食の時間には「今日のアスパラガスは3年3組のみなさんが収穫をしてくれました」と放送されます。

■こうした学校給食を中心とした地産地消の取り組みは、公民館活動にも広がっていった。成人式では、5年前から地元の食材をつかって懐かしい学校給食を食べてもらっている。親子で月1回たまねぎやじゃがいもをつくり、夏にカレー大会をやる、もち米をつくってもちつき大会をやる、大人の野菜についての学習会や調理実習を行うなど、地域に広がりをもちはじめている。

■今年度から、コメの個別所得補償のモデル事業と水田利活用自給力向上事業が始まる。これまでの「コメをつくらないことに対する補助金」から「コメをつくることへの補助金」に大きく転換する。来年度以降、全ての主要作物で個別所得補償をめざすことになる。未来を担う子どもたちが小さいときから農業を体験し、自分でつくったものを食べる経験が、将来地元で農業をやる担い手に育ってほしいし、食べていくことのできる農業の確立へ歩みだしたと考えたい。同時に、宮田村の取り組みは、学校給食という消費者が地域農業を活性化させている取り組みともいえる。安全・安心を監視するだけではなく、安心・安全をつくりだす過程に市民が積極的関わる事例としても参考にしたい。

関連情報 関東農政局
       いなまいニュース
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする