毎年10月を迎えると悩まされるのが翌年の手帳選びです。その年を振り返って「来年の手帳はこうあるべき」と見定めた上で翌年の手帳を選んではいるものの、次の年の同じ時期になると手帳に求めるものが変わってしまうことが多く、なかなか1種類の手帳に定着することが出来ません。
2000年代前半はシステム手帳で過ごしました。主にゾーン式のリフィルを数種類試しはしましたが、同じバインダーで安定していた時期でした。しかし2000年代後半にさしかかったところでほぼ日手帳を導入しました。新規参入の手帳ながら僕が買った時点で数度のモデルチェンジを経ていて実用度が十分高まっていましたし、1日1ページという構成も仕事に追われがちな毎日を少しばかり豊かにしてくれる気がしました。それから数年ばかりほぼ日手帳を楽しんだ後、再度システム手帳に戻ります。元々使っていたバインダに愛着があることや、ページの差し替えが可能なのでメモの検索性に優れることが復縁の理由です。ただ、システム手帳一筋になりきれない理由の一つとしてその重さがあげられます。1日1ページのほぼ日手帳はかなりの厚みがありますが、それでもシステム手帳よりは軽いので、どうしても毎年綴じ手帳に心揺らぐ訳です。
例年、秋から年末にかけてこんな悩みを内に秘めて過ごす僕に印象的な出来事が起こりました。病院の待合室に腰掛け辺りを見渡していたところ、作業服を着た中年男性が熱心に黒い綴じ手帳に見入っていたのでした。何気ない風景ではありましたが、作業着の男が古めかしい手帳を見ている姿の格好良いこと。おそらく能率手帳普及版だったと思いますが、表層的なお洒落とは対極にある実用一本槍のシンプルな手帳に憧憬を抱かずにはいられませんでした。
そこで来年の手帳は能率手帳ゴールドにしました。そもそも僕は能率手帳を使ったことがなかったので、初回は一番オーソドックスな能率手帳普及版からと考え買いはしたのですが、長らく革の手帳カバーを使ってきたこともあり能率手帳普及版の質感に納得できませんでした。また、能率手帳を使ってみようと思ったきっかけが病院で会ったガテン系男性の雰囲気ですから、黒革の手帳くらいでないと男っぽさが足りません。もったいない気もしましたが1年を通じて使う手帳ですので、思い切って能率手帳ゴールドに買い直すことにしました。
図らずも能率手帳普及版とゴールドを同時に手にすることになったので、簡単に違いを書いておきます。一番大きな違いはやはり革表紙と三方金でしょう。能率手帳ゴールドの革表紙は予想以上に手触りが良く、柔らかい感触は何度さわっても飽きることがないくらいの心地良さです。また、普及版では黒っぽく塗られていた小口には、ゴールドの名の通り金箔が貼り付けてあり非常に美しい仕上がりです。三方金は少し「オッサン臭い」という意見もあるやも知れませんが、2010年代の今となってはむしろ新しさを感じるデザインだと言えないでしょうか。加えて手帳に使われている用紙も異なります。能率手帳やBindexシリーズのリフィルで用いられている用紙はどれも上質な印象があります。しかし、能率手帳ゴールドはそれをさらに上回る上質な紙を使っているのです。手帳に印刷されている内容は能率手帳普及版とゴールドに差はありませんが、表紙・三方金・用紙の質の3点だけでもゴールドを選ぶ価値はある筈です。
しかもうれしいことに能率手帳はモレスキンのポケットサイズとほぼ同じ大きさです。大きなサイズの手帳になれていると能率手帳でメモがしきれるか不安になる方もあるでしょう。しかしモレスキンと一緒に持ち歩いてしまえばまったく不安がありません。さらに言えばノートとあわせてモレスキンのダイアリーを使うくらいだったら、ほぼ同じサイズで60年以上の実績があり、日本のカレンダーに完全対応している能率手帳を併用した方がメリットが大きいと思いませんか?
来年の手帳は温故知新をテーマに使っていくつもりです。
11 能率手帳ゴールド(黒) | |
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11 能率手帳1普及版(黒) | |
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