長田家の明石便り

皆様、お元気ですか。私たちは、明石市(大久保町大窪)で、神様の守りを頂きながら元気にしております。

4章 その3追記

2013-12-19 21:07:40 | Dunn "Baptism in the Holy Spirit"

第7章に入る前に、ここで突然、第4章に戻らせて頂きます。第7章では、コルネリオの回心についての検討がなされています。ところが、コルネリオの回心に関わる聖書個所で、既に第4章で取り上げられたものがありました。実はその聖書個所について、第7章についての検討を準備しながら、新しく気付いた点があったわけです。第4章について、もはや自分でも何を書いたか忘れかけていますが、思い出しながら追記します。

第4章は、ペンテコステの日の出来事を検討する章でした。著者は、この日の出来事が「新しい契約の時代」をもたらすものであったことを強調しました。そのことを詳述する中で、最後のポイントとなったのは、「クリスチャンとなる信仰が始まったのはペンテコステからである」というものでした。そして、このことを説明するにあたりカギとなったのが使徒11:17でした(コルネリオの回心について、ペテロが人々に説明する箇所の一部)。

「私たちが主イエス・キリストを信じたとき、神が私たちに下さったのと同じ賜物を、彼らにもお授けになったのなら、どうして私などが神のなさることを妨げることができましょう。」「彼ら」とはコルネリオたち異邦人をさします。「私たち」とは、ペテロたちであって、ペンテコステの日に神様が彼らに聖霊の賜物を与えた出来事と、コルネリオたちに聖霊がくだった出来事とを比べています。

著者は、第4章でこの聖書個所を取り上げ、逆にペンテコステの日の出来事について示唆を与える個所として取り上げているわけです。一般的なペンテコステ派の主張では、弟子たちがペンテコステの日に聖霊を受けるはるか前にキリストを信じていたはずだと言いますが、著者はこの箇所に注目します。神様がペテロたちに聖霊を与えられたのは、ペテロたちが「主イエス・キリストを信じたとき」だと言います。このことに基づき、著者は、ペテロたちの信仰がペンテコステの日に初めて真に彼らをクリスチャンにするものとなったと主張します。

これに対し、私は、著者の主張の不思議さを指摘しました。著者は、ペンテコステの日の出来事が新しい時代をもたらしたのだと主張してきました。すなわち、彼らに聖霊がくだったその日以来、それまでなかった時代がもたらされたわけです。いくつかのポイントについて著者はその議論を展開します。その最後に、その日、信仰も真にクリスチャンになる信仰となったと言います。しかし、ペンテコステの日が新しい時代をもたらしたのは、聖霊がくだったからであるとすれば、聖霊がくだる以前には、その直前まで、信仰は古いままであるということにならないのだろうか、それとも、聖霊がくだる以前にどういうわけか信仰が新しい次元のものになったのだろうか・・・。ここに不思議さが残ると指摘しました。

ただ、使徒11:17で「私たちが主イエス・キリストを信じたとき、神が私たちに下さったのと同じ賜物を」と本当に書かれているとすれば、ペテロたちの真の意味での信仰が、ペンテコステの日に始まったと理解せざるを得ないということも言えそうです。この点について、真正面から取り上げた注解書も手元になかったので、この件についてはこう締めくくらせて頂きました。「どう理解したらよいのかも分かりませんが、一応この不思議さを心に留めつつ、判断を保留しておくほかなさそうです。」

今回、この点について、新しく気づいたことは、「私たちが主イエス・キリストを信じたとき」と訳されている箇所が、もしかしたらそのように訳さなくてもよいかもしれないという点です。原文では、"ωσ και ημιν πιστευσασιν επι τον κυριον Ιησουν Χριστον"ですが、直訳すると、「(神が)主イエス・キリストを信じた私たちに(聖霊を与えた)ように」となります。すなわち、ペテロたちに聖霊が与えられた時と、主イエス・キリストを信じた時とは、必ずしも一致しなくてもよいことにならないだろうか、ということです。

実は、今回、20年前の自分の神学校卒業レポートに次のように書かれているのを発見したのでした。「ちなみに、11:17の『わたしたちが主イエス・キリストを信じた時にくださったのと同じ賜物を…』(口語訳)と訳されている言葉は、原語から直訳すると、『主イエス・キリストを信じたわたしたちに対するのと同じ賜物を…』となり、信仰と聖霊の賜物を受けることとの同時性が言われているわけではない」。

「新約聖書学の大家が、こんなところを見逃すわけがない」という気もしますが、私が見る限りでは「同時とは限らない」というのが正しいようにも見えます。ギリシヤ語に詳しい方、どなたかご教示頂ければ感謝です。

コメント
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