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モーツァルトCDの風景19:旧約聖書ダヴィデの詩篇

2012年09月03日 | モーツァルト
モーツアルト:「オラトリオ 悔悟するダヴィデ K.469」
1785年3月初演。ミサ曲ハ短調K.427のキリエとグローリアがモーツァルト自身によって、オラトリオ《悔悟するダヴィデ》(K.469)に歌詞を変えて転用された。

歌詞の作者は明らかではないが、1783年以来モーツァルトと親交のあったダ・ポンテが「ダヴィデ」を扱った詩編を書いていたことも知られ、それがこの作品の作詞者であると推測されている。
内容は旧約聖書のダヴィデの詩篇に基づいているが、直接ダヴィデに関係した物語ではない。
主の力により苦しみから解放され、救われる、という信仰の喜びを歌う内容になっている。
音楽が先に出来、「ミサ曲ハ短調K.427」からの流用で2曲のアリアと合唱を加えて、それに合わせて後から歌詞を付けたとされる。


Miniature with King David(Schnutgen-Museum)

<モーツァルト:オラトリオ「悔悟するダヴィデ」K.469,エクスルターテ・ユビラーテK.165 マーシャル(S),マリナー指揮/シュトゥットガルト放送管弦楽団 (PHILIPS 420 952-2 輸入盤)>
「モテット<エクスルターテ・ユビラーテ>」は有名な曲。第二楽章のほのぼのとした温かさは絶品。終楽章のアレルヤは、ソプラノのコンンチェルトさながらである。


Pieta Rottgen,Holzskulptur,c,1300,Rheinisches Landesmuseum,Bonn

<モーツァルト:オラトリオ「悔悟するダヴィデ」K.469,アヴェ・ヴェルム・コルプスK.618 ラーキ(S), ファリエン(S),クイケン指揮/ラ・プティット・バンド (harmonia mundi BVCD-5002 輸入盤)>
「モテット<アヴェ・ヴェルム・コルプス>」はモーツァルトの教会音楽の行きついた頂点はこの曲であるという。わずか三分半の小品ながら奇蹟としかいいようがない。


Le Sauveur du Monde,Cliche Giraudon

<モーツァルト:ミサ曲ハ短調K.427,フリーメーソンのための葬送音楽K.477 オルツ(S),ラーモア(S) ヘルヴェッヘ指揮/エリゼー室内管弦楽団 (harmonia mundi HMX 2901393 輸入盤)>
「ミサ曲 ハ短調K.427」は1783年10月ザルツブルク聖ペータース教会で初演。未完ながら驚嘆すべき作品。キリエとグローリアはモーツァルト自身によって、オラトリオ《悔悟するダヴィデ》(K.469)に転用された。映画「アマデウス」のモーツァルトとコンスタンツェの結婚式のシーンでこの曲の冒頭のキリエが流れる場面は感動的だった。
冒頭の「キリエ」は陰鬱な雰囲気で始まるが、次第に長調を織り交ぜながら、突如として始まるソプラノの独唱は天上に駆け上がるかのような感動に溢れた心を打つ曲である。

「フリーメーソンのための葬送音楽」は深遠な感動を呼ぶ作品である。

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