五十年の彼方に
光り輝く星座がある
としよう
それは五年間華やかに輝いて
五年先に燃え尽きていいような光ではない
鈍く静かに
しかし
美しく輝いていく光だ
万華鏡ではあっても
花火ではない
いっとき
はでに打ち上げて
衆目を集める即効薬ではない
次の獲物を求めて
広く広く遠く遠く
駆けまわる
そんな機動力はない
地面を這いつくばるように
壁面にへばりつくように
ここに
ここに
留まり続ける
美しく
美しく
立ちすくんで
しかし
広く広く遠く遠く
見すえて
眼はらんらんと輝かせて
にぶく輝かせて
少なくとも五十年は輝いて
その先百年まで同じく輝きを保とうと
そんな建築を
内実を保つ建築を
つくってみたいものだ
ぼくらは
五十年先までは見通せる
子どもたちのことを
そのまた子どもたちのことを
五十年前のことは
しっかりと覚えている
小学校の正門の脇にこじんまりとたたずんでいた木造建築も
島と港を見下ろして
桜の木に囲まれたコンクリート建築も
その中にある書棚も
そこに住まっている
眼をらんらんと輝かせた白髪の人物も
その彫像も
五十年の彼方の
光り輝く星座を
ぼくらはしっかりと見据えている
※霧笛第2期40号から
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