ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

今夜も月が

2010-09-19 22:28:16 | 嫌いだ嫌いだ

秋らしい掃いたような薄い雲が浮かんでいる
というには
暗い空を広く覆っている
しかし
全天を覆い隠すというというのでもなく
その間の星空も
充分に見える程度の雲が浮かんでいる夜空

今夜も月が
地上を見下ろしている
雲の向こうから
やがて
雲を抜けて
やさしく暖かく
包み込むような光で

何か豊かに暖かなものが
心臓のあたりを包み込む

また雲のベールの向こうに半ば身を隠し
そしてまた
身を現し

アンデルセンの月も
この月
きっと
こんな月
屋根裏部屋などない
高台の小さな家の庭から
街の灯りを見下ろし
月を見上げ

やさしく無言で語りかける月のお話を聴いている
月の光を受けとめている

星々もまたやさしく


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