ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

坂道

2015-01-05 21:52:27 | 詩集湾Ⅱ(1993年5月20日)

図書館はどこですか?

図書館へ行く道はこの坂道ですか?

 

この坂道は市民会館の前をとおり右に折れると図書館に行く

港が見える

亀山が見える

春には桜が咲き乱れ青葉が吹き出す

秋には落ち葉が風に舞う

無彩色の鉄塔をのせた電報電話局が真下にあり魚市場の展望台(シャッターに鍵かけられてのぼれない)が見える

 

おじさん!

図書館はこの草ぼうぼうの土堤の桜並木のなかに隠れていますよ

 

 

図書館へ行く道をきいている

あのおじさんはきっと

好い人にちがいない

   永井叔

気仙沼と全世界の図書館さまへ

 

詩集湾Ⅱ 第Ⅱ章ご挨拶 から

 

2015年の注;ああ、そうだった、こんな詩を書いていたんだったな、と改めて思う。引用は、初代専任気仙沼図書館長菅野青顔の盟友、放浪の詩人、大空の詩人と称した永井叔の詩。館長室に揮毫があり、庭には石碑がある。気仙沼にとってはもちろん、全国の、あるいは書いてある通り全世界の図書館にとって、大切な財産である。坂道を登った先に図書館がある。その館長となることができた、ということは、望外の幸せである。

 魚市場の展望台は、その後撤去され、震災前に、新魚市場に建て替えられている。建築当時は、とてもモダンなものであった。小さい頃には、何度かのぼったことがある。

 

 


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