



インターネットをしていたら、液種ディスプレイの前になにやら黄緑色の小さな虫が下りてきました。じっと見つめると、どうやら目があったのでしょうか、慌ててそそくさと上がっていきます。パソコンラックの上に置いたプリント用紙の所で止まり微動だにしません。若緑色の透明な体をした小さな小さな蜘蛛です。
そっと席を立ち、デジカメを取りスーパーマクロで撮影しました、早速パソコンに落としてディスプレイで確認。手ぶれでもうひとつ不鮮明。慌てて三脚にデジカメをセットしてキーボードテーブルに乗せ、スーパーマクロ撮影をやり直し。レンズを近づけすぎて用紙に当ててしまい、蜘蛛は逃走。しかし、プリント用紙の端に行ってしまうと180度Uターンして戻ってきました。可愛いヤツです。しばらくそっとしておくと落ち着きを取り戻したのかジッとしています。ファインダーを見て、直接ジッと見つめないことがコツです。
静かにレンズを寄せてその距離3センチ。シャッターを切りました。それがこの写真です。わが家は、きのこ狩りをしたり山菜採りをするので、家の中を虫が這っていることも珍しくありません。農作業のついでに服に付いてきてしまうことも度々あります。この小さな蜘蛛は、どうやって侵入したのでしょうか。大量に生まれて、それこそ蜘蛛の子を散らすように離ればなれになり、多くは何かのエサになり短い命を終えたでしょう。庭の手入れに行ったときに私に付いてきたのでしょうか。それとも彼の意志で?
さて、この蜘蛛ですが、おそらく以前調べたカニグモの仲間だろうと目星を付け探すと、ありました。やはりカニグモ科のワカバグモでした。成虫の体長は8~12ミリだそうですが、この写真の蜘蛛は、4ミリなのでまだ子供なのでしょう。脚を入れても10ミリしかありません。徘徊性の蜘蛛で、葉の裏で前足を広げて獲物を待つようです。獲物はダニやアブラムシなど。自分より大きなアブを襲うこともあるようです。体が透き通った緑色なのは、葉の上での保護色になるからでしょう。太陽に透けた葉を擬態しているとか。葉の裏で獲物を待ちかまえて飛びかかるわけです。8個もある単眼は、同時に色々な方向を見ることができます。小さな体に高機能満載です。
キャーッ!蜘蛛だとつぶしてしまうのは簡単。しかし、小さな命ですが、彼らも宇宙船地球号の重要な乗組員です。わが家には昔、キンチャンというハエトリグモが代々住んでいて家族で可愛がっていました。地球上の生物に無駄な命はひとつもないのです。
などと書きながら、秋が遅かったせいか、いつまでもいるヤブ蚊をペシッ!とつぶす今日この頃、寂秋の到来です…。
昨今教育の崩壊や社会正義やモラルの崩壊ばかりがいわれていますが、敗戦後の神無き個人主義の蔓延が破綻をきたしているのでしょうか。蜘蛛の登場は、ちょうど「教育の崩壊 教育改革と自己責任の危うさ」というサイトを読んでいたところでした。特に『自分が一番』の病理と日本の個人主義の病理などは一読をお薦めします。現在問題を起こしている年代が、まさに戦中派でもっともアメリカナイズされた渇望の世代というのも特徴的です。無神論者が多いのもこの世代。といっても科学者のような唯物論者でもなく、ただ国より家より個人が一番、個性が一番、自分が一番の世代。その影響を受けた子や孫が問題を起こしているのは当然と筆者は綴ります。といっても筆者は戦前へ戻れとか国家が一番と言っているわけではありません。結局、宗教でも科学でも哲学でも、信じることは思考の停止を意味し、権力者の都合のいいように愚民化するだけなのです。
戦争は、戦死者を出し国家の財産を破壊するだけでなく、人の精神を破壊するのです。戦国時代の言葉に「七度の飢饉より一度の戦(いくさ)」という言葉があります。結局のところ戦争は、誰も幸せにしません。戦争で平和が得られるなら、人類はとっくの昔に平和になっているはずです。戦争が生み出すのは文化の破壊ばかりだけでなく、心を破壊してしまうのです。
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流行りの「みんなちがって、みんないい」という金子みすずの言葉も、本来は寛容の精神と相互理解を表現したものなのに、自分が一番、人と違って何が悪い、同じはいやだと拒絶と孤立の表現にすり替わっていることが多いように思います。個性の過大評価もそんな現れでしょうか。そんなに違おうと思わなくてもいいんじゃないと茶々も入れたくなります。仏教でもキリスト教でも自我というのは本当の自分ではないと教えています。亭主に梅毒を移されて自殺した彼女は哀れですが、言葉だけが都合良く一人歩きしているような気がします。
ワカバグモを、そっとアクリルの物差しに乗せて陽射しを浴びた窓辺に置きました。蜘蛛は外気の流れを感じたのかサッシの溝を辿り、小さなすき間から外へ出ていったようです。
ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、特殊な技法で作るパノラマ写真など。