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モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

湿度100%の茶臼山。シオカラトンボ、ナツアカネ、ミヤマフキバッタ、ハンミョウ。ツノホコリとチチタケ、ヤマドリタケモドキ(妻女山里山通信)

2022-07-25 | アウトドア・ネイチャーフォト
 土曜日に妻女山に登ったのですが、風も強く何もいませんでした。翌日曜日に茶臼山へ。最高気温は34度の予報。午前中は26度でしたが湿度が100%ぐらい。2時間弱の山行でしたが、バテました。それでも少ないとはいえそれなりに収穫がありました。

 ノアザミ(野薊)。総苞が粘るのでこの後に咲き出すノハラアザミと区別ができます。この総苞によくザトウムシの脚や小さな昆虫が捕らえられているのを見ます。食虫植物ではないのになぜ粘るのでしょう。

 ジャノメチョウ(蛇目蝶)。ノアザミで吸蜜後に止まりました。この下にある茶臼山自然植物園にもたくさんいます。

 伐採された丸太にセンボンイチメガサ。毒ではありませんが猛毒のコレラタケに似ているので普通は採りません。美味しくもないと思います。

 足元の草むらに暴れるヒグラシ。羽化したばかりなのでしょう。簡単に手で捕まえられます。もちろん撮影後は逃してあげました。
「黙もあらむ時も 鳴かなむ ひぐらしの 物思ふ時に 鳴きつつもとな」詠人知らず
(のんびりと気持ちがくつろいでいる時にでも鳴いてほしいひぐらしが、考え事をしている時にやたらと鳴いてくれます。)要するに喧しいと言っているのでしょうか。

 登山道のあちこちに地面から発生していた謎の物体。なんでしょう。いわゆる菌糸束とも違う感じ。粘菌とも違います。これは左右が4センチぐらい。画像検索したらOligoporusという真菌とでたのですが。シロカイメンタケなら朽木から発生するので違います。

 粘菌のツノホコリ(角埃)。もっとも一般的なよく見られる粘菌です。あちこちに発生していました。

 拙書の茶臼山のページにも載せている北アルプス展望台。北アルプスは雲の中。右奥にこれも載せている虫倉山。眼下に里山の原風景。水田の稲も育っています。鶯が鳴いています。ヒグラシの合唱も。ここは長野市で市街地への通勤圏です。虫倉山までが松代藩の領地。左は小川村で松本藩の領地でした。虫倉山の向こうは鬼無里。

 尾根道を歩いて見つけたイグチ科のキノコ。ヤマドリタケモドキ(日本のポルチーニ)かなと思って匂いをかぐと非常に甘い。しかし、傘の裏が虫に食べられていけません。これでパスタにすると極上の料理ができます。夏はアカヤマドリとかアカジコウ、ハナビラタケも出るのですが見られませんでした。夏キノコは出ていないかと思ったら帰りにきれいなチチタケを発見しました。うどんにします。

 少し歩いて反対側の善光寺平が見える展望台へ。蒸し暑いです。クロメマトイがまとわりつきます。眼下にはお見合い風呂で有名な中尾山温泉があります。しかし、何もいない。そうだ、虫倉山が見える棚田に下りてみよう。まあ下りるのはいいのですが、急登を戻らなければならないので、少しためらいます。

 棚田の風景。獣害避けのために電線で囲まれています。遠くに虫倉山。

 棚田のあぜ道に咲くシロツメクサで吸蜜するツバメシジミのメス。

 獲物を捕まえたシオヤアブのメス。細い脚の様なものが見えますがなんでしょう。これはカメムシの触覚ですね。獲物はカメムシの一種で間違いないでしょう。

 翅が退化したミヤマフキバッタの仲間。茶臼山には検索でも出てこない非常に珍しい焦げ茶色のものがいます。もしかしたら新種でしょうか。大発見かも。しかし変だなとツイートしたらヒメギスの類ですとリプライがありました。調べると、成虫になっても翅が小さいコバネヒメギスと判明しました。

 シオカラトンボのオス。たくさん舞っていました。トンボの翅は、細いパイプ状の翅脈(しみゃく)と、透明な薄い膜でできていますが、全体重の2パーセントほどしかありません。その昔トンボは不退転の勝ち虫と呼ばれ、武士の兜の前立によく使われました。他にも昆虫を使った兜は多く、蝶、百足(ムカデ)、スズメバチなどもあります。

 トンボの翅は4枚が複雑な動きをしてホバリングや少しなら横移動、後退もできます。筋肉が4枚の翅の基部につながっていて、それぞれを別々に動かせるからです。これを直接飛翔筋型昆虫といいます。蜂のように、筋肉が翅ではなく外骨格につながっていて、筋肉を交互に収縮させて、外骨格全体を変形させて飛ぶのを間接飛翔筋型昆虫といいます。外骨格の反動を使うので1秒間に1000回以上の羽ばたきができるのです。

 胸の横の黒い模様と7月ということからナツアカネではないかと思います。

 アオイトトンボかと思いましたが、色が違います。モノサシトンボかもしれません。細くてよく見ないと存在すら気が付かないほどです。カメラの操作で目を離したら見失いました。必死に探してやっと止まっているのを見つけました。繊細で美しいトンボです。

 ミヤマフキバッタ。妻女山山系でもよく見られる種類です。メスは真夏に、胴を砂地に差し込んで産卵します。茶臼山には他に、後ろ脚に赤いラインがあるミカドフキバッタがいます。

 帰ろうと戻ると目の前を逃げる昆虫がいました。なんとハンミョウです。すぐに逃げるので撮影が本当に難しい昆虫です。特に前から撮影するのは不可能に近いほど。気配を殺してなんとか撮影できました。タマムシ、ルリボシカミキリと共に、日本で最も美しい甲虫の一種です。

 栃木県民絶賛の郷土料理。チチタケ(チタケ)とナスのうどん。チチタケとナスは油でしっかり炒めます。こっくりとしたいい出汁が出ます。鰹と昆布を加えて味醂と友人の手作り醤油で。塩麹に漬けた鶏肉も。うどんは前回と同じく伊賀筑後オレゴン(いがちく)とゆめちから、ゆめせいきの手打ちうどん。食後にブログの画像加工をしていたら、長男がまったく同じチチタケ手打ちうどんを食べて写真と共にツイートしたので笑いました。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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戻り梅雨の晴れ間に妻女山陣場平へ。ヒグラシ、オオムラサキ、粘菌、アラゲキクラゲ。夏の郷土料理(妻女山里山通信)

2022-07-18 | アウトドア・ネイチャーフォト
 三連休は戻り梅雨で信州もスカッとは晴れませんでした。それでも日曜日は県外からも妻女山に歴史マニアが訪れてくれました。最終日、曇り空ですが一部青空も見える天気。妻女山の陣場平まで歩いて登りました。前日にもの凄い雷雨があったから車で登れるか分からなかったからです。山仕事もしないので道具もないし。ただ、気温は25度ぐらいでしたが湿度が100%。けっこう過酷な山歩きでした。

 葉の上におそらく羽化したばかりのヒグラシ。ジッとしています。羽化したてのセミの羽は、白っぽい薄青緑色です。人間や動物の血は、鉄分を含む赤血球中のヘモグロビンで赤く見えますが、それ以外の生物では薄青色の血(体液)の方が多いのです。これは銅成分を含むヘモシアニンのためです。

「ひぐらしは 時と鳴けども 恋ふらくに たわやめ我(あれ)は 定まらず泣く」〔詠人不知 万葉集 第10 1982〕
(ひぐらしは時を決めて鳴くけれども、恋のせいでか、弱い私は時を定めず泣いてばかりいます。)

 セミの中でもヒグラシは、漢字で書くと「蜩」「茅蜩」「秋蜩」「晩蝉」「日晩」「日暮」と色々あるように、その物悲しい鳴き声からか万葉の昔から日本人好みの昆虫でした。

 朽ちた倒木に苔。胞子嚢も育っています。苔は北八ヶ岳が有名ですが、500種類もあるそうです。

 キンポウゲ科というのは分かります。ただ、キンポウゲ、タガラシ、キツネノボタン、ウマノアシガタなど似たものが多く同定が困難です。ケキツネノボタンかとも思うのですが、確信が持てません。毒草です。

 林下の薄暗い丸太に粘菌。丸いのでタマツノホコリでしょうか。まだ子実体が形成されていないゼリー状のものも見られます。小さな甲虫が食べに来ています。

 これも粘菌のクダホコリ。もっと大きくなりそうですが、明日豪雨になったら溶けてしまうでしょう。マクロレンズに替えたかったのですが、なにせもの凄い湿度。ボディ内部に湿気が入ることを恐れて交換しませんでした。画像解像度があまり良くないのはそのためです。

 樹液バーに行きました。オオムラサキのオスが一頭吸汁しているだけです。カブトムシもアオカナブンもオオスズメバチもいません。

 度重なる雷雨で、アラゲキクラゲが大きくなりました。次の機会に採りましょう。キクラゲとトマトの中華風卵炒めは夏の定番です。

 川中島の戦いで上杉謙信が本陣とした陣場平。私が仲間と貝母(編笠百合)の保護活動をしているところです。満開の様子は、4月のアーカイブをご覧ください。日本の里山で見られるのはここだけです。今年はヒカゲイノコヅチを何回か刈っているので、草丈が例年の三分の一ぐらいです。川中島の戦いの記事の検索は、右上の検索窓に「川中島の戦い」と入れて、プルダウンでこのブログ内でを選び、検索ボタンをクリックしてください。

 貝母の現在の状況。すでに溶けて消えたものもあります。カラスアゲハが一頭舞っていました。他にはなにもいないので下ります。

 エンジュ(槐)に絡みつくナツヅタ(夏蔦)。湿度が高く暑くても汗が吹き出ることがなく、逆に熱がこもるので熱中症になりやすいのです。クロメマトイが纏わりつくのでタオルを半分に折って振り回しながら歩きます。

 林道に飛び出てきたのはカマドウマ。素早いのでなかなか撮影させてくれません。昔は民家の台所に出たので竈馬の名前が。厠にいたので便所コウロギというかわいそうな名称も。

 梅雨明けでしなびたヤマアジサイも復活しました。

 ネムノキも復活。アリが吸蜜に訪れていました。

 残土捨場にあるオオブタクサ。高さが3m以上、茎は根本で5センチもあります。陣場平のは毎回抜いています。今年も通算で500本以上は抜いていると思います。絶滅は困難ですが、かなり減りました。

 松代方面の眺め。かろうじて四阿山は見えます。暑くても三連休なので観光客や歴史マニアが訪れます。しかし、さすがにバテました。温泉へ向かいます。

 北の飯縄山、長野市街地方面の眺め。連日の雷雨で千曲川は泥の色に増水しています。戻り梅雨はいつ明けるのでしょう。24日(日)ぐらいでしょうか。撮影に出られないのでストレスがたまります。しかも明けたら猛暑とか。人間だけでなく里山の生物にとっても厳しい夏になりそうです。

 この夏初めての信州丸茄子のおやき。青紫蘇の葉で挟むのは、祖母が考えた我が家オリジナル。今回の粉は、伊賀筑後オレゴン、ゆめちから、ゆめせいきを同量づつ。手作り信州味噌にごま油、唐辛子を醤油麹に漬けたものを混ぜてピリ辛に。市販品とはひと味もふた味も違う旨さです。

 これも郷土料理。塩漬けの皮付き鯨の脂で出汁をとった汁で手打ちうどんを。具には丸茄子、モロッコインゲンを炒めて、昨秋採って冷凍しておいたクリタケを加えて煮ます。父が昔作った七味唐辛子で。うどんは、おやきの皮と同じです。こねて半日寝かせて何度も折り返して踏んで仕上げます。茹であげたら冷水でしめます。塩皮鯨はこの時期、スーパーで普通に並んでいます。丸茄子、南瓜、青唐辛子の煮物も夏の定番料理。冷やしていただきます。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。地形図掲載は本書だけ。山の歴史や立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。10本のエッセイが好評。掲載の写真やこのブログの写真は、有料でお使いいただけます。

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気温34度の茶臼山自然植物園へ。ベニシジミ、ジャノメチョウ、オオムラサキ、コクワガタ、フランスギク、エゾカワラナデシコ(妻女山里山通信)

2022-07-10 | アウトドア・ネイチャーフォト
 最高気温が34度の予報の中、妻女山陣場平へ行きましたが、前回いたゼフィルスがまったく見られません。これでは撮影にならないと茶臼山へ。まず昨年撮影したハンミョウの生息地へ。なにもいません。茶臼山動物園南口の脇の道路を進んで茶臼山自然植物園の駐車場の最上部へ。梅雨が早く明けて、台風4号も当地ではほとんど降雨がなかったのでカラカラです。

 ベニシジミ(紅小灰蝶)。地面スレスレをせわしなく飛んでいます。三頭ほどがクルクルと回ったり、吸蜜したり。幼虫の食草は、スイバ、ギシギシなど。止まっているのはフランスギクの葉です。

 英国風のガーデン。雨が少ないせいか昨年より昆虫が少ないのが残念です。

 フランスギク(仏蘭西菊)で吸蜜するベニシジミ。

 フランスギクは蜜が多いのでしょうか、同じところで長い時間吸蜜していました。なくなると隣へ。

 アカツメクサで吸蜜中のルリシジミ(瑠璃小灰蝶)。幼虫は、マメ科、ミズキ科、バラ科など、様々な植物の花やつぼみを食べます。庭にもよく舞ってきます。

 アジサイ(紫陽花)も昨年より花の数が少なめ。例年ならここでたくさん見られるクマバチも少ない。遠くに松代東条の奇妙山が霞んでいます。

 おそらくタヌキの糞で吸汁するオオムラサキ(大紫)のオス。タテハチョウ科の蝶は、樹液や山桑の実の果汁以外に、猪やタヌキの糞も吸います。汗をかいていると塩分を求めて手や指にとまることもあります。

 もう一頭がやってきました。場所取りのバトルが始まります。

 しばらく揉めましたが、結局それぞれの場所で吸汁。

 お腹がいっぱいになったのか、近くの樹木で休憩中。

 近づいても逃げないので最接近。口吻は使わないときは丸めています。昆虫なのに脚が4本に見えるのは、前の二本がほぼ退化して胸に折りたたまれているからです。黒く瞳に見えるのは偽瞳孔。

 ジャノメチョウ(蛇目蝶)も糞に吸汁に来ました。昨年はこの近くのシモツケの垣根に大発生していたのですが、今年はほとんどいません。糞で吸汁するのは初めて撮影しました。幼虫の食草は、ススキ、コメススキ、ショウジョウスゲなど。

 コクワガタのオス。東京の公園や森でもよく見られました。カブトムシやミヤマクワガタなどと比べると小さいので、少年たちの垂涎の的ではありませんが、可愛い。口に見えるオレンジのブラシで樹液をなめます。

 アカツメクサで吸蜜するジャノメチョウ。人の気配に敏感で近づくとすぐ逃げるのですが、それどころではないほど空腹かのどが渇いているのでしょう。

 相当お腹が空いているのか、長い時間吸蜜していました。暑さで頭がクラクラしてきました。自然植物園の中ほどにある展望台で休憩。他にはコミスジ、イチモンジチョウ、ミドリヒョウモンが舞っていました。

 展望台の下から東の眺め。松代方面です。奇妙山の後ろには雲に隠れた根子岳と四阿山。

 バナナではないですよ。ニッコウキスゲに似たユリの残花にキスゲフクレアブラムシ。別名はゴンズイフクレアブラムシ。橙黄色でロウ質の白い粉で覆われています。

 北米原産のルドベキアの一種。草丈が150センチぐらいあります。別名は松笠菊。

 クガイソウに似ていますが、ヒメルリトラノオ。ヨーロッパ~北アジア原産のベロニカ・スピカータの小型品種。

 エゾカワラナデシコ(蝦夷河原撫子)。北海道、本州(中部地方以北)の山地の日当たりの良いところに自生している多年草です。苞が2対で、花弁の先が細かく別れています。低山ではカワラナデシコ、高原に行くとタカネナデシコが見られます。

 オドリコソウの仲間だとは推測できるのですが外来種ですね。草丈がかなりあります。私の背丈よりあります。画像検索すると、Lamium orvalaやHedge woundwortと出ます。いずれもシソ科でオドリコソウの仲間ですが。こんなに草丈の高い種はありません。なんでしょう。欧州原産のフロミス・サミアでした。シソ科です。モーブピンクの花が美しい。草丈は、120〜150センチになります。

 昆虫が少ないので、動物園北口下に行ってみました。恐竜公園があります。小学生が昆虫採取していました。何か捕れたと聞くとオオムラサキのオスが二頭。餌なにをやればいいか分かる?と聞いたら樹液といいうので、シロップや果汁でもいいよと言いました。そして撮影した写真を見せてあげました。昆虫採取を通じて命と触れ合うということは重要です。
 この恐竜はお腹の横に穴があって、小さな子なら入って口から頭を出して「ギャー!恐竜に食べられたぁ」という動画や写真を撮ることができます。きっとバズります。

 目ぼしい昆虫がいないので帰ることに。公園から望む妻女山山系。なだらかな丘陵地帯で山村がある西山と、険しい妻女山山系は地形も土質も異なります。そこが面白い。

 妻女山展望台からの茶臼山。自然植物園や動物園、恐竜公園の傾斜地は、上の崩壊した茶臼山南峰から続く地滑り地帯です。茶臼山の地層は、浅いところに亜炭や泥炭の層があり地中深くまで水を通さないため、大雨が降ると表層部が地滑りを起こしやすいのです。そのため山中に水を抜くための施設がたくさんあります。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。地形図掲載は本書だけ。山の歴史や立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。10本のエッセイが好評。掲載の写真やこのブログの写真は、有料でお使いいただけます。

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森の線香花火ネムノキの花。森の宝石オオミドリシジミ。希少ウラキンシジミ、オオスズメバチ。崩壊寸前の妻女山松代招魂社(妻女山里山通信)

2022-07-02 | アウトドア・ネイチャーフォト
 今日も朝からピーカン。8時過ぎに撮影現場に到着。前回より暑くなりそうです。陣場平で朝は24度でしたが、10時には27度になりました。ルイボスティーを500ml、氷水を1リットル持って行きましたが、どんどんなくなります。体力的にはかなりきつい撮影です。合間には有害帰化植物の除去や落枝の処理、林道の修理もします。撮影機材以外に山仕事の道具も必要なので車で登るのです。本当はジムニーぐらいがいいのですが、3ナンバーのSUV。現場で出会った人にはよく登れますねと言われます。百回以上登っているのでタイヤの置所とかアクセルの微妙な調整も知っているのでなんとか登れます。仲間と登る時は、注意点を言います。他の方には、車を傷つけるか最悪壊れますよと言いますね。おすすめしません。

 ネムノキ(合歓木、合歓の木)が咲き始めました。例年より少し早めです。夜になると小葉が閉じて垂れ下がる就眠運動を行うことで眠る木。
「昼は咲き 夜は恋ひ寝(ぬ)る 合歓木(ねぶ)の花 君のみ見めや 戯奴(わけ)さへに見よ」 紀女郎(きのいらつめ) 『万葉集』巻八1461
(昼に咲いて、夜には恋しい想いを抱いて寝るという合歓の花を私だけに見させないで。ほら、君もここに来て見なさいな):紀女郎が大伴家持に贈った歌なんですが、紀女郎は年上の人妻で、戯奴というのは目下の人を呼びかける言葉だそうです。人妻が若者をからかったのか、誘ったのか。背景を知ると、なんとも意味深な歌です。
 二人の関係については、非常に面白い考察があるので、興味のある方は一読をおすすめします。
紀女郎と大伴家持

 ネムノキは高さ10m以上になります。花は葉の上に咲くので、下からはよく見えないことがほとんどです。ここは林道下の斜面に根本があるので間近で見られるのです。化粧の刷毛の様でもあり、線香花火の様でもあり。繊細な花です。なんとも形容し難いかすかに甘い香りがします。赤松と同様に排気ガスには弱いようで、我が家の山の大木は高速道路ができたら数年で枯れました。
 ネムノキの花はマゼンダピンクとホワイトですが、普通に撮るとバックが黒か緑になってしまいます。それだと映えないのです。上のカットの様に青空が入ると凄く映えるのです。そのためにアングルを微妙に変えたりして何十カットも撮影しています。これを炎天下でやるのは頭がクラクラしてきますが、妥協できない非常に大事なことなのです。色の織りなす魔法。

 オオミドリシジミは、前回より少し増えていました。それでも例年より少ないと思います。大きな複眼が可愛らしい。頭上ではサンコウチョウが盛んに鳴いています。

 前の記事で、翅の青色は色素色ではなく構造色と記しましたが、実はこの構造色というのは原理が非常に難しいのです。世界中でたくさんの論文が書かれています。
モルフォチョウ構造色の基本原理:規則性と不規則性の共存」東京理科大学 理工学部 物理学科 吉岡研究室:いや難しいです。染色とか印刷をやっていたので色素色には非常に詳しいのですが。

 歴戦を戦い抜いてきた猛者。後翅がもうボロボロですね。オオムラサキの様に地上に下りることはないので、ニホンカナヘビに襲われたということではないと思いますが。

 素晴らしい生命力。

 左がオオミドリシジミ。右がハヤシミドリシジミ。後翅の橙色の部分の違いが分かると思います。と書いたのですが、もしやと思い蝶の専門家に聞いてみました。撮影時間が11時なのと翅の色や文様から、アイノミドリシジミである蓋然性が高いということです。おそらくそうでしょう。なんとかミドリシジミとつく種は、同定が非常に難しいのです。細かく違いを説明しているサイトもありますが、細かすぎて逆に分からないほどです。

 陣馬平。目ぼしい昆虫はいません。暑すぎるのか蜘蛛の巣も少ない。ヤブ蚊もいません。煩いクロメマトイも少ない。ニイニイゼミが鳴き始めましたがわずかです。セミもあまりの暑さに地上に出てきていいのか迷っているのでしょうか。前回ムモンホソアシナガバチに刺された場所が赤くなりました。治る印ですが痛痒い。かさぶたになって見たら、なんと5箇所刺されていました。オーマイガー。

 山椒の葉に、シオヤアブ(塩屋虻)のオス。蝶や甲虫の天敵です。自分より大きな虫を捕らえることもあります。体液を吸うのです。人が襲われることは殆どありませんが、アブよけには、登山家に絶対の信頼を集めているキンカンの虫除けスプレーをおすすめします。

 樹液バーに訪れたオオスズメバチ。樹液がたっぷり出ているのと競争相手が少ないので、他の昆虫を蹴散らすようなことはありません。この後、突然飛び去って私は即座に逃げました。なにせ100m追いかけられたことがありますから。キイロスズメバチやチャイロスズメバチの方が遥かに凶暴で危険です。ネオニコの空中散布で昆虫が死滅した夏に樹液バーに来たら、チャイロスズメバチの大群に襲われたことがあります。車中にいたので無事でしたが、ウィンドウに大群が猛烈に体当たり。車外に出ていたら命はなかったでしょう。

 コムラサキ(小紫)。シソ目クマツヅラ科ムラサキシキブ属の落葉低木です。妻女山山系にはムラサキシキブ(紫式部)もありますが、コムラサキの方が多く見られます。コムラサキの方が紫の実をたくさんつけるので庭木にはおすすめです。コムラサキの実は鳥たちが好んで食べますが、人が食べても美味しくはありません。

 ウラナミアカシジミ(裏波赤小灰蝶)。幼虫の食樹は、クヌギ、コナラ、アベマキなど。成虫も、食樹のまわりをあまり離れない様です。他のシジミチョウでも何度も目撃しましたが、この個体もニジニジとゆっくりと360度回転するのです。調べましたが分かりませんでした。どういう理由なんでしょうね。近くに天敵がいないか確認するのでしょうか。

 ウラキンシジミ(裏金小灰蝶)。食樹はマルバアオダモ。いやあ初めて撮影しました。生息することも知りませんでした。感激です。地面のわずかな水分を吸っているのでしょうか。翅の表は暗褐色で非常に目立たないシジミチョウです。県によっては絶滅危惧種に指定されているところもあります。

 イチモンジチョウ(一文字蝶)。幼虫の食草は、スイカズラ、キンギンボクなど、スイカズラ科の植物。そういえば今年はまだスイカズラが咲いていません。ウツギもエゴノキもネジキも咲いていません。なんということでしょう~。いずれも6月上旬に咲く花です。

 戊辰戦争以降の戦没者を祀る妻女山松代招魂社。老朽化で瓦が落ちそうで危険なので囲われています。奉賛会とか地元で管理していますが、維持費を捻出するのは大変だと思います。神社なので税金をつぎ込むことはできません。非常に重要な歴史的神社なのでクラウドファウンディングで資金を募るとか考えないといけないでしょう。木鼻の唐獅子は韓国人の窃盗団によって持ち去られ戻っていません。松代は大本営がありました。小中の同級生には、帰国しなかった在日の家族もたくさんいました。家に招かれて遊びにも行きました。差別はなかったですね。当時は親も言わなかったので在日とも知りませんでした。日本人も徴用されていましたから互いに苦汁をなめて支え合ったのでしょう。窃盗はそんな歴史を知らない馬鹿共の仕業でしょう。

 妻女山展望台の四阿から見る茶臼山と右後に虫倉山。いずれも拙書で載せています。すっかり夏色の風景。本を出版する前は、取材撮影で昼を挟んで5時間ぐらい樹液バーにいたのですが、さすがにもう無理です。撮影は午前中の3時間がやっと。熱中症で死んじゃいますよ。温泉へ行ってビール飲んで昼食後シエスタ。昔、数ヶ月居候していたアマゾンの人達の様な生活をしています。
 アウトドアや山登りなどでの熱中症。しかし、水分補給や塩分補給だけでは駄目なんです。スポーツドリンクやジェルでも駄目。ミネラル補給も必要。最も効果的なのは、生味噌。味噌きゅうりを持参すべき。痙攣がピタリとおさまる。経験で何度も生味噌で救われています。酷い時は大さじ一杯ぐらいの生味噌を口に含んで水をごくごく飲んで流し込むと、マジックの様に熱性痙攣が収まります。これを広めて欲しい。
アマゾンひとり旅:200日の南米アマゾン、アンデス一人旅の記録。新婚旅行もアマゾンでした。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。地形図掲載は本書だけ。山の歴史や立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。10本のエッセイが好評。掲載の写真やこのブログの写真は、有料でお使いいただけます。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
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森の宝石オオミドリシジミ。アサギマダラとオオムラサキを初見。クマノミズキの花、ヤマアジサイ、ヤマハギ、オカトラノオ(妻女山里山通信)

2022-06-30 | アウトドア・ネイチャーフォト
 朝からピーカンなので、8時には撮影現場に到着。予想通り、既にオオミドリシジミのオスは舞っていました。ただ数は少ない。原因は分かりませんが、ここ数年で最も少ない発生数です。下りてきてくれるでしょうか。とにかく観察と忍耐が必要です。テリトリーの専有行動でオス同士は体当りしたり、クルクルと円を描いて回ったり。しばらくすると散って休憩します。そんなチャンスを狙います。

 オオミドリシジミは、陽のあたっている葉に必ず止まります。なので、何箇所か確認しておきます。しかし、太陽は動くので日当たりのいい葉も変わります。ちょうど止まってくれたので、逃げられないように後から接近。マクロレンズなのでフードの先端から蝶までは20センチもありません。気配を殺して撮影。

 オオミドリシジミの翅の輝きは、鱗粉の色ではなくオオムラサキと同様に構造色です。なので専有行動のバトルで痛むとこんな感じになります。初見が10日前ですから、傷むのも当然なのです。ちなみにメスの翅の色は、オスの後翅の様な茶褐色です。
梅雨の森の宝石オオミドリシジミを探して妻女山山系へ。雨上がりの粘菌二種を発見。虫こぶも(妻女山里山通信):作年のオオミドリシジミの記事です。梅雨明けが例年並みだったので発生も例年並みでした。この時は十数頭が激しい専有行動をしていました。

 なかなか下に下りてこなくなったので、望遠レンズに替えて撮影。ここまでの三枚は同じ個体です。

 別の個体。何を見ているのでしょう。専有行動は、10時前に終わりました。

 休憩に堂平大塚古墳へ。鹿島槍ヶ岳。例年より雪解けが早いですね。

 貝母の群生地がある陣場平へ。最高気温は36度の予報ですが、24度。セミは鳴いていません。サンコウチョウの鳴き声が聞こえます。目ぼしい昆虫は見られません。ヒカゲイノコズチを刈ったので、例年よりスッキリしています。

 中央にあるクマノミズキの花。例年なら昆虫がたくさん吸蜜に訪れているのですが。猛暑のせいでしょうか。

 貝母(ばいも・編笠百合)は全て枯れました。実もほとんど枯れて弾けていますが、こんな風にまだ緑のものもあります。

 貝母群生地から林道方向。山椒の実も終わりなので、来る人はいません。暑さに慣れてくるとハイカーが来る様になります。例年なら見られるヒメウラナミジャノメやミドリヒョウモンもいません。

 下ってご天上の、先日クヌギに傷をつけたところに樹液が出ていました。白い結晶がそれです。シロテンハナムグリやハエやアブの仲間など。オレンジ色の甲虫は、イタドリハムシ(虎杖葉虫)でしょうか。なにかの幼虫もいますね。これらの同定は、非常に困難です。

 ヒヨドリバナ(鵯花、山蘭)のつぼみ。キク科フジバカマ属の多年草です。咲くとアサギマダラが吸蜜に訪れます。

 ヤマアジサイ(山紫陽花)。別名は、サワアジサイ。周辺は装飾花で、中心部は両性花。ガクアジサイに比べると、花の色が色々あります。万葉集の二首。
「言問はぬ木すら味狭藍(紫陽花) 諸弟(もろと)らが練の村戸(むらと)にあざむかえけり」(大伴家持 巻4 773)
  (恋を語らない木ですら、紫陽花のように移ろいやすい。巧みな言葉に私は騙されてしまいました。)
「味狭藍(紫陽花)の 八重咲く如 やつ代にを いませわが背子 見つつ思はむ(しのはむ)」(橘諸兄 巻20 4448)
  (紫陽花が八重に咲くように、ますます長い年月を生きてください。紫陽花を見ながらあなたをお慕いします。)

 アサギマダラ。しかし、吸蜜する花がなく止まってくれません。次の機会を待ちましょう。

 ウワミズザクラ(上溝桜)の実。つぼみや熟す前の実を塩漬けや酢漬けにして利用します。夏に熟して赤から黒くなる実は、美味しい果実酒になります。新潟や秋田などでは、熟す前の青い実を塩漬けにするそうで、アンニンゴ(杏仁子)というそうです。今回、塩漬け用に少し採りました。

 ヤマハギ(山萩)が咲き出しました。ゼフィルスが好きな花です。妻女山にはマルバハギもあります。万葉集で最も多く詠まれている植物は萩で141種です。鹿が男性の象徴とすると、萩は女性の象徴とされた様です。萩は芽子(めこ)という言葉で出てきますが、妻子のことでも女性器のことでもあるようです。
「さを鹿の朝たつ野べの秋萩に玉とみるまでおける白露」(大伴宿禰家持)
 ひょっとしてルリボシカミキリが出ているかなと椎茸のホダ木へ行ったら、右胸と右の二の腕にバチバチっと痛みが。ムモンホソアシナガバチの巣が近くにある様です。車に戻ってポイズンリムーバーで毒を抜きました。腫れませんでしたが、痛みは薬を塗ってもなかなか取れません。

 オカトラノオ(丘虎乃尾)サクラソウ科オカトラノオ属。花は穂の下の方から咲いていきます。低山や野原ならどこにでも見られるような花ですが、清楚で心引かれる花です。オカトラノオは、みな同じ方向を向いて咲きます。大きな群生地では、花穂(かすい)の波うつ様子がまるで波の文様の青海波(せいがいは)のように見えるほどです。そしてこの後で、オオムラサキのオスを初見しました。

(左)夏のグルメ。新じゃがと牡蠣の燻製とベーコンのスパニッシュ・オムレツ。バックのセミ柄の布は、プロバンス地方の伝統柄です。(右)奥は信州人のソウルフード、塩イカとスギヨのビタミンちくわ、新玉ねぎ、ピーマン、ニンジンのかき揚げ。左下は塩イカの天ぷら。本来は国産の塩丸イカなんですが、不漁でもの凄く高いので、チリ産です。右下は、大分県の郷土料理、とり天。実は、とり天と唐揚げ、竜田揚げの違いが調べてもよく分かりません。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。地形図掲載は本書だけ。山の歴史や立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。10本のエッセイが好評。掲載の写真やこのブログの写真は、有料でお使いいただけます。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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ゼフィルスの季節。ウラゴマダラシジミ・残念オオミドリシジミ・ミズイロオナガシジミ・ウラナミアカシジミ・カシワアカシジミ・ユキノシタの花(妻女山里山通信)

2022-06-25 | アウトドア・ネイチャーフォト
 最高気温がなんと36度。妻女山山中でも32度。風があったのでしのげましたが、汗が吹き出しました。ゼフィルスは元気です。しかし、今日はオオミドリシジミにはふられました。自然相手ですから、そんなものです。7月に入るとオオムラサキとか出てくるはずです。

 ウラゴマダラシジミ。しかし、出現数は少ない。非常に気がかりです。ここ数年、樹液バーに来る昆虫も減り続けています。松枯れ病の猛毒ネオニコチノイド系農薬の空中散布が中止されて数年経つのですが、どういうことでしょう。定点観測をしていると、些細な年変化も感じられます。

 今回の大本命は、オオミドリシジミ。出現場所も分かっていて舞ってはいます。オス同士が専有行動をしながらクルクルと舞います。しかし、数は少ない。下りてきません。翅の表の青緑のキラキラした画像が撮影できません。それが自然ですが、出現数が少ないのが気がかりです。なんとかリベンジしたい。
森の宝石オオミドリシジミの復活。あんずの収穫の季節。オオムラサキ初見(妻女山里山通信):2018年6月23日の、美しい森の宝石・オオミドリシジミを撮影した時の記事です。

 コミスジ。人の気配に敏感でなかなか撮影させてくれないのですが、葉の陰から忍び寄って撮影。私は望遠マクロではなくマクロなので、接近しないと撮影できません。気配を殺します。

 コミスジの日向ぼっこ。湿気が強いと蝶は下に下りてきません。下りてきても日当たりの良い葉に止まります。それがシャッターチャンス。

 松代方面の景色。ゼフィルスを求めて林道を彷徨います。脱水症状にならない様に水分を補給しますが、それだけでは駄目です。生味噌をなめます。長野のスーパーといえばツルヤ。在京時代も帰省時に軽井沢店によく立ち寄りました。ツルヤオリジナルのりんごバタージャムとか紅玉100%のりんごジュース、ドライフルーツとかおすすめです。ロイヤルホテル長野は、インターの近くなので長野観光の拠点に最適です。

 別の場所でウラゴマダラシジミを発見。出現数は多くないです。

 翅を少し拡げてくれました。

 幼虫の食草はイボタノキです。成虫もイボタノキの周辺でよく見られます。

 ミズイロオナガシジミが林道にいました。今年は発生数が非常に少ない。なぜでしょう。

 ウラナミアカシジミ。栗の花で吸蜜するので、栗の花の匂いがするところに行くと出会えます。

 赤い色が薄いカシワアカシジミ(キタアカシジミ)。 ゼフィルスの同定は微妙な地域差があり、非常に難しいのです。

 ユキノシタの花。小さいけれど舞う天女の様で、美しい。花は植物の女性器とも言えますが、その美しさは文学的で古代から称賛と畏敬の対象となっています。

 松代方面の眺め。暑いです。頭が痛くなってきました。温泉へ。気象庁が、ラニーニャ現象の長期化とヒートアイランド現象で、東京では7月末に42度になると警告しました。これは地球温暖化ではないのです。ミランコビッチ・サイクルではむしろ長期的には寒冷化に向かっていて、その間にドラスティックな気象変動が起こり猛暑になったり厳冬になったりするというのです。縄文時代中期に文明が隆盛したのも温暖化。三内丸山遺跡が滅亡したのは寒冷化。そして西暦535年の大噴火では、世界中で文明が滅びたり退化しています。CO2で地球温暖化というのは、嘘。「CO2 地球温暖化 嘘」で検索すると分かります。そうすることで莫大に利益を得られる輩が生み出した嘘なのです。石油が枯渇も嘘。石油は化石燃料ではなくマントルから永久に出てくるもの。石油枯渇まであと40年て何回言われたか知っていますか? 注目の電気エネルギーもそれを作るのには、大量のCO2を出します。太陽光発電も生産廃棄の過程で猛毒のカドミウム、カドミウムテルル、鉛が出ます。その処理方法は始まったばかりですが確率されていません。災害で壊れた有害物質は回収不可能。支配者や巨大企業は息をするように嘘を付く。それにしがみつく政治家やマスコミも。木ばかり見て森を見ないと、真実は見えてきません。

(左)淡竹とサバの水煮缶詰の味噌汁玉ねぎ入り。ソウルフードです。(右)カレーフリークなら知らないはずはない上野デリーの極辛カシミールカレー。鶏手羽元はヨーグルトとクミン、八幡屋礒五郎のガラムマサラで漬け込んで。新じゃが、ニンジン、サヤエンドウと。馬鹿旨ですが激辛です。作年から激辛がだめになってきて、これも半分で撃沈。翌朝にヨーグルトを加えて完食しました。知り合いのタイの女性の店で食べたトムヤムクンも現地並みに辛く撃沈。辛さへの耐性が落ちたのでしょうか。ハラペーニョとか大好きなのですが。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。地形図掲載は本書だけ。山の歴史や立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。10本のエッセイが好評。掲載の写真やこのブログの写真は、有料でお使いいただけます。

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湿度90%の妻女山陣場平。粘菌のクダホコリ、ウスヒラタケが発生。ミズイロオナガシジミにミヤマフキバッタ。山椒の実で佃煮。能登群発地震と松代群発地震(妻女山里山通信)

2022-06-22 | アウトドア・ネイチャーフォト
 梅雨の晴れ間になるかと思ったら、朝からどんよりと湿度も高め。それでも10時過ぎに日が差してきたので妻女山の陣場平へ。前日の豪雨で林道は酷い泥濘状態。タイヤを何度も滑らせながらやっと登りました。まるでアマゾンで行うキャメルトロフィーの様でした。とにかく車が滑ります。コツはアクセルワークをこまめに変えてふかし過ぎない。ハンドルはあらぬ方向へ行きそうになったら逆ハンを素早く、カウンターステアをする。止まったら動けなくなる可能性があるので止まらないなど。若い頃に雪道で四輪ドリフトをやったりした経験が生きています。美大生のときに、ラリーをやってる同級生のナビをやったこともありました。

 長坂峠の丸太に粘菌のクダホコリを発見。遠目で見るとタラコです。

 可愛くて美しい。今夜は夕立はなさそうなので、明日の夜明けを待って胞子を飛ばし始めるのではないでしょうか。梅雨の雨上がりには粘菌が発生します。山の中の倒木や切り株だけでなく、庭や公園でも見られます。探しましょう。

 ヤマグワの枯れ木にウスヒラタケが出ていました。普通は初秋に出るキノコですが、条件が同じなら今頃でも出ます。食菌で美味しいキノコすが、今回はそのままにしました。上にはアラゲキクラゲも。夏には、トマトと採ってきて乾燥したアラゲキクラゲの中華風卵炒めを何度も作ります。馬鹿旨です。

 陣場平に行くと、気温は23度ぐらいなのですが、とにかく蒸し暑い。ホトトギスやサンコウチョウの鳴き声がします。二頭のゼフィルスが激しく舞っています。やっと撮れた一枚。ミズイロオナガシジミですね。あわてて撮影したのでぶれています。さすがのオリンパスの手ブレ補正でも無理でした。

 アカネ(茜)にミスジシリアゲのメス。尾部に赤いタカラダニがいます。節足動物門鋏角亜門クモ綱ダニ目ケダニ亜目タカラダニ科アナタカラダニ属に分類されるダニの一種で、どこにでもいます。セミとかカマキリなどに寄生し、宝物を抱えているように見えることからの命名。食性は雑食で、花の花粉や小型の昆虫を摂食するそうですが、生態はよく分かっていません。

 ヒシバッタかなと思って撮影したのですが、帰って拡大するとミヤマフキバッタでした。翅は退化しています。そのため地域差が激しいのです。これはまだ幼虫で全長が10ミリぐらいです。メスは砂の中に腹を差し込んで産卵します。

 セアカツノカメムシ(背赤角亀虫)。カメムシは臭いので嫌われ者ですね。でもパクチーの匂いと似ていて、これがパクチーを使ったタイ料理や中華料理を食べられるかの分岐点。私は好きですが。カメムシではなくパクチーを使った料理です。長男が1歳の頃、育てていたパクチーを座って葉っぱを全部食べてしまったのには、驚愕しました。

 テングタケの仲間のキノコと考えられます。ハイカグラテングタケ(灰神楽天狗茸)でしょうか。美味しいキノコらしいのですが、似ている猛毒のキノコもあるので食べる気にはなりません。夏には、他にウスヒラタケ、ヤマドリタケモドキ、βグルカンが豊富な幻のハナビラタケ、オムレツにすると美味しいアカヤマドリなどが出ます。

 オオミドリシジミを探したのですが、二頭いましたが湿度が高く樹冠にいて下りてきません。諦めて山椒の実を摘みました。前回、二組の女性たちが摘みに来ていました。まだ採り時です。

 妻女山里山デザイン・プロジェクトが最初に除伐作業をした場所。左に山椒の森があります。除伐以前は、ダンコウバイとカラコギカエデの鳥も昆虫もいない真っ暗な森でした。

 山を下ります。雷雨で林道は酷い泥濘状態。タイヤが横滑りするので轍(わだち)にタイヤを添わせてゆっくりと下ります。タイヤが滑った跡が生々しい。コントロールを誤ると崖下に転落です。

 ガマズミの実。秋には真っ赤になります。ルビー色の美しい酒ができます。抗酸化作用が強く老化防止にも効きます。もの凄く酸っぱいので、ハチミツを入れて炭酸で割ります。

 ウルシ(漆)。個人差がありますが、触れると酷くかぶれて水ぶくれになり2週間ぐらい治りません。触れたらすぐに洗って薬を塗ることです。最も危険なのはツタウルシです。

 これもウルシの仲間のヌルデ(白膠木)。ウルシほどではありませんが、かぶれる人もいます。別名は、フシノキ。生薬名は、塩麩子(えんふし)/塩麩葉(えんふよう)/五倍子(ごばいし)。小葉と小葉の間に翼(つばさ)があるのが特徴。 ヌルデにできる虫こぶ(ゴール)のことを五倍子といいます。これは、ヌルデの若芽にアブラムシ科のヌルデノミミフシが寄生し、枝の翼に卵を産み付け、それが耳状にふくれたものです。
 五倍子は、タンニンの含有量が多く、染め物では空五倍子色(うつふしいろ)とよばれる伝統色として用いられます。古くはお歯黒などにも使われました。
「足柄の 吾を可鶏山の かづの木の 吾をかつさねも かづさかずとも」(詠人知らず) 万葉集(巻14)東歌 *カヅノキ(可頭乃木)=ヌルデ

 能登が群発地震で大変なことになっていますが、原因が地下の大きな水たまりという説が。当地で起きた松代群発地震でも同じ説がいわれました。以前、皆神山の記事で紹介した文章を再掲します。
【松代群発地震】
 皆神山は、1965年(昭和40 年)8月3日から約5年半もの間続いた、世界的にも稀な長期間にわたる松代群発地震の震源地のほぼ中心でした。有感地震は6万2826回、あまりに長期に渡ったためノイローゼになる住民も出たほどです。幸い死者は出ませんでしたが、怪我人や家屋の倒壊はありました。近所の古民家の屋根瓦が全て落ちたり、土塀が倒れたりしました。震度5の時に太い梁が抜けて白い部分が見え、あと5センチずれたら家が壊れるという状況がありました。
 私も目撃しましたが、地震時の宏観現象として皆神山や妻女山などの発光現象があり、大きな話題になりました。このような目撃例は安政の大地震など古くから目撃例があり、岩盤の崩壊による放電が原因のようで特に珍しいことではないそうです。また、この群発地震で山は1m高くなったということです。
 皆神山付近には低重力域があり、地下には、縦800m、横1500m、高さ200mのマグマ溜りが起源と考えられる空洞があって、地下に巨大な貯水池があると推定されています。皆神山溶岩は150m程度の厚さがあることが確認されていて、その下に湖水堆積物が見つかっています。また、山頂には川の跡の河床礫が見られます。
 つまり溶岩がまだ地上に出る前は、ここは池や川があったということです。地蔵峠から流れ出る蛭川と藤沢川が、現在山のある一帯で合流していたのでしょう。山頂に泉があるのも豊富な地下水脈があるからと理解できます。皆神山を形成した溶岩は極めて粘性が強く噴火したり流れ出したりせずに、そのままプリン状に固まったと考えられています。
 ノイローゼ患者が出るほど長期に渡った松代群発地震は、最終的に大量の深層地下水湧出という事態になり、火山性群発地震という当初の想定が、水噴火群発地震であったとの考えに変わりました。しかし、最新の学説では地殻の継続的な変形による応力速度の上昇によって説明できることが分かったということです。


 山椒の実。葉も入っていますが一緒に佃煮にします。蒸し暑い梅雨時や猛暑の夏の食欲が落ちるときに最適です。素麺のつゆに入れたり、冷奴にのせたり、おにぎりに入れたりしていただきます。山椒の実を醤油に漬けた山椒醤油は、これからの鮎の塩焼きとかウグイの塩焼きに合います。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。地形図掲載は本書だけ。山の歴史や立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。10本のエッセイが好評。掲載の写真やこのブログの写真は、有料でお使いいただけます。

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この20年間で翅を持つ昆虫が60%近く減少した。草刈りの天敵ムモンホソアシナガバチ。クジャクチョウ・ルリシジミ・オオミドリシジミ(妻女山里山通信)

2022-06-19 | アウトドア・ネイチャーフォト
 信州に帰郷して10数年、妻女山の動物や昆虫を撮影し定点観測してきました。千曲市の松枯れ病のネオニコチノイド系劇薬の空中散布では、千曲市側の昆虫が絶滅しました。中止してから数年経っても完全には回復していません。それだけでなく、長野市側の昆虫も明らかに減少傾向にあります。そんな現在、非常に気になる研究結果が発表されました。
 イギリスの自然保護トラストBuglife の科学者たちが、英国全土の車のナンバープレートに「ぶつかった虫の数」を計算しました。その結果、この20年間で翅を持つ昆虫が60%近く減少したと発表しました。昆虫の急速な減少の原因は、生息地の破壊、農薬の使用、気候変動などが一因と考えられるということです。
 昆虫は、鳥、コウモリ、爬虫類、魚などの動物の餌となります。また、作物や野花の受粉や養分循環などの重要な役割も果たしています。甲虫、ハチ、トンボ類は、害虫駆除に役立つ捕食者として機能します。
 結果、生態系全体、そして食料生産システムが困窮し、鳥類が激減し人類の食糧危機を招くとしています。農薬、特にネオニコチノイド系農薬やグリホサート剤、放射能、人工電磁波(5G)は昆虫だけでなく人類をも滅ぼすかも知れません。
Insect decline could massively increase food bills, warn scientists

 妻女山の貝母(ばいも)の群生地のある陣場平。上杉謙信がここに本陣を構えた頃には、まだ貝母はなかったでしょう。どんな植物があったのか気になります。ヒカゲイノコズチは鉈鎌(なたがま)で刈っています。今年は例年よりも夏の花が咲くのが遅いのです。夏の昆虫の出現も遅い。おそらく梅雨寒が長く続いたためと思われます。

 貝母はほとんど倒れました。間にある大きな緑の葉がヒカゲイノコズチ。放っておくと50〜100センチにもなります。貝母の球根の成長を阻害するので刈ります。オオブタクサ、セイタカアワダチソウ、ハルジオンなどの有害帰化植物はすべて抜きます。それでも絶滅はしません。里山保全は本当に大変です。

 ムモンホソアシナガバチ。草の低いところに巣を作るため、除草作業で一番刺されることの多いハチです。私はひと夏に四回刺されたことがあります。ポイズンリムーバーで、すぐに毒を抜いたのでたいして腫れませんでしたが、痛いです。

 トンボエダシャク(蜻蛉枝尺蛾)シャクガ科エダシャク亜科。成虫は栗やハルジオンなどで吸蜜。幼虫の食餌植物は、ニシキギ科のツルウメモドキ。

 昼は堂平大塚古墳のログハウスを借りて。立ち枯れの落葉松に多孔菌科のツガサルノコシカケ(栂猿腰掛)。強固に付いているので、ノミと金づちがないと採取はできません。

 キヅタ(木蔦)ウコギ科キヅタ属の常緑つる性木本。フユヅタともいいます。常緑性で、秋に紅葉して枯れるのはナツヅタです。妻女山山系には両方あります。アイビーはセイヨウキヅタ。

 通路に小さな花が。撮影して拡大してみるとハクサンフウロの様な花。ゲンノショウコにしては花が小さすぎるし葉に切れ込みがある。ヒメフウロ(姫風露)の様です。

 昼を食べていたら、割と大きな蝶が二種類。ひとつはヒョウモンチョウの仲間。止まってくれないので撮影できず。もうひとつが、ログハウスのコンクリートに止まりました。タテハチョウ科のクジャクチョウ(孔雀蝶)でした。学名は、Inachis ioですが、亜種名はI. i. geishaです。

 ルリシジミ(瑠璃小灰蝶)。翅の表面は水色から明るい青紫色。瑠璃色ということでルリシジミ。春先から晩秋まで、山地から田畑、人家周辺でも見かけます。幼虫はバラ科、マメ科、ブナ科植物の蕾や花を食べます。

 川中島の戦いで、上杉軍の陣用水だったと伝わる蟹沢(がんざわ)の谷。左に水量豊富な湧き水があります。谷にはサワガニが生息します。子供の頃、獲ってきて祖母に唐揚げにしてもらって食べました。

(左)陣場平下のご天上の太いクヌギ。毎年のことですが、樹液を出すために今の時期ノコギリで傷をつけます。昔の様に薪を取ったりしないので、自然に出るだけの樹液だけでは多くの昆虫が餓死してしまうのです。傷は半年もすると塞がります。(右)山を下ろうとすると顔見知りの女性が二人。少し前に撮った花の名前が分からなくて。帰化植物でしょうかと。写真を見せてもらいましたが、残念花にピントが合っていません。花びら何枚でした?と聞くと4枚。アブラナ科かなと目星をつけて帰って調べると、キバナハタザオ(黄花旗竿)でした。長野県ではレッドリストに入っていない様ですが、妻女山では初めて見ました。貴重です。

 翌日は朝から晴れました。シモツケも咲き始めました。例年なら6月上旬から咲きます。顔見知りの女性二人が山椒の実を採っていました。前回作った佃煮が終わったのでまた採りにきたとか。山蕗の佃煮も美味ですが、山椒の実の佃煮は別格です。市販では味わうことができない滋味です。友人手作りの醤油と奄美大島のキビ糖だけで炊きます。

 シマサシガメ。カメムシの仲間で、蛾や蝶の体液を吸います。ゼフィルスの天敵です。

 イチヤクソウ(一薬草)。別名は 鹿蹄草(ろくていそう)といい生薬。 薬効は急性腎炎、膀胱炎、妊娠時のむくみなど。妻女山山系では貴重な花です。

 草むらに鮮やかな青緑の蝶が。まさかと思いながら追うと林道に止まりました。なんとオオミドリシジミでした。オオミドリシジミ(大緑小灰蝶:Favonius orientalis)は、チョウ目シジミチョウ科ミドリシジミ亜科に属するチョウ。オスの翅は、青緑に輝き非常に美しい蝶です。メスの翅は灰褐色。幼虫の食樹はブナ科のコナラ・クヌギ・ナラガシワ・カシワ・ミズナラなど。例年ならば6月下旬に見られる蝶なんですが、他のゼフィルスが梅雨寒で出現が遅れているというのになんということでしょう。再びよく見ると、これはハヤシミドリシジミですね。橙色の班が一部見られないので。ハヤシミドリシジミも生息するのは知っていましたが、撮影は初めてかも。

 クララ。マメ亜科の多年草。妻女山山系には、明るい場所でよく見られます。天然記念物のオオルリシジミの食草なんですが、妻女山でオオルリシジミを見たことはありません。「草原の青い星」といわれる様に、開けた草原で見られます。

 ヒカゲイノコズチの虫こぶ、イノコズチクキマルズイフシ。イノコズチウロコタマバエの寄生によって形成されます。これを切るとタマバエの幼虫がたくさんいます。

 朽ちた倒木に極小の粘菌が。あまりに小さくて見逃すところでした。中央右下の網状のものは、既に胞子を飛ばした後です。これで直系が2ミリあるかないか。コウツボホコリでしょうか。画像検索すると、以前にアップした私の画像も出てきましたが、高さも2ミリぐらい。そうかも知れません。

 最高気温は32度。しかし、山上は26度でした。それでも汗だらけになったので温泉へ。麦秋の風景。隣ではコンバインで刈り取り作業が行われていました。品種はおそらくユメセイキ。うどんにすると絶品です。『麦秋』といえば、小津安二郎監督による1951年・松竹大船撮影所製作の映画です。嫁に行かない独身娘の結婚話と、それにまつわる大家族の思いを綴った人情ドラマ。 出演者:原節子・笠智衆・‎淡島千景・三宅邦子。小津安二郎の作品はほとんど観ています。個人的には『東京物語』と『秋刀魚の味』が好きです。実は無声映画の『突貫小僧』が一番好きなんですけど。小津ファンでもなかなか観た人はいないかも知れませんが、色々な意味で最高の映画です。『生れてはみたけれど』も最高です。お腹を壊すのでなにもやらないでくださいと背中に紙を貼られた子供で、妻とひっくり返って笑った思い出。
■EARLY SUMMER (Bakushū), 1951


■『秋刀魚の味』予告編 / 小津安二郎監督作品 偉大なる映像作家・小津安二郎の遺作


■A Straightforward Boy / 突貫小僧 (1929) (EN)


 小津安二郎は一度ブログで記事にしたいと考えています。スタンリー・キューブリック、イングマル・ベルイマン、ウッディ・アレン、タルコフスキー、クラウス・キンスキー、グラウベル・ローシャ、鈴木清順、小栗康平とかも。
70年代は、ニューシネマ。そして私はシネマフリークになった」村上春樹さんのジャズ喫茶、ピーター・キャットを中心とした70年代のクロニクルまたはスラップスティック

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。地形図掲載は本書だけ。山の歴史や立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。10本のエッセイが好評。掲載の写真やこのブログの写真は、有料でお使いいただけます。

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妻女山も蝶や甲虫の季節真っ盛り。ウラゴマダラシジミの悲劇。キツネアザミのケサランパサラン(妻女山里山通信)

2022-06-14 | アウトドア・ネイチャーフォト
 梅雨の晴れ間の妻女山山系。昆虫があちこちで見られる様になりました。ここのところの大雨で、林道は酷い泥濘状態。何度もタイヤが滑りましたがなんとか陣場平へ。麓はカラッとしていましたが、森の中は湿っていて草には露もついています。

 陣場平で草刈り。主にヒカゲイノコズチを刈りました。そして、オオブタクサの抜き取り作業。50本以上抜きました。貝母(ばいも)は、立ち枯れているのもありますが、多くは倒れました。梅雨明け頃には消えていきます。

 日向ぼっこするヒメウラナミジャノメ(姫裏波蛇目)。タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科。食草はイネ科のススキ、カヤツリグサなど。

 イチモンジチョウ(一文字蝶)アゲハチョウ上科タテハチョウ科。幼虫の食草は、スイカズラ科のスイカズラやタニウツギ、ヤブウツギなど。妻女山山系のものは、オレンジ色の斑紋があります。

 左がヘビイチゴ(蛇苺)で、右がヤブヘビイチゴ(藪蛇苺)。神経痛の民間薬。無毒ですが味はありません。どちらもバラ科キジムシロ属の多年草。黄色い花もキジムシロやミツバツチグリとよく似ています。

 テングチョウ(天狗蝶)タテハチョウ科テングチョウ亜科。翅を閉じてとまることがほとんどですが、雨後で湿った翅を乾かしたいのでしょうね。天狗の鼻の様に見えるのは、下唇ひげ(パルピ)です。幼虫の食草はエノキなど。

 ヒメギス(姫螽蟖)の幼虫。幼虫なのでまだ翅が生えていません。周囲にもたくさんいました。

 腹部の模様が見えないのでもうひとつ確かではないのですが、キンアリスアブ(キンアリノスアブ)。特徴的な触覚と胸部の色や毛の色から。幼虫はクロヤマアリの巣の中で育ち、成虫も巣の周辺で見られます。「キンアリスアブ 幼虫」で検索すると、その不思議な丸い幼虫が見られます。

 貝母(編笠百合)の実に張った蜘蛛の巣。クサグモでしょうか。蜘蛛の巣は、種類によって形が異なるので巣の形状で種類が分かります。網を張らない蜘蛛もいます。

 中央部がかなり膨らんでいます。種が充分に大きくなっているのでしょう。まもなく枯れ初めて、やがてさく果なので弾けて種を飛ばします。羽は6枚ですが、種は縦に三列並んでいます。一列に20個ほどなので、ひとつの実で60個ぐらいです。発芽率は分かりませんが、増え方を見るとかなり高いのかも知れません。球根は翌年から咲きますが、種からの場合は咲くまで数年はかかります。

 蜘蛛の子。ちょっと指で触れると、「蜘蛛の子を散らす」状態に。しばらくすると、また戻ってきます。種類は不明です。

 ヤブキリ(藪螽蟖)の幼虫。幼虫の頃は、花粉や花弁を食べ、成長すると肉食性になり昆虫を捕らえて食べるようになります。

 三本の翅斑があるので、ミスジシリアゲのメス。小動物や昆虫の死骸の体液を吸います。幼虫は土中で虫を食べる肉食性の昆虫。オスは腹端がサソリの様な形状をしています。2億5000万年前のベルム期から生息していたシリアゲムシ目に属する非常に起源の古い昆虫。

 ヤマグワの実。マルベリー(mulberry)と呼ばれ食べられます。生食やジャムやジュースに。子供の頃は、いいおやつでしたが、白いシャツを汚すと落ちないので、母や祖母によく叱られました。鳥や昆虫の餌になります。落ちて潰れた桑の実をオオムラサキが吸汁しているのを目撃したことがあります。

 ガガンボ・オオカ(大蚊)糸角亜目ガガンボ科の交尾。「ががんぼの 脚の一つが 悲しけれ」(高浜虚子)とうたわれる様に、脚がすぐにもげます。ザトウムシもそうですが、いわゆるとかげの尻尾切りで、身を守るすべなのでしょう。成虫は主に花の蜜が主食で、寿命は10日ほどの儚い虫です。

 ウスバシロチョウ。スフラギスを付けているので交尾を終えたメスです。産卵のためにハルジオンで盛んに吸蜜していました。

 ウラゴマダラシジミ(裏胡麻斑小灰蝶)シジミチョウ科ミドリシジミ亜科。何か様子が変です。しばらくすると落下しました。

 翅が裂けている様です。翅の表にはなにか極小の種の様なものが。ニホンカナヘビとか何かに襲われたのでしょうか。この後地面に落下して見えなくなりました。

 キツネアザミの種。風が吹くとケサランパサランになって飛んでいきます。銀色に輝きながら飛ぶ様は美しい。

 梅雨の晴れ間の善光寺平。戸隠連峰の残雪もほとんど消えたようです。千曲川は少し増水しています。梅雨明け近くの豪雨で洪水にならなければいいのですが。梅雨寒ですが、週末は30度の予報。体調管理が大変です。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。地形図掲載は本書だけ。山の歴史や立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。10本のエッセイが好評。掲載の写真やこのブログの写真は、有料でお使いいただけます。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林に掲載の信州の里山のスライドショー(妻女山里山通信)

2022-06-03 | アウトドア・ネイチャーフォト
 拙書『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林に掲載されている山の写真を元に作ったスライドショーです。トレッキングのスタートからゴールまでを時系列で並べてBGMをつけているので、コースの概要がよく分かると思います。動画情報のもっと見るをクリックすると、コースの詳細・工程時間・当日の気温・標高差・注意点が分かります。また、本では掲載できなかったカットもたくさん見られます。興味のある山をご覧ください。ハイビジョンなので、YouTubeへ飛んでぜひ大画面でご覧ください。里山人気は、アルプスを卒業した人や歴史マニア、ロッククライマー、サイクリスト、トレランランナー、バードウォッチャー、フォトグラファー、アーティストなど多岐に渡っています。誰でも自分なりの楽しみ方ができるのが里山です。

 時々、BGMに聴いたことのないフォークソングが流れてきます。これ誰ですかなんてメールが来たこともあります。実は屋代高校の同窓生で美術班の仲間で、現在は妻女山里山デザイン・プロジェクトのメンバーでもあるK氏の学生時代のものなんです。歌詞をよく聴くと、学生当時の悶々とした想いが感じられます。私は美大生で、村上春樹さんのジャズ喫茶でアルバイトをしていました。海外への憧れを抱いていて、彼のアドバイスもあって海外放浪へと繋がりました。ちなみに高校時代、ピットフォール(落とし穴)というバンドを組んでいて、彼がギターでした。私はボーカル。女子校の文化祭でミニライブをした懐かしい思い出があります。
国分寺・国立70Sグラフィティ(村上春樹さんのジャズ喫茶、ピーター・キャットを中心とした70年代のクロニクルまたはスラップスティック):世界中からアクセスが有る人気ブログです。

【信州の里山】妻女山-鞍骨山-象山 Mt.Kurabone at Kiyono in Nagano

 地元はもちろん大河ドラマ『真田丸』でハイカーが激増しました。全国から歴史マニアが訪れます。私もBS-TBSの歴史番組でガイドをしました。今年のGWも、一日20〜30人のハイカーが訪れました。松代城(海津城)が眼下に見えます。47秒から満開の貝母(編笠百合)も見られます。YouTubeで見るをクリックしてご覧ください。

【信州の里山】花の飯縄山 Mt.Izuna in Nagano

 長野市民が誰でも一度は登る山。上杉謙信も武田信玄も尊崇した信仰と修験の山。そして、花の山です。飯縄権現は、大和王権の祖といわれる徐福伝説や八咫烏とも繋がっています。拙書では各山の歴史も記しています。

【信州の里山】京ヶ倉1 Mt. Kyogakura at Ikusaka village in Nagano vol.1

 GWに咲くヒカゲツツジで人気の山。ミニ蟻の塔渡りがあり、里山とは思えないほど厳しい山ですが眺望が素晴らしい。犀川の流れや人家がジオラマの様に見えます。

【信州の山】四阿山カルデラ一周 Mt.Azumaya from The Yonako falls in Nagano

 全長23キロ、約10時間のロングコース。米子大瀑布から滝上を横断し、2000m級の山を3つ(根子岳・四阿山・浦倉山)登ります。自然と歴史の大コース。トレランの人たちにも大人気。

【信州の里山】虫倉山さるすべりコース2 Mt.Mushikura at Nakajo in Nagano 2

 神城断層地震で山頂が4割崩壊。その前の貴重な映像です。今も魅力的な歴史の里山。不動滝には貴重なハコネサンショウウオが生息します。

【信州の里山】真夏の尼巌山 Mt.Amakazari at Higashijo in Nagano

 真田幸隆に攻略された東条氏の山城が山頂。岩を登る急登とほぼ真下に見えるあんずの里の風景が魅力。天の岩戸にも立ち寄りたい。

【信州の里山】五一山脈踏破 Goichi Mountain range in Nagano

 村上義清の葛尾城から森将軍塚古墳までたどる歴史の尾根。BGMのカウント・ベイシー・オーケストラも肝。北アルプスのスカイラインが美しい。山本勘助が作った軍道の勘助道もおすすめ。トレランの人気コースでもあります。

【信州の里山】奇妙山 Mt.Kimyo at Matsushiro in Nagano

 清滝から林道経由で尾根にとりつき、30mの崖登りが楽しいコース。山頂からは北信五岳と晴れていれば日本海も見えるかも知れない。拙書では私も一度しか登ったことがないとんでもないバリエーションルートの清滝・滝上コースも紹介しています。

【信州の里山】冠着山(姥捨山)鳴海新道 Mt.Kamuriki at Togura in Nagano

 姨捨伝説の歴史ある里山で展望も抜群。鳴海新道は長いけれども満足感が得られます。春のカタクリ、秋のサラシナショウマが美しい。

【信州の里山】大姥山 Mt.Ohba in Nagano

 18ある鎖場が楽しい。金太郎伝説の大きな岩屋が見もの。南面は厳しい崖だが北面はサフォーク牧場のギャップが面白い。山姥の滝に駐車してのループコースがおすすめ。

【信州の山】黒斑山 Mt.Kurohu in Nagano

 浅間山外輪山の最高峰。トーミの頭からの浅間山が美しい。夏は花と昆虫の宝庫。火山情報は事前に調べておきましょう。

【信州の山】烏帽子岳 Mt.Eboshi from The Jizoh Pass in Nagano

 小学生が遠足で登る山でファミリー登山のメッカですが、標高は2066m。色々な高山植物が見られます。また、稜線や山頂からは北アルプスの大パノラマが望めます。

 他にも三峯山や大林山、独鈷山、鏡台山などのスライドショーがあります。東京や神奈川、山梨のトレッキング・スライドショーもYouTubeのsaijouzanでご覧いただけます。saijouzanへは、YouTubeがGoogleへ移行する際のトラブルで、現在私はログインできない状態です。コメントやメッセージなどは、別アカウントの
MORIYUKI HAYASHIで行っています。ご了承ください。お問い合わせは、このブログのメッセージからお願いします。

「キッズ・トレッキング」のアドバイス。(信州妻女山里山通信):10歳以下の子供と登る場合の注意点を書いています。非常に重要なことも書かれています。子連れ登山には、ぜひ参考にしてください。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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最高気温32.7度の長野市。21度の妻女山の陣場平で撮影と山椒の実を採る真夏日。縮緬山椒を作る(妻女山里山通信)

2022-05-30 | アウトドア・ネイチャーフォト
 長野市の最高気温は、最高気温32.7度だったそうです。ということで、妻女山の陣場平へ撮影に行きました。麓は既に28度でしたが、陣場平の木陰は21度でした。湿度も低くて快適です。ただ日差しは強く、日向に出るとジリジリと肌が焼ける感じがしました。撮影の前に、縮緬山椒を作るために山椒の実を1時間半ほど摘みました。

 森の中から見る陣場平の貝母群生地。先日の強い雨で倒れたものもかなりあります。ハルゼミとエゾハルゼミの合唱がもの凄い。先日の作業の日と違ってクロメマトイが五月蝿い。まだヤブ蚊がいないのが救い。淡竹の筍を食べに熊が来るので、熊鈴やホイッスル、大きな音をたてるは必須です。先日はそれで聖山の熊を追い払いました。

 枯れた貝母の間に繁茂してきたのは、ヒカゲイノコヅチ(日陰猪小槌)ヒユ科イノコズチ属の多年草。秋に花穂がひっつき虫(バカ)になり、茎に丸い赤紫の虫こぶ(虫えい・ゴール)ができる植物です。若葉は天ぷらやおひたし、胡麻和えなどで食べられるそうです。でも美味しかったら皆採って食べますよね。まあ、そういうことでしょう。多年草で根を張り巡らすので、貝母の繁殖を阻害しますが、どうも見ていると貝母の方が強いので、放置しています。
 虫こぶは、イノコヅチクキマルズイフシといい、イノコヅチウロコタマバエによって作られます。虫こぶを切ってみると、小さなタマバエの黄色い幼虫がたくさん入っています。

 陣場平の下の入口からの小道。オオブタクサがたくさん出る場所なので要注意なのです。里山保全は賽の河原に石を積む様な作業の繰り返しです。諦めたら終わり。人生は有限なのになぜそんなことをするのと思われるかもしれません。宇宙はなるようにしかならない。その通りです。それがレーゾン・デートル(存在理由)の証と思っているからでしょうからですかね。意識も物質の電気信号のひとつでしかない。存在を考えると宇宙とか、マクロの原子とか。その存在理由は何かと考えますね。たぶん大本の宇宙がその存在理由さえないのかも知れませんが。星が綺麗な信州の夜空を見ると、そんなことも思うのです。

 陣場平ではハルジオンはすべて抜きますが、周囲ではウスバシロチョウが吸蜜するのである程度残しておきます。交尾をした印のスフラギスを付けたメスが吸蜜していました。元気な子孫を残すためにせっせと吸蜜して栄養を蓄えます。

 この時期のメスは、吸蜜に夢中で近づいても逃げません。有害帰化植物のハルジオンを残すのは痛し痒しなのですが、この時期ほかに吸蜜できる花がないので仕方ありません。ウスバシロチョウが消えたら除草します。

 蜘蛛の巣に引っかかったウスバシロチョウ。自然の営みには関与しないのが基本ですが、この巣は主が不在。放棄したものらしいので逃してあげました。自然にどこまで人間が関与していいのか、非常に難しい問題です。欧米ではこれを人間対自然の世界観で。日本、東洋は人間も自然の一部と。近年は後者がポピュラーですが、ではそのコンセプトは確立し普及していますか。意識の改革はそう簡単ではありません。

 翅を広げても10ミリぐらいのマドガ(窓蛾)。この面白い名前は、ギリシア語の窓や入り口からで、翅の中室にある半透明の白色斑を窓に見立てたものだそうです。

 山蕗の葉にヤマザクラかカスミザクラのサクランボ。渋くて食用にはなりません。ケバエの一種でしょうか。来ています。

 ミヤマウグイスカグラ(深山鶯神楽)スイカズラ科スイカズラ属。赤い実は甘く食べられます。子供の頃の山のおやつでした。田舎なので1円キャラメルぐらいしかなかったですから。後はハイカラな明治生まれの「おはなはん」が大好きだった祖母の作るどこで覚えたのか中華菓子の麻花兒(まーふぁーる)とか、じゃがいも餡の饅頭とか。おはぎやこねつけ、よもぎ餅。甘い葛湯もよく作ってくれました。

 湧き水の出る沢に下ってみました。ユキノシタ(雪の下)ユキノシタ科ユキノシタ属。虎耳草、鴨脚草、鴨足草、金糸荷などの別名があり、利尿作用のある硝酸カリウムや塩化カリウムを含み、むくみ解消に効果が。その他にきょ風、清熱、解毒などの効能がある民間の薬草です。葉は天ぷらで。

 ワサビ(山葵)の葉。花が咲くのはこれからです。在京時代は山梨の秘密の谷へ自生の山葵を採りに行って妻にワサビ漬けを作ってもらいました。

 フタリシズカ (二人静)センリョウ科チャラン属の多年草。静かは煩いの反対語ではなく、源義経の愛した静御前のことです。フタリシズカは、静御前の霊が取り付いた菜摘み女と霊が同じように舞うという、能の「二人静」から来ています。

 ガマズミの花にコアオハナムグリ。体長は10ミリぐらい。妻女山山系ではよく見られます。前回撮影したのも遠くで分からなかったのですが、コアオハナムグリかも知れません。

 ナヨクサフジ(弱草藤)マメ科ソラマメ属。ヨーロッパ原産です。元は飼料として輸入され、日本で帰化したもの。里山や河原などに普通に見られます。何か小さな蛹がついています。なんでしょう。

 キバネツノトンボの生息地へ。一匹だけいました。メスでしょうか。交尾しそこなった個体でしょうか。自然というのは忖度なしの世界です。世襲とかタレントで有名とかありません。個の実力と運が全てです。

 ニガナの上にキリギリスの仲間のヤブキリの幼虫が。ヒシバッタの幼虫も見かけました。

 善光寺地震の松代藩が立てた罹災横死供養塔の下にもニガナの群生地があります。最近あちこちで地震が頻発しているので心配です。首都直下型地震の心配もあります。備えだけはしておきたいものです。

 ヤマホタルブクロ(山蛍袋)キキョウ科ホタルブクロ属。昔、ホタルを入れて遊んだからの名前だそうですが、本当かなと思っていたら、生前父が子供の頃そうやって遊んだと言っていたと聞いて、へえ!って納得しました。

 妻女山展望台からの松代方面の眺め。清滝から林道経由で尾根に登り、30mの崖を奇妙山へ登るコースは拙書でも紹介しています。奇妙山は行基にまつわる歴史の深い里山で、古い山城の遺構もあります。根子岳と四阿山の残雪もほとんど消えた様です。

 山椒の実で縮緬山椒。佃煮にするのではなく薄味で煮物にします。採りたてでアクが少ないので一度茹でこぼすだけ。実も枝も柔らかく葉も入っていますが構いません。いつもはコウナゴですが、今回は食べる煮干しを使いました。干し椎茸とだし昆布、鰹出汁といりこ出汁に本味醂と友人が作った手作り醤油で煮ます。薄味で、これで素麺や蕎麦をいただいても絶品です。ピリピリと痺れる辛さがたまりません。梅雨時の食欲不振にぴったりです。こんな料理は、料亭でも出ることはないでしょうから貴重だと思います。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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妻女山の陣場平で貝母の球根の移植作業と有害帰化植物の除去。淡竹と鯖の水煮缶詰の味噌汁(妻女山里山通信)

2022-05-28 | アウトドア・ネイチャーフォト
 5月1日以来の妻女山里山デザイン・プロジェクトの作業は、陣場平で貝母(編笠百合)の球根の移植作業と有害帰化植物の除去作業でした。今回は、農作業で忙しいメンバーが休みで参加者は三人でした。麓は最高気温が25度の夏日でしたが、森の中は涼しくて本当に快適でした。

 貝母は枯れていますが、雨で倒れているものもありますが、ほとんどは立っています。シジュウカラやオオルリの鳴き声がします。たくさんのウスバシロチョウが舞っています。湿度が低く、ヤブ蚊もクロメマトイもいないので、快適に作業ができました。

 南側の森の中に散ってしまった貝母の球根を掘り起こします。

 5月1日にも移植作業をしました。その後、私も撮影の合間に移植作業をしたりしています。

 貝母の球根です。これを粉末にして咳止めの薬にしたのでしょう。奈良時代に入ったと言われ、万葉集に一句あることは、満開の時の記事で紹介しました。

 今回も20株ぐらいを移植しました。球根は来年には咲くので楽しみです。植物園や4月の茶花として栽培する畑はありますが、里山でこれだけの群生地は日本でここだけです。

 休憩しようと丸太のベンチに行ったら、おびただしい数の羽蟻に占拠されていました。羽が大きいことや頭と胸部の色や形から、ヤマトシロアリですね。

 移植作業の後は、オオブタクサ(クワモドキ, アサノハブタクサ)の抜き取り作業です。根を残すとまた出てくるので抜き取ります。北アメリカ原産の帰化植物で、抜いても抜いても出てくる厄介者です。放っておくと高さ4mにもなります。根から他の植物の成長を阻害する物質を出すアレロパシー作用があります。また、花粉症の原因植物です。

 貝母の実も大きくなってきました。梅雨明けぐらいまで大きくなり続けます。熟し切ると枯れてホウセンカのように種が弾け飛ぶさく果です。その時に東風(こち)が吹いていることが多いので、西へ増えていくのです。

 貝母を案内する時に必ず話すのが、貝母を発見するきっかけとなった菱形基線測点です。記事にもしているので、右上のブログ内検索で調べてください。茶臼山の菱形基線測点も紹介しています。今回は、小さな子を連れた4人家族が登ってきました。私の読者でした。著者ですと言うとすごく驚かれましたが、けっこう読者とは邂逅しています。陣場平を案内しました。鞍骨山から下りてきたご夫婦にも邂逅。陣場平を案内しました。

 昼は、ログハウスを借りて。この時期の信州名物「淡竹と鯖の水煮缶詰の味噌汁」サバ缶の汁も入れるので出汁は要りません。タマネギと山椒の葉も入っています。味噌は仲間と作った信州糀味噌。安定の旨さです。飯山などでは根曲がり竹で作ります。

 バナメイエビとホタテとシメジ、タマネギのアヒージョ風。ケイジャンスパイスの味付けで。北アルプスもクッキリと。湿度が低く快適でした。クマバチが、ログハウスの横木の丸太の下に穴を開けていました。これまずいです。強靭なアゴで木材などに直径1.5cm程度の穴を開け、深さ20~40cm程まで掘り進み巣を作ります。

 お開きの後、私は撮影のために再び陣場平へ。写真は陣場平から出て林道へ出る小道です。木漏れ日が爽風でゆらぎます。梅雨入り前の今の里山はおすすめです。

 山椒の実。もう少し大きくなったら採って縮緬山椒を作ります。

 林道脇にある低木のイボタノキ(水蝋樹・疣取木)モクセイ科イボタノキ属の落葉低木。ウラゴマダラシジミ、イボタガ、スズメガ類が食草にしている樹木です。まだつぼみですが、まもなく咲き始めるでしょう。樹皮上に寄生するイボタロウカイガラムシの分泌する「いぼた蝋」は蝋燭の原料や家具や生糸製品、日本刀の手入れに用いられます。

 もう一品、私が持参した山蕗とホタルイカの煮物。ホタルイカは出汁の出る干物を使います。山椒の葉と実を入れました。信州の里山と富山湾の味覚のマリアージュ。絶品です。

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妻女山は昆虫の季節。ウスバシロチョウ・ミナミヒメヒラタアブ・コジャノメ・トラフシジミ・コミスジ(妻女山里山通信)

2022-05-27 | アウトドア・ネイチャーフォト
 妻女山山系は昆虫の季節到来。色々な昆虫たちが現れていました。希少な昆虫もいれば、ちょっと危険な昆虫もいます。春とは違う花も咲きます。雨上がりには粘菌も出てきます。里山は一年中ありとあらゆることを観ることで、その全貌が分かるのです。相互連関、共生関係を知ることも大事です。そこそこの知識に加えて好奇心と観察が一番の肝。なので同じ場所に何度も通うことが非常に重要なのです。

 ニガナで吸蜜するウスバシロチョウ。食草のシロヤブケマンの群生地が増えたため、妻女山山系のあちこちで見られるようになりました。この時期、彼らの天敵はジョロウグモなど。蜘蛛の巣に引っかかって絶命する個体も少なくありません。

 ウスバシロチョウを撮影していたら、隣にドクガの幼虫が。この時期、山仕事や山菜採りなどをする時は、暑くても必ず長袖を着て手袋をします。ドクガの見えない毒毛に触れたら、2,3週間は痛みが続きます。ヤブ蚊もそろそろ出てきます。クロメマトイも五月蝿いですね。しかし、それ以上に森の中にいると癒やされるのです。自然対自分ではなく、自分も自然の一部なのだと思えるようになります。

 翅を閉じて吸蜜中のウスバシロチョウ。右は別の個体ですが、羽を閉じている時は簡単につかめます。見るとスフラギス(交尾後付属物)がついているメスでした。オスは交尾をすると、そのメスにスフラギスという貞操帯の様なものをつけます。他のオスと交尾ができないようにするためです。

 タチツボとかヒナとか上になにもつかないスミレ(菫)。妻女山では最後に咲くスミレです。

 ヤブジラミの花で吸蜜中のミナミヒメヒラタアブ。撮影よりも見つけるのが非常に困難な昆虫です。体長が10ミリに満たないサイズなので、その気になって探さないと目に入りません。毎年出現する生息地を知っているので撮影できるのです。こんな小さな命も宇宙船地球号の大事な乗組員なのです。

 コジャノメ。人の気配に敏感なのでなかなか撮影させてくれません。そっと後から忍び寄って撮影。日陰を好む蝶です。地上付近をヒョイヒョイと飛び回ります。

 ガマズミの花には色々な昆虫が吸蜜に集まっています。トラフシジミにシロテンハナムグリ(白点花潜)とシラホシハナムグリ(白星花潜)かな。この二つは見分けが難しい。もっと近づきたいのですが、手前に深い溝があるので不可能です。残念。しかし、改めて見ると大きさからこれはコアオハナムグリですね。

 ジョウカイボン(浄海坊)。この時期あちこちで見られます。甲虫なので飛ぶのが下手で、近くなら飛んでいるのを手で捕まえられそうです。花の蜜や小昆虫を餌にします。時には自分より大きな蛾も捕らえます。

 雨上がりなので粘菌(変形菌)のマメホコリも見られました。右はまもなく胞子を飛ばし始めるかもしれません。
妻女山は貝母だけではないのです。雨上がりには粘菌が出現。かの南方熊楠が夢中になり、中国の歴代皇帝が求めた不老不死の薬?(妻女山里山通信):粘菌リンクもご覧ください。

 ミスジシリアゲ。シリアゲムシ目シリアゲムシ科。死んだ昆虫の体液などを吸います。2億5000万年前のベルム期から生息していたシリアゲムシ目に属する非常に起源の古い昆虫なのです。

 コミスジ(小三條)。これも人の気配に非常に敏感でなかなか撮影せてくれません。幼虫の食草はクズ、ヤマフジ、ニセアカシアなどのマメ科の植物です。作年の5月には交尾中を撮影しました。

 キツネアザミ(狐薊)。アザミとつきますが、アザミではなくキク科キツネアザミ属の2年草です。消炎などの薬草です。週末は、妻女山SDPの作業で貝母の球根の移植と有害帰化植物の除去作業をしますが、虫対策と暑さ対策をしっかりしないといけません。

 妻女山展望台から陣場平山の眺め。中腹に集落が見えます。手前は茶臼山から北に続く尾根。手前は篠ノ井の市街地。千曲川では、台風19号で堆積した土砂の運び出し作業が続いています。非常にいい土質なのでいい値段で売れるのです。もっともこの上流で大量の農地とかの土砂が失われた結果なのですが。治山治水はお金も手間もかかるのです。全国の里山保全も多くがボランティアの手で行われているのが現状です。ちなみにボランティアというのは無償奉仕と思われていますが間違いです。世界では有償ボランティアも普通です。そもそもボランティアは無償奉仕という意味ではありません。デモクラシー。実は民主政治という政治手法なのに、民主主義と誤訳(わざと?)したことと同じぐらい酷いものです。空気が湿り気を帯びてきました。午後にはポツポツと。豪雨にならなければいいなと思いながら下山しました。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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キバネツノトンボ。体の構造と生態を観察する夏日の草原。複眼にダビデの星? 16都道府県でレッドリストに指定されている昆虫(妻女山里山通信)

2022-05-25 | アウトドア・ネイチャーフォト
 前回に続き、妻女山山系で希少なキバネツノトンボ(黄翅角蜻蛉)を追いました。アミメカゲロウ目ウスバカゲロウ科ツノトンボ亜科の昆虫で、16都道府県でレッドリスト(絶滅危惧種)に指定されている昆虫です。今回は二日間に渡る観察と撮影の記録です。摩訶不思議なことに遭遇しました。

 初日は夏日で湿度が低く、キバネツノトンボは10時前から群舞を始め、12時まで続きました。5枚目までは、その時撮影したあるオスの一匹です。前翅は透明で後翅より長くそのため翅を閉じると後翅の黒と黄色の模様がよく見えます。トンボはその透明な翅は、体重のたった2%しかありません。キバネツノトンボはそれよりは重そうですが、それでも甲虫よりは遥かに軽いと思います。

 オスの尾部には丸いハサミが見えます。これでメスの尾部を掴んで交尾をするのです。どの昆虫でもそうですが、すべてのオスやメスが交尾して子孫を残せるわけではないのです。人間含め哺乳類でもそうですが。

 このカットで分かるように、ハサミは別れていて開閉できます。

 よく見ると、口先の鋭い顎(あご)が出ていて何かをくわえている様にも見えます。

 普段は仕舞われている鋭い顎が出ています。赤茶色の物は捕らえた餌でしょうか。もうひとつはっきりしません。しばらく観察していましたが、咀嚼して飲み込む様子はありません。このまま飛び立っていきました。なんだったのでしょう。モヤモヤします。

 翌日。9時半ごろからオスとメスが一匹ずつ来ました。活性は低く草に止まっています。メスを追うことにしました。午後から雨の予報で湿度は高くなってきました。10時半頃に見限って陣場平に登り帰化植物の除去など保全作業を。正午には、千曲市から「ふるさと」、長野市から「子鹿のバンビ」のメロディが流れます。ハルゼミとエゾハルゼミの鳴くログハウスで昼食後に下山しました。

 動かないので頭と胸のアップ。毛むくじゃらです。トンボの背中とは構造が異なります。昆虫が翅を動かして飛ぶ構造は主に二つあり、トンボの翅は4枚が複雑な動きをしてホバリングや少しなら横移動、後退もできます。筋肉が4枚の翅の基部につながっていて、それぞれを別々に動かせます。これを直接飛翔筋型昆虫といいます。蜂のように、筋肉が翅ではなく外骨格につながっていて、筋肉を交互に収縮させて、外骨格全体を変形させて飛ぶのを間接飛翔筋型昆虫といいます。外骨格の反動を使うので1秒間に1000回以上の羽ばたきができるのです。

 複眼は二段になっていてその先のものにはダビデの星の様な模様が見えます。これはどういうことなのでしょう。画像検索しても、こういう画像はなかったので非常に不思議です。オオムラサキなどだと偽瞳孔という瞳に見える黒い点があるのですが、これはそれとも違います。これはマクロレンズで5センチぐらいまで近づいて撮影しています。ここまでアップにして初めて気づきました。なんじゃこりゃ。

 つぶさない様に気をつけて掴んで、口元を撮影しました。鋭い顎が見えます。足先の二つの鋭い爪も見えます。撮影を終えてすぐに草の茎に戻しました。危険を察知して飛び去るかなと思ったら、そのまま草にしがみついていました。意外に人に対する警戒心が薄いので驚きました。

 最後に止まったオスを撮影しました。オスはメスより一回り小さいのが特徴で、人気にはメスより敏感な様です。近づくとすぐに逃げます。午後1時ごろになると、何匹ものキバネツノトンボが現れ舞い始めました。午後から激しい雷雨になる予報なので私は帰りましたが、彼らの行動基準がよく分かりません。日向が好きで、草原でも日が当たる横20m、幅6m、縦4mぐらいの間で群舞しています。環境が変わればこのラブゾーンも変わるのでしょうけれど。
 実はずっとこの撮影をしているわけではないのです。いなくなったり、活動が活発すぎて撮影が不可能になったり。陣場平の里山保全作業もしないといけないので。そして、ほかの昆虫たちも色々出始めました。それは、次の記事でまとめて掲載します。発見すら困難なミナミヒメヒラタアブも。ゼフィルスも出始めました。里山の昆虫天国はこれからです。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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希少なキバネツノトンボの乱舞と飛翔交尾を目撃。ハリエンジュにウスバシロチョウ。貝母の今(妻女山里山通信)

2022-05-21 | アウトドア・ネイチャーフォト
 妻女山山系のある場所で、希少なキバネツノトンボ(黄翅角蜻蛉)に遭遇しました。トンボといいますが、実はアミメカゲロウ目ウスバカゲロウ科ツノトンボ亜科の昆虫。大きな目のその愛くるしい姿は、一度見たら忘れられません。16都道府県でレッドリスト(絶滅危惧種)に指定されている昆虫ですが、長野県ではあちこちに生息地がある様です。それだけ信州は自然環境がいいということなのでしょう。

 大きな目と触角の先の玉、黄色い翅が印象的です。この個体は、この直前に飛翔交尾をしていました。交尾を終えて休息しているところなのでしょう。しばらくして飛び立って行きました。ツイッターで情報を頂いたのですが、空中で交尾を中止したということは、交尾は完全にはできなかった可能性があるということです。実際は草に止まって交尾を完遂するそうですから。このメスはまだ未熟と判断されたのでしょうか。未熟なメスがオスを拒絶した可能性もあるとか。オオムラサキでも追いすがるメスをオスが足蹴にしているのを見たことがあります。恋の成就はなかなか難しいのですね。

 これと次のカットは、2013年5月22日に撮影したものです。そうなんです、なんと9年ぶりの邂逅なのです。もしかしたらこれまでも遭遇していたのかもしれませんが、なにせ小さいし飛翔も速いので気が付かなかったのかもしれません。それにしても可愛い。飛びながら小さな虫を捕らえて食べます。

 実物はまだ見たことがないのですが、幼虫は体が棘だらけで鋭く大きな顎を持っています。幼虫を見ると、ああアリジゴク(ウスバカゲロウの幼虫)の仲間だなと分かります。卵はイネ科の植物に産み付けられますが、若齢幼虫はそこで集団を作ります。

 陣場平へ保全活動のために登る前に、妻女山松代招魂社へ寄りました。ニガナとハルジオンが咲いています。

 ニガナ(苦菜)キク科の多年草。花びらのようなもの1枚1枚が舌状花と呼ばれる1つの花です。ロゼットで越冬します。本当に苦く、生薬名を黄瓜菜(オウカサイ)といい、健胃、消炎、消化不良、食欲増進、副鼻孔炎への効能があります。なお、沖縄料理で野菜として利用する「ニガナ(ンジャナ)」はホソバワダンという別種です。

 ハリエンジュ(針槐)が咲き始めました。北米原産のマメ科ハリエンジュ属の落葉高木で、ニセアカシアともいいます。千曲川河川敷にもたくさんあります。花は蜜が豊富で蜜源として有用です。葉、果実、樹皮は有毒で、棘が刺さると腫れてしびれが出るそうです。刺さったら抜いてステロイド軟膏を塗るといいそうです。何度か千曲川河川敷で伐採をしましたが、堅木で薪としてはいいのですが、棘があるので大変でした。花は無毒で、天ぷらなどで食べられます。

 そのハリエンジュにとまるウスバシロチョウ。妻女山山系のあちこちで大量に舞っています。

 あちこちでヒレアザミ(鰭薊・翼薊)が咲き始めました。ウスバシロチョウも吸蜜に訪れます。

 茎にもひれがあることからヒレアザミ。非常に古く入ったといわれる史前帰化植物で、アザミ属ではなくヒレアザミ属です。欧米ではハーブの一種。

 陣場平へ。貝母(編笠百合)は、かなり枯れてきました。有害帰化植物のオオブタクサを100本ぐらい抜きました。数本のハルジオンも。毎年抜いているのですが、必ず出てきます。オオルリとサンコウチョウの鳴き声がします。

 枯れても倒れずに立っているものがほとんどです。梅雨入りして激しい雨が降ると倒れます。

 実がなっているものは、実が熟して枯れ始めるまで緑色です。茎や葉が枯れて黄色くなっても実は緑のままです。近々、遠くに種が飛んでしまった株を掘り起こして中央に植え替える作業を仲間とする予定です。

 最後に妻女山展望台の裏にある四阿へ。手前に茶臼山、右奥に虫倉山。北アルプスは薄っすらと見えます。畑では、野菜の苗の植え付け作業が始まっています。ただ、土手中(堤防の手前)にも耕作放棄地が増えてきました。土手外(千曲川河川敷)は、耕作放棄地だらけです。昔は、自民党の議員も農漁村の子供が多かったのです。今は、親の七光りの世襲議員や馬鹿なタレント議員がはびこり、食料は金で海外から安いものを買えばいいという議員だらけになった結果が、第一次産業の衰退につながりました。しかし、ウクライナ戦争で、食料を海外に依存している危うさが顕になりました。政治に対する長年の無関心の結果です。GDPも世界24位。年収でも米国の半分、韓国にすら抜かれ、すでに先進国ではありません。円安誘導のアベノミクスは完全に失敗しました。このまま国民が覚醒しないと日本は確実に滅びます。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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