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心療内科 新(あらた)クリニックのブログ

最新の精神医学に関するトピックスやクリニックの情報などを紹介します

ストレスに対する生体反応;汎適応症候群

2020年05月03日 | ブログ
約70年前に、カナダの生理学者セリエ(Selye,H.)は、様々なストレスにより引き起こされる心身の変調を“汎適応症候群”と定義しました。

つまり、生体がストレスに晒され続けると、ストレスの種類にかかわらず共通したいくつかの異変が心身に生じることを見出し、これを“汎適応症候群”と名づけました。

汎適応症候群には、以下の3つの段階があります。
1)警告反応期;最初の1ヶ月
2)抵抗期;1~3ヶ月
3)疲はい期;3ヶ月以上

上の図のように、最初の1~2ヶ月(抵抗期)は、ストレスに対して何とか適応し、心身のバランスを保つように生体は反応します。しかし、ストレスが長期化すると(3ヶ月~)、適応が難しくなり、段々と心身の変調をきたすようになります。

精神的には、憂うつ感や不安感、イライラ感、不眠、集中力の低下、物忘れなどが出現し、うつ病などの精神疾患が生じることも少なくありません。

日本で新型コロナウイルス騒動が本格化し始めたのが今年の3月頃ですので、今月で3ヶ月目に突入します。何とか収束に向かってくれるとよいのですが、残念ながらまだその兆しはなく、緊急事態宣言も今月末まで延長されることとなりました。

対策としては、まずは4月11日に本ブログ上にも掲載しております「新型コロナウイルス対応;こころの健康を維持するために」をご参照いただけると幸いですが、疲はい期の心身の変調を放っておくと生体の恒常性が失われ、最終的には死に至ることもありえます。

そのため、上記のような精神的な不調が続く場合には我慢せずに、なるべく早めに心療内科に受診することをお勧めいたします。

(院長 森)