monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

古典の季節表現 春 藤

2013年03月21日 | 日本古典文学-春

屏風の絵に、松に藤のかゝれる所 平兼盛
常盤なる花とそみゆる我宿の松に木高くさける藤なみ
(続千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

月輪といふ所にまかりて、元輔恵慶なとゝもに庭の藤の花をもてあそひてよみ侍ける 大中臣能宣朝臣
藤の花さかりとなれは庭の面におもひもかけぬ浪そ立ける
(後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

山階入道左大臣家十首歌に、松藤を 山本入道前太政大臣
影うつす松も木高き春の池にみなそこかけて匂ふ藤浪
(風雅和歌集~国文学研究資料館HPより)

百首歌の中に、池藤 伏見院御製
春深き色にそ移る紫の藤さく宿の池のさゝ波
(新続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

天暦四年三月十四日、藤つほにわたらせ給て花おしませ給けるに 天暦御歌
まとひしてみれともあかぬ藤なみのたゝまくおしきけふにもある哉
(新古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

天徳四年内裏歌合に、藤 中納言朝忠
紫に匂ふ藤なみうちはへて松にそ千世の色もかゝれる
(続千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

やよひの二十日ごろ、冷泉院の中宮、后に立たせ給ひけるに、池の中島の藤、松にかかりてなべてならぬに、これかれ歌よみ侍りけるに 袖ぬらすの源中納言
松風も枝を鳴らさぬ宿なればかかれる藤の陰ぞのどけき
うちのおとど
影さへぞなべては見えぬ紫の雲立ち添へる池の藤波
(風葉和歌集~岩波文庫)

康暦二年三月、内裏にて、人々藤花久薫と云ことをつかうまつりけるついてに 通陽門院
袖ふれていく春なれんさく藤の松よりあまる千世の匂ひに
(新続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

たいしらす よみ人しらす
水そこの色さへふかき松かえに千年をかねてさける藤浪
(後撰和歌集~国文学研究資料館HPより)

浪のうへに藤のかゝれるを見てよめる 紀貫之
水の面に咲たる藤を風ふけは浪のうへにも波そ立ける
(新後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

承暦二年内裏歌合に藤花をよめる 大納言実季
水そこにむらさきふかくみゆる哉きしの岩ねにかゝるふしなみ
(後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

題しらす 躬恒
手もふれておしむかひなく藤の花そこにうつれは浪そおりける
(拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

正治百首歌に 従二位家隆
ぬれつゝも折て帰らん石はしる滝つ岩ねにかゝる藤なみ
(続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

雨中藤花といへる事をよめる 神祇伯顕仲
ぬるゝさへうれしかりけり春雨に色ます藤のしつくとおもへは
(金葉和歌集~国文学研究資料館HPより)

藤花を読侍ける 中務卿親王
咲にけりぬれつゝ折し藤の花いくかもあらぬ春をしらせて
(続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

やよひのつこもりの日、雨のふりけるに、藤の花をおりて人につかはしける なりひらの朝臣
ぬれつゝそしゐておりつる年の内に春はいくかもあらしと思へは
(続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

延長八年三月、藤壷にて藤宴せさせ給けるに 源公忠朝臣
色ふかくにほへる藤の花ゆへに残りすくなき春をこそ思へ
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)

題しらす 兵部卿成実
藤の花思へはつらき色なれや咲と見しまに春そ暮ぬる
(風雅和歌集~国文学研究資料館HPより)