monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

「両葉草(もろはぐさ)」用例

2016年04月30日 | 日本国語大辞典-ま行

 「両葉草(もろはぐさ)」という語は、京都・賀茂神社の葵祭で用いる「もろかずら(諸鬘)」と同じ意味で使う場合がありますが、日本国語大辞典・第二版の用例よりもさかのぼる用例があります。

日影山けふのかさしのもろ葉草かけてたのむを神は知るらん
(百首歌合 建長八年、809)
『新編国歌大観 第五巻 歌集』角川書店、1987年、652ページ

そのかみの-ひかけのやまの-もろはくさ-けふはみあれの-しるしにそとる
(亀山殿七百首・141)
日文研の和歌データベースより


「明月記」新出断簡と「後嵯峨院御集」断簡

2016年04月15日 | 日本古典文学

 おそまきながら、笠間書院メルマガにて以下の記事を知りました。

株式会社 林原のHPの2016年03月22日のプレスリリースで、林原美術館所蔵の古筆資料について新知見の報告があります。

一般財団法人 林原美術館(館長:谷一 尚)と東京大学史料編纂所の公募型共同研究チーム(代表:鶴見大学・久保木秀夫)は、林原美術館所蔵の古筆を調査した結果、藤原定家の日記『明月記』の新出断簡(6行)を含む、我が国の文学・歴史学研究上、価値の高い史料を確認いたしました。

【確認にいたった経緯と資料の現状】
本年52周年を迎えた林原美術館は、約1万件の資料を所蔵しており、その内訳は故林原一郎の個人コレクションと岡山藩主池田家伝来の大名道具類とに大別されます。『明月記』の新出断簡などが確認された資料は『日本古筆手鑑』と名付けられた手鑑で、故林原一郎コレクションに属しています。これまでも一部の資料については、小松茂美著『古筆学大成』(講談社、平成元~4年)などで紹介されていましたが、このたび確認された断簡等については、学術的な調査がなされていませんでした。また藤原定家が撰者のひとりとなった『新古今和歌集』の、定家自筆と伝えられる断簡は岡山藩主池田家に伝わったものですが、こちらも本格的な調査には未着手でした。平成26年10月に当館開館50周年を記念したシンポジウムを開催した際、パネリストとして登壇した東京大学史料編纂所助教の藤原重雄氏より、当館が所蔵する古筆手鑑等を同所の公募型共同研究チームで調査したいとの依頼があり、翌27年3月に調査が行われ現在も研究を継続中です。

【今回確認された主な新出史料】
①『後嵯峨院御集』断簡 鎌倉時代写 『日本古筆手鑑』所収 縦23.2×横16.1㎝
後嵯峨院(1220~1272、第88代天皇)が詠んだ和歌のみを集めてまとめた、後嵯峨院の個人歌集(私家集)。これまで現存が確認されておらず、すでに散逸したと思われていたが、本断簡は記載内容から、まさしくその『後嵯峨院御集』に該当するものと推断される。散逸した古典文学作品が、古筆切の発見によって、部分的ながらも復元できるという恰好の事例。
※久保木論文「伝園基氏筆『後嵯峨院御集』断簡」(『汲古』68号、2015年)参照。

②『新古今和歌集』断簡 伝藤原定家筆 江戸時代模写 掛装軸 縦22.4×横44.8㎝
『明月記』の記主藤原定家(1162~1141)は、第8番目の勅撰和歌集『新古今和歌集』の撰者の一人でもあった。その定家を筆者と伝える『新古今和歌集』の断簡、6首21行分。もっとも定家の時代の写本そのものではなく、後代、すでに分割されていたものの模写(コピー)とみられる。よって書の遺品としての価値は下がるが、模写の元となった断簡自体は、確かに鎌倉時代頃の書写にして、定家が関与していたものだった可能性も考えられる。『新古今和歌集』撰者自筆本の現存は、これまでほぼ報告されてこなかっただけに、今後の調査研究次第では、模写であっても、学術的に重要な本文資料となる可能性がある。

③『明月記』断簡  鎌倉時代写 『日本古筆手鑑』所収  縦29.2×横10.3㎝
藤原定家の日記。冷泉家をはじめ、各所に所蔵されている原本の一部。後の時代の転写本には収録されず、新出の本文。内容や他の断簡から、建保元年(1213)2月の日記と推定される。定家が息子を連れて、再建されたばかりの内裏「閑院殿」を見廻っている記事で、その内部構成が詳しい。『明月記』欠落部を復元して定家の動向を明らかにするとともに、建築史の史料としても意義がある

④『古今和歌集』断簡 鎌倉時代写 『日本古筆手鑑』所収  縦23.0×横10.5㎝
史上初の勅撰和歌集『古今和歌集』(900年代初頭の成立)の伝本や古筆切は数え切れないほどあるが、そのほとんどは、藤原定家が整えた、いわゆる「定家本」に分類される。そうした中で、本断簡は定家より一時代前の、六条家という歌の家(歌道家)に由来する本文が記されている。『古今和歌集』のこの「六条藤家本」は稀少なだけに、本断簡も大変貴重である。


「度(たび)」用例

2016年04月13日 | 日本国語大辞典-た行

 「度(たび)」という語には「(連体修飾語を受けて)その時ごと。その時はいつも。たびごと。」という語釈があり、日本国語大辞典・第二版では、『平家物語』(13C前)からの例を早い用例としてあげていますが、250年以上さかのぼる用例があります。

遠き国へまかりける友達に、火うちにそへて遣しける よみ人しらず
このたびも我を忘れぬものならばうちみんたびに思ひ出でなん
(巻第十九・離別、1310)
松田武夫校訂『後撰和歌集(岩波文庫)』岩波書店、1945年、227ページ


「十千(とち)」用例

2016年04月09日 | 日本国語大辞典-た行

 「十千(とち)」という単語は、「〔名〕一〇の一〇〇〇倍。一万。また、数の多いさまをいう。」という意味です。日本国語大辞典・第二版では、浮世草子『傾城禁短気』(1711年)からの例が添えられていますが、さらに、583年ほどさかのぼる用例があります。

恋遠人
ちへのほきとちのわたをもこえぬべしそれにおもれる心なりせば
(106散木奇歌集、第八・恋部下、1146)
『新編国歌大観3・私家集編1 歌集』角川書店、1985年、451ページ


国文学研究資料館のデータベースが

2016年04月09日 | 日本古典文学

 国文学研究資料館の電子図書館の中では、古典選集本文データベースの二十一代集を頻繁に利用していたのですが、しばらく使わなかった間に、システム統合されて、使いづらくなっていました。今までは、詞書のみ検索とか、特定の巻名、作者名などの詳細検索ができたのに、それができなくなっているのです。
 横断的に古典文学を検索できるのは良いのですが、個別の詳細検索は復活させてほしいです。