monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

水上月

2013年09月16日 | 日本古典文学-和歌-秋

石ばしる滝つ岩ねの秋の月やどるとすれど影もとまらす(続拾遺和歌集)

おちたぎつはやき川瀬にやどりてもながれぞやらぬ秋の夜の月(嘉元百首)

てる月のひかりさえ行く宿なれは秋の水にも氷ゐにけり(金葉和歌集)

天河(あまのがは)雲のみを行く月影をせき入れてうつす宿の池水(続後撰和歌集)

池水にうつれる影ものどかにて秋の夜すがらすめる月かな(新拾遺和歌集)

にごりなく千世をかぞへてすむ水に光をそふる秋の夜の月(後拾遺和歌集)

水のおもに月のしづ むをみざりせばわれひとりとや思ひはてまし(拾遺和歌集)

さもこそは影とどむへき世ならねど跡なき水に宿る月哉(千載和歌集)


秋の海辺

2012年09月28日 | 日本古典文学-和歌-秋

草も木も色かはれどもわたつ海の波の花にぞ秋なかりける(古今和歌集)

住の江の松を秋風ふくからに声うちそふる沖つしら波(拾遺和歌集)

このころの浦ふく風のそなれ松かはらぬ色も秋は見えけり(玉葉和歌集)

難波がた磯辺の浪の音すみて夕霧よする秋の潮風(新続古今和歌集)

難波潟うらさびしきは秋霧のたえまに見ゆるあまの釣舟(風雅和歌集)


秋の恋

2012年09月24日 | 日本古典文学-和歌-秋

秋風に音(おと)はすれども花薄ほのかにだにも見えぬ君かな(新後拾遺和歌集)

秋の雨に濡れつつ居ればいやしけど我妹が宿し思ほゆるかも(万葉集)

宮木野のもとあらのこ萩つゆをおもみ風を待つごときみをこそ待て (古今和歌集)

秋萩の枝もとををに置く露の消なば消ぬとも色に出でめやも(万葉集)

秋づけば尾花が上に置く露の消ぬべくも我は思ほゆるかも(万葉集)

秋山に朝立つ霧の峰こめてはれずも物をおもふころかな(続千載和歌集)

わが恋のなかめを見せむあかしがたこぎゆく船にあきのあさ霧(仙洞句題五十首)

君こふる涙は秋にかよへばや空もたもとも共にしぐるる(玉葉和歌集)

我も思ひ君も忍ぶる秋の夜はかたみに風の音(おと)ぞ身にしむ(新勅撰和歌集)

思ひやれ秋の夜すがら寝覚めして歎きあかせる袖のしづくを(新続古今和歌集)

鳴く鹿の声きくごとに秋萩の下葉こがれて物をこそ思へ(玉葉和歌集)

秋萩のした葉に人はあらねども心ははやくうつろひにけり(続古今和歌集)

秋風に山の木の葉のうつろへば人のこころもいかがとぞ思ふ(古今和歌集)

うつりゆく人の心のあきの色にしぐれも待たずぬるる袖かな(風葉和歌集)

長月のしぐれにぬれぬ言の葉もかはるならひの色ぞかなしき(新勅撰和歌集)