monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

いつまで草

2022年09月19日 | 日本古典文学-草樹

 暮秋聞蛬といへることをよめる 覚延法師
秋深きかへの中なるきりきりすいつまて草のねをやなくらん
(月詣和歌集~「続群書類従14上」)

秋深けぬいつまてとてかきりきりすかへに生ひたる草になくらん
(宗尊親王百五十番歌合~日文研HPより)

かべになく秋のすゑばのきりぎりすいつまで草にすまんとすらん
(千五百番歌合~「新編国歌大観5」)

ゆめはかり-おもはぬひとは-かへにおふる-いつまてくさの-いつまてかみむ
(久安百首_待賢門院堀河~日文研HPより)

(たいしらす) 皇嘉門院 
何とかや/壁におふなる/草の名よ/それにもたくふ/我身成けり 
(新古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

むしの鳴をきゝて 雅成親王 
かへにおふる/草の中なる/きり++す/いつまて露の/身をやとすらん 
(続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

はかなしないつまで草のいつとだに知らぬ命や残る白露
(光経集)

よしそれも 同じ世(よ)の、 命のみを さりともと、 壁生草(いつまでぐさ)の 露の間(ま)も、(略)
(謡曲「班女」~岩波・日本古典文学大系40)

越後の国府に着きしかば、越後の国府に着きしかば、人目も分(わ)かぬ我姿、壁生(いつまで)草のいつまでと、知らぬ心はあさ衣、(略)
(謡曲「柏崎」~岩波・新日本古典文学大系57)

 いつまで草は、またはかなくあはれなり。「岸の額よりも、これは崩れやすからむかし。まことの石灰などには、え生ひずやあらむ」と思ふぞ、わろき。
(枕草子~新潮日本古典集成)

かくつれ++にものせさせ給へば。このしきぶきやうのみやのおほうへも。かよひておはします。ほりかはのにようごとのはたゞいつまでぐさとのみあはれにものをおぼしあかしくらさせ給。
(栄花物語~国文学研究資料館HPより)


おもひ草・思草

2022年09月18日 | 日本古典文学-草樹

道の辺の尾花が下の思ひ草今さらさらに何をか思はむ
みちのへの,をばながしたの,おもひぐさ,いまさらさらに,なにをかおもはむ
(万葉集~バージニア大学HPより)

題しらす 津守国光
日を経つゝ/しけさはまさる/思ひ草/あふことのはの/なとなかるらん
(千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

咲きそむる尾花がしたの思草(おもひぐさ)おもふこころぞいやまさりなる
(禅林瘀葉集)

うはたまの-ねてのゆふへの-おもひくさ-こよひもむねに-もえやあかさむ
(壬二集~日文研HPより)

按察使公通ふみをこせて侍ける返事に 花園左大臣家小大進
夏山の/しけみか下の/思ひ草/露しらさりつ/心かくとは
(新千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

なつののの-しけみかしたの-おもひくさ-おもひをれとも-しるひともなし
(鳥羽殿北面歌合~日文研HPより)

ひにそへてかれゆく人もあるものをつれなくしげる思ひ草かな
(言葉和歌集)

女につかはしける 前大納言隆房
人しれぬ/うき身にしけき/思草/おもへは君そ/種はまきける
(新勅撰和歌集~国文学研究資料館HPより)

思ひ草もとの葉むけは知らずとも結ばむ根とはかけずもあらなむ
(我が身にたどる姫君~「中世王朝物語全集20」笠間書院)

延文百首歌奉りけるに、蛍 太政大臣
ほに出ぬ/を花かもとの/草の名も/かつあらはれて/とふほたるかな
(新後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

あきちかき-これやほたるの-おもひくさ-はすゑのつゆに-かけそみたるる
(草庵集~日文研HPより)

むねにみちたる-おもひなりけり/しかのたつ-をはなかもとの-くさしけみ
(続草庵集~日文研HPより)

ひにそへて-ひとはかれのの-あきかせに-をはなかもとの-くさそつれなき
(草庵集~日文研HPより)

寄草恋
つらからむ人のためにはわすれなてを花か本の草の名そうき
(宝治百首_経朝~日文研HPより)

権中納言俊忠卿家にて恋歌十首人++よみけるに、来不留(きてととまらす)といへることをよめる 源俊頼朝臣
おもひ草/葉末にむすふ/白露の/たま++きては/てにもたまらす
(金葉和歌集~国文学研究資料館HPより)

野分の後、思ひまさらるることありてよめる 御垣が原の右大将
思ひ草さらでも末の露の身をいかに吹きつる秋の嵐ぞ
(風葉和歌集~岩波文庫「王朝物語秀歌選」)

いかにせむ-しくるるのへの-おもひくさ-したはにむすふ-つゆのみたれを
(洞院摂政家百首_俊成女~日文研HPより)

のへみれは-をはなかもとの-おもひくさ-かれゆくほとに-なりそしにける
(和泉式部集~日文研HPより)

 寄思草恋といへる心を 式部卿惟成親王
枯れねたゞ尾花がもとの草の名よ露のよすがもあらずなる身に
(新葉集~「校註国歌大系9」)

(こひのうたのなかに) 賀茂経久
うき中は/枯はてぬるを/思ひ草/なにゝ涙の/露かゝる覧
(続千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

しもむすふ-をはなかもとの-おもひくさ-きえなむのちや-いろにいつへき
(拾遺愚草~日文研HPより)

ほにいつる尾花かもとのおもひ草たか心よりたねをまきけん
(春日若宮社歌合~日文研HPより)

おもひくさ-かれなてたれか-みちのへの-をはなかしたに-たねをまきけむ
(道助法親王家五十首_家長~日文研HPより)

かれはつる-ひとをうらみの-たねなれは-うゑてくやしき-おもひくさかな
(永享百首~日文研HPより)

旧恋
たへて世に猶もふる野の思ひ草枯れなて種をなとのこすらん
(草根集~日文研HPより)

ひとかたならぬ 思ひ草(ぐさ)、 葉末の露も あをによし、 奈良の都を 立ち出でて、(略)
(謡曲「百萬」~岩波・日本古典文学大系40)

われも主君の御為に。色ある花を手折りつゝ。葉末に結ぶ露の御身を。残しやすると思草。(略)
(謡曲「雲雀山」~半魚文庫より)