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古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

岡田(をかだ)

2024年04月12日 | 日本古典文学-坤儀

つくはやま-をかたのさなへ-いそくとて-せくかたしけき-みなのかはなみ
(夫木和歌抄_基家~日文研HPより)

あやめくさ-をかたのもとに-まつかけて-たかためにとか-いそきひくらむ
(左京大夫八条山庄障子絵合~日文研HPより)

ゆふたちに-をかたのわさほ-つゆちりて-あきかせちかし-やまはたのいほ
(正治初度百首_信広~日文研HPより)

なへてはや-をかたのいなは-かりてけり-まくらのつきの-うすくものそら
(為尹千首_雅縁~日文研HPより)


野田(のだ)

2024年04月11日 | 日本古典文学-坤儀

田柳
春雨に野田の柳のいなむしろしくとはみれともる人もなし
(草根集~日文研HPより)

田雲雀
かへすよりあれにし野田の草の原むなしき床をとふひはりかな
(草根集~日文研HPより)

ときくれは-たこもいとなし-すかはらや-ふしみののたに-さなへとりつつ
(夫木和歌抄_仲実~日文研HPより)

秋田をよめる 為道朝臣 
夕されは/野田のいなはの/ほなみより/尾花をかけて/秋風そ吹 
(新後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

はつせやま-みねのしかのね-さそひきて-ふもとののたに-そよくあきかせ
(歌枕名寄~日文研HPより)

秋山家枕
夜そなかき枕のみねの松風に野田のひたうつ秋の山さと
(草根集~日文研HPより)

冬鳥
秋過きし野田の芝生の霜原にむら鳥さわくいねやこくらん
(草根集~日文研HPより)

しもこほるのだのうはてにせくいけのみぎはになびくしのすゝき哉
(後鳥羽院御集~「和歌文学大系24」明治書院)

(しぎ)
霜がれのの田のくさねにふす鴫のなにのかげにか身をもかくさん
(新撰和歌六帖~「新編国歌大鑑2」)


深田(ふかだ)

2024年04月07日 | 日本古典文学-坤儀

こくさつむ-ふかたのあせの-さはみつに-わかなすすくと-そてぬらしつつ
(夫木和歌抄_為家~日文研HPより)

をやまたの-ふかたのかはつ-なにゆゑに-こひちにぬれて-なくならなくに
(古今和歌六帖~日文研HPより)

こなきつむ-ふかたのしろは-かきてけり-いそきてうゑよ-むろのはやわせ
(堀河百首_仲実~日文研HPより)

さなへとる-ふかたにわたす-いたふねの-おりたつことの-さもかたきかな
(堀河百首_匡房~日文研HPより)

正月廿一日、入相(いりあひ)ばかりの事なるに、うす氷はッたりけり、ふか田ありとも知らずして、馬をざッとうち入れたれば、馬の頭(かしら)も見えざりけり。
(平家物語・9~小学館「新編日本古典文学全集46」)

(略)国衡義盛の二箭に怖れ、重忠の大軍に驚き、道路を閣(さしお)き、深田に打入るの間、数度の鞭を加ふと雖も、馬敢て陸に上る能はず(略)
(吾妻鏡・文治五年八月十日条~龍肅訳注「吾妻鏡2」岩波文庫)


沼田(ぬた・ぬまた)

2024年04月04日 | 日本古典文学-坤儀

 左京大夫経忠の八條の家にてかはつをよめる
おくろさきぬたのねぬなはふみしたきひもゆふましに蛙鳴也
(散木奇歌集~「群書類従15」)

さみだれて沼田のあぜにせしかきは水もせかれぬしがらみの柴
(聞書集~「新訂 山家集」(岩波文庫))

かるもかく-ぬたのこひちに-たつたこは-さなへよりこそ-そほつなりけれ
(俊成五社百首_俊成~日文研HPより)

わか恋は深き沼田の心ちしてこゝともえこそ思ひかへさね
(正治二年院御百首_藤原経家~「続群書類従14下」)

 殿下にて恋の歌よませ給けるにつかうまつれる
君こふとゐの刈藻よりね覚して編けるぬたにやつれてそみる
(散木奇歌集~「群書類従15」)

こひをして-ふすゐのとこは-まとろまて-ぬたうちすます-よはのねさめに
(久安百首(久安六年御百首)_郁芳門院安芸~日文研HPより)


沢田(さはだ)、深沢田(ふかさはだ)

2024年04月03日 | 日本古典文学-坤儀

ねせりつむ-はるのさはたに-おりたちて-ころものすその-ぬれぬひそなき
(好忠集(曾丹集)~日文研HPより)

百首歌よませ給うける中に、沢若菜 伏見院御製
春あさき雪けの水に袖ぬれて沢田のわかなけふそ摘つる 
(新千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

はるさめの-ふりみふらすみ-そてぬれて-さはたのあせに-こなきつむなり
(新撰和歌六帖_光俊~日文研HPより)

みつまさる-さはたにしける-ふかせりの-ねもみぬひとを-かくこひめやは
(新撰和歌六帖_家良~日文研HPより)

誰かためか春のさはたのうす氷われてもけふのわかなつむらん
(百首歌合_建長八年九月十三日~日文研HPより)

ふしみつや-さはたのさなへ-とるたこは-そてもひたすら-みしふつくらむ
(夫木和歌抄_俊成~日文研HPより)

あめはるる-さはたのさなへ-みつふかき-みきははかりに-けふやとるらむ
(草庵集_頓阿~日文研HPより)

早苗
しつのをか沢田さし行く板舟をおりたたすしてとる早苗かな
(草根集~日文研HPより)

 五月五日、粽(ちまき)を人のもとにやるとて
深沢田(ふかさはだ)みぎはがくれの真菰草昨日あやめに引かされにけり
(和泉式部集~岩波文庫)

かけうつす-さはたのみつの-かきつはた-そこのこころは-へたてさりけり
(為家五社百首~日文研HPより)

さひしさを-とふひともかな-しきのたつ-さはたのいほの-あきのゆふくれ
(弘長百首_行家~日文研HPより)

田上鴫
あくるまてかくや百羽をやすめつつくるる沢田に鴫のふすらん
(草根集~日文研HPより)

濡れつゝも鶉なくなる深草や。/\。誰を忍ぶの浅茅原実に住み捨てし故郷の。野となりてしも露繁き。草のはつかに暮れ残る。伏見の沢田水白く薄霧迷ふ夕かな。薄霧迷ふ夕かな。
(謡曲「花軍」~半魚文庫「謡曲三百五十番」より)

あさひかけ-うきよのやみに-いてそめて-(略)-やまのさつをの-しらまゆみ-すゑのみのりに-うまれきて-さはたのうきに-せくみつの-ふかきにこりに-おほほるる-(略)
(続草庵集_頓阿~日文研HPより)


仁王会(にんわうゑ)

2024年02月23日 | 日本古典文学-人事

季仁王会と呼ばれるもの:毎年春(2月か3月)と秋(8月か9月)に実施された。

(寛弘二年二月)二十五日、癸卯。
(略)仁王会が行なわれた。内裏から大極殿に着して、午剋に仁王会を始めた。申剋に内裏に参って、内裏の行香(ぎょうごう)を奉仕した。あらかじめ諸司に命じて、大極殿の東西の軒廊(こんろう)に床子(しょうじ)を立てさせて、僧が集会する際の座とした。前師藤原朝臣(藤原伊周)の座次を、大臣の下、大納言の上に列するということを、外記(惟宗)行利に命じて宣旨を下させた。
(御堂関白記〈全現代語訳〉~講談社学術文庫)

(治承四年七月)十六日。天晴る。炎旱、旬に渉る。法勝寺如説仁王会に参ず。(略)
(『訓読明月記』今川文雄訳、河出書房新社)

 


シャルル・ドルレアンの詩「春」

2024年02月03日 | 読書日記

 春 シャルル・ドルレアン (矢野目源一郎訳)
風や冬枯(ふゆがれ)氷雨(ひさめ)の衣袍(ころも)
春立つ今日は脱ぎすてて
光のどけき春の陽を
綾に織りたる袖かざす

鳥も獣もおしなべて
悦び唄ふ声合せ
風や冬枯氷雨の衣袍
春立つ今日は脱ぎすてて

小川 池水(いけみづ) 行潦(にはたづみ)
飛び散る水の金銀を
揃ひ衣裳の目も彩(あや)に
いづこも春のよそほひと
今日脱ぎすつる冬衣(ふゆごろも)
(「世界詩人全集24 世界名詩名訳集」新潮社、S43年)


古典の季節表現 一月 大饗(二宮大饗、大臣大饗)

2024年01月31日 | 日本古典文学-春

かうてびはどのゝみやには。廿二日のよさり廿三日のあかつきなどにぞさとの人++まいりこむ。廿二日にしんでんのひがしのたいなどの御装束。くはんばくどのゝ大饗にごとにかはるべきにはあらねど。御ひきでもののほどかはる。(略)
かやうにてなみゐたる人のありさま。いはんかたなうおとろ++し。ひつじのときばかりに。かんたちめまいりあつまり給。おほかたのそらははれたれど。ゆきうちゝりていみじうおかしうみえたるに。おまへのすなごえもいはずおもしろきに。やりみづなどのをともおかしきほどに。ながれたるに。とのばらなどのまいり給。さるべ き御随身などの。いみじうつぎ++しきさまして。中門のほどにゆづえつきてゐたるほどなど。たゞゑにかきたるとみゆ。(略)
みな御しとねにゐ給て。きたむきにゐさせ給へれば。御したかさねのしりどもはかうらんにうちかけつゝゐさせ給へりかいねりかさねやなぎさくらゑいそめわかうおはする。とのばらはかうばいなとにてもき給へり。いろ++にみえかゝやきてりわたりたるほど。いみじうおかしおはしましゐて。このみすぎはを。たれも御らんじわたせば。このにようばうのなりどもはやなぎさくら。やまぶきかうばいもえぎのいついろをとりかはし。つゝひとりに三いろつゞをきさせ給へるなりけり。ひとりはひといろをいつゝみいろきたるは十五づゝあるは六づゝ七づゝおほきたるは十八廿にてぞありける。このいろ++をきかはしつゝなみゐたるなりけり。あるはからあやをきたるもあり。あるはをりものかたもんうきもんなどいろいろにしたがひつゝぞきためる。うはぎはいつへなどにしたり。あるはやなぎなとのひとへはみなうちたるもあめり。からきぬどものいろみなまたこのおなしいろともをともかはしつゞきたり。もはみなおほうみなり御きちやうども。かうばいもえぎさくらなとのすそにて。みなゑかきたり。ひもどもあをくてかゝやけり。このひとへはみなあをばなりけり。(略)
このとのばらのかほりにほひさま++めでたくふきいるゝに。またうちには梅花をえもいはずたきいで給。けふの侍従は左右大臣にもまさりぬべくなん。人++おほされける。おまへには。ひんがしのらうのまへのかたに。やゝにしにいでゝかく人どもゝ候。おまへのひたきやのもとの。むめの人しげきけはひのかぜにちりくるかほりもめでたし。れいのさほうのがく人四人づゝいきて。まんざいらく。たいへいらくなどまふほどいみじうおもしろし。がくのをとなどもおりからにやすぐれて。めてたうきこえたり。かく人どもおまへのかたのみぎはをうちまほ。かくあくるこゝちもおくありて。ものゝねいとおもしろし。(略)
とのばらいまは御あそびになりて。いみじうおかしきに。夜にいりたり。ものゝねどもこゝろことなり。御かはらけに。はなかゆきかのちりいりたるに。中宮大夫うち誦し給。梅花帯雪飛琴上柳色和煙入酒中又たれその御こゑにて御かはらけのしげゝれば。一盞寒燈雲外夜数盃温酎雪中春など御こゑどもおかしうての給にほひにかけふはばんぜい。せんしうをぞいふべきなどの給ふもあり。さま++おかしくみたれ給。(略)
(栄花物語~国文学研究資料館HPより)

 久寿二年正月十七日、左大臣殿の大饗の次(ついで)に、仰せて云はく、「故大殿の仰せて云はく、「晴には紫緂(むらさきだん)の平緒(ひらを)を用ゐるべきなり。誠に美云、はればれしき物なり」と仰せありき。宇治殿は、紺地の平緒を好ましめ給ひけり。度々の大饗に定めて用ゐしめ給へるか。御記を御覧ずべきなり。今度紺地何事あらんや。今度は金樋の葦手(あしで)の御剣に、紺地の葦手の御平緒を用ゐしめ給ふべきなり」てへり。
(富家語~岩波・新日本古典文学大系32)

大臣の大饗は、さるべき所を申しうけて行ふ、常の事なり。宇治左大臣殿は、東三條殿にて行はる。内裏にてありけるを、申されけるによりて、他所へ行幸ありけり。させることのよせなけれども、女院の御所など借り申す、故實なりとぞ。
(徒然草~バージニア大学HPより)

 仁平元年十二月八日。夜、御前に祗候(しこう)す。御物語に云はく〔時に宇治小松殿なり〕、「母屋(もや)の大饗には、鷹飼をもつて見物(みもの)となすなり。鷹を飛ばしむる事は二度なり。一度は殿の幔門(まんもん)を出づる時飛ばしめて、鈴の声を聞かしむるなり。その後、南庭を渡りて床子(さうじ)に居て、酒飲みて後、立ちて歩まむとする時、また飛ばしむるなり。
 法興院の大饗には、東の山より狩りて参入しけり。築垣(ついがき)の上より見越して見えけり。件(くだん)の儀にやあらん、長元(ちゃうげん)の高陽院の大饗には、滝の上の山穴を鷹飼は出でて渡りける。
(中外抄~岩波・新日本古典文学大系32)


霞の袖、霞の真袖

2024年01月30日 | 日本古典文学-天象

はるまちて-かすみのそてに-かさねよと-しものころもの-おきてこそゆけ
(金槐集_実朝~日文研HPより)

はるきても-かすみのまそて-なほうすみ-さむさかはらぬ-やまあらしかな
(白河殿七百首~日文研HPより)

さほひめの-ころもはるかせ-なほさえて-かすみのそてに-あはゆきそふる
(続後撰集_嘉陽門院越前~日文研HPより)

はるのきる-かすみのそては-つつめとも-おのれたまらぬ-のへのあはゆき
(洞院摂政家百首_成実~日文研HPより)

ぬきをうすみ-ふるとはすれと-さほひめの-かすみのそては-ゆきもたまらす
(嘉元百首_宗寂~日文研HPより)

さほひめの-かすみのまそて-ふりはへて-はるたつのへに-ゆきやけぬらむ
(為家千首~日文研HPより)

さほひめの-かすみのそては-あをやきの-いともておれる-ころもなるらし
(新拾遺集_公雄~日文研HPより)

さほひめの-かすみのそても-たれゆゑに-おほろにやとる-はるのつきかけ
(続古今集_家隆~日文研HPより)

さくらはな-さきみちにける-うれしさを-かすみのそてに-つつみつるかな
(文治六年女御入内和歌~日文研HPより)

春の山に霞の袖をかたしきていくかに成ぬ花の下ふし
(拾玉集)

花霞
さほ姫の霞のま袖ふりはへてあかすやたてる花の木の本
(草根集~日文研HPより)

さほひめの-かすみのそての-はなのかも-なこりはつきぬ-はるのくれかな
(秋篠月清集_良経~日文研HPより)

おほそらに-かすみのそては-おほへとも-なほはるかせに-はなはちりけり
(壬二集_家隆~日文研HPより)

ゆくはるの-かすみのそてを-ひきとめて-しをるはかりや-うらみかけまし
(久安百首_俊成~日文研HPより)

のこりなき-はるもなこりや-したふらむ-おのかかすみの-そてのわかれに
(嘉元百首_尚侍~日文研HPより)

たちなれし-かすみのそても-なみこえて-くれゆくはるの-すゑのまつやま
(建保名所百首_俊成女~日文研HPより)

くれなゐに-かすみのそても-なりにけり-はるのわかれの-くれかたのそら
(夫木和歌抄_慈円~日文研HPより)


群霞・叢霞・村霞(むらがすみ)

2024年01月08日 | 日本古典文学-天象

はるのきて-あけゆくやまの-むらかすみ-おほろにのこる-よこくものつき
(後鳥羽院御集~日文研HPより)

眺めつるよもの木末のむら霞ひとつに成ぬ春雨のくも
かつらきやくめ路の谷のむら霞とたえは橋に限らさりけり
(正治二年院御百首~続群書類従14下)

ひはりあかる-はるののさはの-あさみとり-そらにいろこき-むらかすみかな 
(夫木和歌抄_慈円~日文研HPより)

霞中雁
くもれとも空たちのこす村霞あらはれ消えて雁そ行くなる
(草根集~日文研HPより)